スポーツにもいろいろありますが、特定のスポーツのみならず全般的に運動が得意という人にお勧めできる競技があります。
それが、トライアスロン。レースの中でも最も過酷と言われ、されどこれ以上なく見る者をドキドキさせてくれる魅力的なスポーツです。
実は、このトライアスロンはパラリンピックの競技としても登録されていることを皆さんはご存知でしょうか。
今回はその、パラトライアスロンの魅力についてご紹介していきます。
トライアスロンとパラトライアスロンの違いとは?
パラトライアスロンについて語るためにはまず、トライアスロンという競技について知る必要があります。
トライアスロン(triathlon)という言葉はギリシャ語で数字の「3」を意味する接頭辞tri-と、“競技”を意味するathlonの合成語から生まれました。
それが英語発音にならったことにより、“トライアスロン”と呼ばれるようになったのです。
トライアスロンは、水泳、自転車ロードレース、長距離走の順に競技を行い、順位を競うレース競技です。
その距離は主に3種類あります。
1つ目はスタンダードディスタンスで、合計51.5km(スイム1.5km・バイク40km・ラン10km)です。
2つ目はスプリントディスタンスでありスタンダードの半分である合計25.75km(スイム0.75km・バイク20km・ラン5km)で行われます。
3つ目は逆に、スタンダードよりも長いロングディスタンスです。
こちらはなんとスイム3km以上、バイク91km以上、ラン22km以上のレースを指しています。
例えばアイアンマンレースの場合は、合計約226km(スイム3.8km・バイク180.2km・ラン42.2km)にも及ぶ超長距離となります。
このロングディスタンスの競技では、競技時間が10時間を超えてしまうことも珍しくないため、非常に過酷なスポーツであるという印象が強いものとなっています。
しかし、スタンダードの場合は一般参加の市民競技者も少なくありませんし、多くの大会はこのスタンダードの規定を採用しています。
オリンピックもまたその1つであり、現在オリンピックではスタンダードディスタンスの距離を採用しているのです。
では、そんなオリンピックのトライアスロンと、パラリンピックで行われるパラトライアスロンの違いは何なのでしょうか。
大きな違いが2つあります。
1つ目は距離。パラトライアスロンの場合は、水泳0.75㎞、自転車20㎞、マラソン5㎞となり、オリンピックのトライアスロンの半分の距離で競技が行われるのです。
2つ目は障害の種類と程度でクラス分けがされているということ。クラスごとに競技を行って順位を競うことになるのです。
【関連記事はこちら】⇩
・トライアスロンの歴史・競技人口・ルール・大会【スポーツ辞典】
・【スパルタンレース】4種類をカテゴリー別にご紹介!魅力に迫る!
パラトライアスロンのクラス分けとは?
パラトライアスロンには大きく分けて3つのクラスがあります。
シッティング(座位)のクラス
ここには両足に障害がある選手が該当します。
自転車のパートではハンドバイクを使用し、マラソンのパートでは競技用車いすを使ってレースを行います。
スタンディング(立位)のクラス
ここには四肢の切断や麻痺のある選手が該当します。
このクラスではそれぞれの障害に合わせて自転車の改造をしたり、義手、義足の着用をしたりといったことが認められています。
ただし自転車の改造は、安全が保たれ推進力を助長しない範囲で、と限定されています。
ブラインド(視覚障害)のクラス
ここには視覚障害のある選手が該当します。
このクラスでは“ガイドランナー”と呼ばれる選手と同性の並走者1名の伴走が許されています。レース全体を通して選手と共に走り、サポートを行うのです。
その姿は、まさに選手と一心同体と言っても過言ではありません。水泳とマラソンではお互いにガイドロープで繋がり、自転車ではタンデムバイクを使用してガイドが前に乗ることになります。
選手はガイドランナーの声やガイドロープを頼りに、進むべき方向などを判断してレースを行うのです。
パラトライアスロンの歴史とは?
そもそも、トライアスロン自体がまだ新しいスポーツであると言われています。全ての始まりは1974年9月25日のことでした。
アメリカ合衆国カリフォルニア州サンディエゴで、世界初のトライアスロン大会が実施されることとなったのです。
この時の出場選手は、たった46人の選手でした。さらにこの3年後の1977年。
ハワイにてアメリカ海軍の軍人達が宴会の席にて「マラソン・遠泳・サイクルロードレースのどれが最も過酷か?」と議論を行ったものの、比較することができなかったため「じゃあまとめてやってみよう」と思い立ったことがきっかけになり、翌1978年同地でアイアンマン・トライアスロンが行われることになります。
トライアスロンという競技は、こうした経緯で少しずつアメリカを中心に普及していくことになりました。
一方日本では、1981年(昭和56年)8月20日に、鳥取県米子市の皆生温泉旅館組合の若手経営者達が「皆生トライアスロン ’81」を開催したのが日本初の大会であったと言われています。
この時の参加者数は53人であったそうです。
パラトライアスロンが明確に認知されるようになったのがいつなのかは定かではありませんが、トライアスロンが始まってすぐの頃から何人もの障害を持った人達が一般の人達にまじって参戦し、見事完走していたという記録があります。
国際トライアスロン連合(ITU)が毎年パラトライアスロン世界選手権を開催するようになったのは1995年からのことだと言われています。
それから15年以上にわたり、ITUはその普及に努めているそうです。
パラトライアスロンのルールについて
スイム(水泳)0.75km、バイク(自転車)20km、ラン(陸上)5kmの3つの種目を連続して行い、総距離である25.75kmの合計タイムを競うスポーツとなっています。
ちなみにスイムからバイク、バイクからランに移り変わる“トランジション”と呼ばれる時間も合計タイムに含まれるため、素早く切り替えを行う訓練も必要になります。
また、先述したように障害の種類と程度でクラス分けがされているので、そのクラスごとレースを行って順位を競うことになるのです。
この“トランジション”をいかに素早く行うことができるか、それが勝負の大きな分かれ目になると言っても過言ではありません。
ウェットスーツやヘルメット、シューズ、義肢などを素早く着脱しなければいけませんし、ロードバイクやタンデムバイクの準備も必要です。
また、ハンドバイクや競技用車いすへの乗り降りも行われることになります。
この時、1人では競技を続行することが困難と認められた選手に限り、トランジションを手助けする“ハンドラー”を1名ないし2名つけることが許されています。
ガイドランナー同様、レースの結果を大きく左右する重要なポジションだと言えるでしょう。
彼等との深い絆、コンビネーションなくしてレースは成立しないからです。
その重要性から、このトランジションはパラトライアスロンの第4の競技と言われることもあるほどなのです。
パラトライアスロンの大会について
パラトライアスロンは世界選手権が行われています。それに伴い、少しずつルールも時代と競技者に合わせて変化していきました。
2009年までは51.5キロで行われていましたが、2010年以降より現在の25.75キロとなったのです。
それに伴い、出場者数は、スプリントディスタンスが標準となった2010年から男女ともそれまでの倍以上に増加したと言われています。
その後男子は横ばいとなったものの、2013年には再び倍以上に増加して165人を数えるまでとなりました。
もちろん、パラリンピックの存在も忘れてはいけません。2016年のリオデジャネイロ大会から、パラトライアスロンはパラリンピックの正式競技となりました。
2021年に行われた東京パラリンピックでは、男子の宇田秀生選手が銀メダル、米岡聡選手が銅メダルを獲得するという素晴らしい戦績を収めています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。オリンピックのトライアスロンにけして劣らぬ魅力を秘めた、パラトライアスロン。既に世界に誇れる強さを持つ日本のパラトライアスロン選手も存在しています。
興味を持った方は是非、さらに詳しくチェックしてみてください!
【関連記事はこちら】⇩
・トライアスロンの歴史・競技人口・ルール・大会【スポーツ辞典】
・【スパルタンレース】4種類をカテゴリー別にご紹介!魅力に迫る!