シャトルランは、新体力テストの中でも苦手としている人が多い種目。
「とにかく疲れるからいや!」という人も多い種目ですが、いったいどのような目的で行われるのでしょうか。
今回は、シャトルランとはどのような種目なのかを詳しく解説。
その目的や、ルール、各年代の平均記録もご紹介します。
コツについては別の記事でご紹介していますから、そちらも合わせてお読みください。
シャトルランとは
体力テストのシャトルランと聞いて「何のこと?」と思った人も多いかもしれません。
シャトルランは2001年4月にスタートした文部科学省の新体力テストで登場した種目。それまで行われていた男子1500m、女子1000m の持久走(急歩)との選択種目として採用されました。
そのため年配層の中には知らない方も多いのです。
概要
シャトルランの正式名称は「20mシャトルラン」。その名の通り、20m間隔で引かれた2本の線の間を往復し続ける種目です。
何往復したらゴールというわけではなく、徐々に早くなる時間内に往復し続け、間に合わなくなったら終了。
そこまでの往復回数が記録となります。
順番
新体力テストではシャトルランは最後に測定します。
それはシャトルランが持久性テストだから。持久性テストの後でほかの測定を行うと疲労のために影響が出るため最後となります。
ちなみに持久性テスト以外の項目の順番は定められていません。
目的①:有酸素運動能力を測る
持久走の代わりに採用された種目ということもあって、シャトルランは往復持久走とも呼ばれます。
その目的は、有酸素運動能力を測ること。より具体的には「全身持久性」を調べることが目的です。
全身持久性が高い人は一定強度の運動や作業を長く続けることが可能。また一定時間の仕事をしたときの疲労度も小さくなると言われます。
目的②:最大酸素摂取量の推定
もうひとつのシャトルランの目的は、最大酸素摂取量の推定。
文部科学省は「20mシャトルラン(往復持久走)最大酸素摂取量推定表」を公開していて、この表で換算すれば最大酸素摂取量が分かるとしています。
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シャトルランの測定方法
シャトルランの測定方法は、文部科学省の「新体力テスト実施要項」に書かれています。
その内容をご紹介し、解説しましょう。
シャトルラン実施方法
1 準備
テスト用CDまたはテープ及び再生用プレーヤー。20m間隔の2本の平行線。
ポール4本を平行線の両端に立てる。
2 方法
(1)プレーヤーによりCD(テープ)再生を開始する。
(2)一方の線上に立ち、テストの開始を告げる5秒間のカウントダウンの後の電子音によりスタートする。
(3)一定の間隔で1音ずつ電子音が鳴る。電子音が次に鳴るまでに20m先の線に達し、足が線を越えるか、触れたら、その場で向きを変える。この動作を繰り返す。 電子音の前に線に達してしまった場合は、向きを変え、電子音を待ち、電子音が鳴った後に走り始める。
(4)CD(テープ)によって設定された電子音の間隔は、初めはゆっくりであるが、 約1分ごとに電子音の間隔は短くなる。すなわち、走速度は約1分ごとに増加していくので、できる限り電子音の間隔についていくようにする。
(5)CD(テープ)によって設定された速度を維持できなくなり走るのをやめたと き、または、2回続けてどちらかの足で線に触れることができなくなったときに、 テストを終了する。なお、電子音からの遅れが1回の場合、次の電子音に間に合 い、遅れを解消できれはば、テストを継続することができる。
3 記録
(1)テスト終了時(電子音についていけなくなった直前)の折り返しの総回数を記録とする。ただし、2回続けてどちらかの足で線に触れることができなかったときは、最後に触れることができた折り返しの総回数を記録とする。
(2)折り返しの総回数から最大酸素摂取量を推定する場合は、参考「20mシャト ルラン(往復持久走)最大酸素摂取量推定表」を参照すること。
長い説明ですが、まとめるとやることはシンプル。
20m間隔で平行に引かれたライン間を合図音に合わせて往復します。
だんだん疲れてくる上、合図音が1分ごとに速くなるのがポイント。
音についていけなくなり2回連続でラインに到達できなくなった時点で終了となり、何回往復できたかで持久力を測ります。
注意点
シャトルランの内容はシンプル。
ただしルールをしっかり読み込んで覚えておきたい注意点もあります。
一つは、線に触れるだけでも良いということ。しっかり越える必要はありません。
そしてもう一つは、一度は電子音より遅れても良いということ。このルールを知らずに1度でも遅れたら諦めてしまう人が大勢います。
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シャトルランの平均記録
ではシャトルランの平均回数はどれくらいになるのでしょうか。
スポーツ庁の令和3年度の報告書からご紹介します。
平均記録
各年齢別、男女別のシャトルラン平均回数は以下の通りです。
年齢 | 男性 | 女性 |
6歳 (小1) | 18.92 | 15.75 |
7歳 (小2) | 28.40 | 23.14 |
8歳 (小3) | 36.45 | 29.13 |
9歳 (小4) | 44.27 | 35.60 |
10歳 (小5) | 52.45 | 42.33 |
11歳 (小6) | 61.16 | 47.52 |
12歳 (中1) | 70.58 | 50.85 |
13歳 (中2) | 86.88 | 60.46 |
14歳 (中3) | 94.44 | 60.91 |
15歳 (高1) | 82.41 | 48.57 |
16歳 (高2) | 88.50 | 52.60 |
17歳 (高3) | 90.21 | 49.64 |
18歳 (大1) | 75.09 | 41.70 |
19歳 (大2) | 78.68 | 40.45 |
20-24歳 | 73.04 | 38.64 |
25-29歳 | 64.25 | 34.78 |
30-34歳 | 58.91 | 29.89 |
35-39歳 | 52.42 | 27.13 |
40-44歳 | 51.76 | 25.40 |
45-49歳 | 45.60 | 23.15 |
50-54歳 | 39.17 | 22.66 |
55-59歳 | 34.12 | 20.20 |
60-64歳 | 29.45 | 17.27 |
記録の分析
シャトルランの記録は、男女ともに小学校では学年が上がるにつれて大きく伸びていきます。これは体格が大きくなり、体力も伸びていくため。また学年が上がるにつれて男子と女子の差が開いていきます。
中学では2年生で記録が大きく伸びます。これは部活動に取り組む生徒の体力がアップするため。中3までは記録が伸び続けます。
ところが高校1年生で平均記録はダウン。こちらは部活を引退し受検勉強に集中して体力が下がったため。高校入学後は再び記録がアップします。
そして同じことがまた18歳のときにも起こり、その後は年齢とともに記録が下がっていくことに。ここから体力のピークは中3または高3であることも読み取れます。
まとめ
疲れるから嫌いという人も多いシャトルラン。
しかしその記録をみれば、人は運動をしなくなると体力が落ちることが明白に分かります。
全身持久性が分かるシャトルラン。
健康寿命のためにもその記録はなるべく高くキープしたいものです。
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