将棋で勝つためには、自分の王将(玉)を守りつつ、相手を攻めていかなければなりません。
そのために先人たちは多くの戦法を考案してきました。
しかし初心者は戦法を丸暗記する前に、どういう理屈でそのような作戦になっているのか、理解する必要があります。
今回は、将棋の攻め方の理屈とコツをご紹介。
基本的な攻め方とその意味を覚えれば、将棋の勝率がきっと上がるはずです。
【将棋】攻めの基本
将棋の最終目的は、相手の王将(玉)をもう逃げられない詰みの状態にすること。
しかしそれが将棋の攻めの目標かというと、実は違うのです。
まずは将棋の攻めの基本から解説します。
攻めの目的
将棋では相手が序盤でミスを連発しないかぎり、いきなり相手の王将(玉)を取れることはありません。
序盤から中盤の長い間、将棋の攻めの目的は王将(玉)を追い詰めることではなく、次の2つになります。
・相手の駒を取るか、自分の弱い駒と相手の強い駒を交換する「駒得」
・相手陣地まで進んでより強い駒に成る「成駒」
この2つを行なって、戦力差を広げていくことが攻めの目的なのです。
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攻めに参加する基本の4枚
将棋の攻めに使う駒は、主に4枚です。
それは、飛車・角・銀・桂馬。
王将の囲いには金2枚と銀1枚を主に使い、囲いのエリアとは反対側の銀と桂馬を攻撃に使います。
そしてこの4枚を歩と連携させて相手の陣地を攻撃していくのです。
鍵となるのは銀と桂馬。
特に桂馬は後ろに戻れない駒なので、どのタイミングで使うかをよく考える必要があります。
狙うべき場所
攻める際には相手の弱い場所を狙う必要があります。
例えば以下のような場所が狙い目の基本。
・角頭:斜めにしか進めない角のすぐ前
・桂頭:正面を攻められない桂馬のすぐ前
・コビン:王将(玉)や飛車の斜めのライン
相手の動けない位置を突いていくなど、狙うべき位置を意識することが大切です。
【将棋】覚えたい攻め方
将棋の攻め方には覚えておきたいパターンや手筋がいくつもあります。
応用して使うこともできる攻めの基本。
特に使いやすいものをご紹介しますので、ぜひ覚えてください。
①歩得
最前列で前に出てくる歩は狙いやすい駒。
交換することなく、かすめ取れるチャンスが多くあります。
歩1枚では大した戦力にならないと思いがちですが、1枚の歩を取れば歩の数は10枚対8枚となり、2枚の戦力差になります。
また持ち駒として歩があれば、さまざまな攻撃が可能に。
より強い駒と交換する作戦も使えます。
歩得は常に覚えておきたい戦術です。
②両取り
駒得をするためによく使うテクニックが両取りです。
両取りは相手の複数の駒を取れる位置に駒を置き、絶対にどちらか一つの駒は取れる状態にすること。
例えば桂馬を金の両取りの位置に置ければ、どちらかの金が逃げてももう一方の金を取ることができ、金桂交換の駒得となります。
これは名付けて「ふんどしの桂」。
他にも「飛車の両取り(十字飛車)」や「角の両取り」、「たすきの銀」、「香車の田楽刺し」など、いろいろな両取りの手筋があります。
強力な攻撃手段になりますから、両取りのパターンはなるべく多く覚えるようにしてください。
③数の優位を利用
相手を攻めるときには、その場所でこちらの攻めと相手の守りの数がどういう関係になっているかを把握し、数の優位を利用するようにします。
数的優位を保っていれば、最終的に駒得になる可能性がありますが、数的に不利なのに攻撃を仕掛ければ駒損になるかもしれません。
数的に不利なら攻撃の狙いを変える必要があります。
④棒銀戦法
数の優位を利用したものの中でも、棒銀戦法は攻撃の基本が詰まった戦法です。
棒銀戦法ではまず、飛車の前の歩が前に進み、その間から銀が前に出て、歩と並んで前進して行きます。
歩が相手の角直前の歩に達すると、相手はこちらの歩が成るのを防ぐために歩で取ることになり、そこをこちらは銀で取ります。
このとき銀の後ろに飛車が控えているのがポイント。
銀はさらに前進して相手の角に迫ります。
この棒銀戦法の目的は、飛車が相手陣地に入って成ることです。
一番弱い歩を相手に取らせつつ、銀という強い駒で攻め込み、その後ろにはさらに強力な飛車が構えているのが重要な点。
駒を取られても次の攻撃が用意されていることから、攻めの基本と言われています。
その意味でも棒銀戦法を覚えれば攻撃の厚みは広がるはずです。
⑤たたきの歩
たたきの歩は、歩の使い方の中でも有名な攻めの手筋。
相手の駒の正面に歩を打ちます。
多くの駒は真正面に1つ進めるため、一見ただの歩損のように見えますが、相手の陣を乱すことが狙い。
陣が崩れたところで他の駒を使って攻めていきます。
⑥コビン攻め
狙う場所でも紹介したコビン(斜めのライン)は、攻め方のパターンでもよく使います。
特に相手の囲いを崩すときに有効。
たとえば相手の王将(玉)の前に歩が並んでいる囲いなら、王将(玉)のコビンに角を置きます。
その状態で王手になるように桂馬を打つと、相手は歩で桂馬を取りたいところなのに角の道が空いてしまうことに。
相手は王将(玉)を逃すしかなくなり、囲いが崩れるのです。
まとめ
攻めをする前に忘れてはならないのは、自分の囲いを強固にしておくこと。
囲いが強固なら簡単に王手をかけられることはなく、攻めに集中できます。
逆に囲いが弱いと攻めの途中で逆転されることも。
ただし無闇に囲いを強くしようとして枚数を使ってしまうと攻撃が手薄になってしまいます。
攻めを勉強するときにも、守りとのバランスが重要です。
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