自分の体重で鍛えることができる「自重トレーニング」の中でも、高い負荷をかけられるのが懸垂。
きつすぎて数回しかできない、または1度もできないという方も多いのではないでしょうか。
今回は、懸垂のコツをご紹介。
正しく行い、回数を増やすためのコツや注意点、また懸垂が1回もできない人の練習法も解説します。
【懸垂】基本
最初に懸垂をする理由から。
目的は、もちろん筋肉を鍛えることです。
しかし実は腕立てや懸垂などを行うときに、これを勘違いしている人が多いのです。
「がんばって10回やる!」と回数を目標にしていたら間違っている可能性が大。
回数を目標にすると、鍛えるべき筋肉以外の筋力を使って無理やり達成することになりがちなのです。
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懸垂で鍛えられる筋肉
では懸垂で鍛えるのはどこの筋肉でしょうか。
それは以下の5つになります。
①広背筋:肩甲骨の下から背骨に沿って伸びる背中で最も大きな筋肉
②僧帽筋:首のつけ根から背中に広がる筋肉
③大円筋:肩甲骨下部の小さな筋肉
④三角筋後部:肩の筋肉の後ろ側
⑤上腕二頭筋:腕の「力こぶ」にあたる筋肉
懸垂ではこの5つの筋肉以外は極力使わないようにしなければなりません。
注意点
懸垂をするとき、回数を増やそうと脚や体を振って勢いをつける人がいますが、これは無意味な行為。
上記の5つの筋肉を鍛える目的から外れてしまう上、筋肉や腱を傷めることにもなってしまいます。
懸垂は正しいフォームで行い、フォームを崩してまでも限界以上の回数を追求しないこと。それが最大の注意点です。
正しいフォーム
では懸垂の正しいフォームとはどのようなものでしょうか。
ポイントを順に解説します。
①:手の幅は肩幅よりやや広めにし、手の甲を自分に向ける順手でバーを握る。
②:胸を張り、肘を背中側に引いて身体を引き上げる
③:バーに胸を近づける
④:バーに胸が十分に近づいたら、その場でキープ
⑤:肘が伸びきらない程度までゆっくりと下りる
背中を丸めて真上に体を引き上げようとする人が多いのですが、これは間違い。
背中を丸めると腕だけを使ってしまいます。
胸を張り、肘を真下ではなく背中側に引くことで、背中の大きな筋肉である広背筋を使うことができるのです。
そして体を引き上げたところでしばらくキープし、ゆっくり下すことも重要。
懸垂では身体を持ち上げる方に集中してしまい、下りるときにはストンと身体を落としてしまいがちですが、実はこの「戻す動作」の方が筋肉を大きくする効果は高いことが分かっています。
力を抜かないようにゆっくり戻すことを意識してください。
【懸垂】コツ
懸垂を行うときのポイントは、上記の正しいフォームで行うこと。
そうすれば鍛えるべき筋肉を効率よく鍛えることができます。
さらに効果を上げるためには、以下のコツも意識してください。
コツ① 肩を下げる
肩が上がったまま行うと背中の筋肉をうまく使えず、やはり腕に効いてしまいます。
肩を下げることがポイントですが、バーにぶら下がった状態で肩を下げるのは難しいものです。
そのコツは、肩甲骨を少し中央に寄せてからストンと下に落とすこと。
こうするとごく自然に胸が張る形になり、効果的に広背筋を動かすことができるのです。
コツ② バーの上にあごを上げない
懸垂を行うとき、あごをバーの上まで上げようとする人がたくさんいますが、これは間違い。
懸垂では胸をバーに近づけるイメージで行うだけで広背筋は十分に収縮し、鍛えられているのです。
さらに引き上げてあごをバーの上に持ち上げるには上腕二頭筋を使うしかなく、背中より先に腕だけが限界を迎えてしまいます。
また無理に引き上げようとすると、フォームが崩れることに。
それによって中途半端なトレーニングになってしまうのです。
コツ③ 体幹を意識する
正しいフォームのはずなのに懸垂の回数が伸びない人は、もしかしたら身体を引き上げるとき前後左右に揺れているかもしれません。
その原因は体幹のぶれ。体幹が一直線になっていないと身体が揺れ、腕に余計な負担がかかってしまいます。
まずは体幹を安定させ、ぶれない懸垂を行うよう意識してください。
コツ④ バーは軽く握る
バーを強く握ると腕の力で身体を引き上げてしまいます。
その結果、やはり広背筋を鍛える前に腕が限界を迎えることになりがち。
バーは軽く握るのがコツ。
それが難しい場合は握力をサポートするリストストラップなどを使えば、手や腕に余計な力が入らず、広背筋を効果的に鍛えることができるはずです。
コツ⑤ 休息を取る
筋力をアップし、懸垂の回数を増やすためには、毎日行ってはいけません。
筋肉を大きくするためには回復の時間が必要。
トレーニングで筋肉を使うと、筋線維の一部が破断されます。その後、適切な栄養と休養が与えられると筋肉は修復され、そのときに筋繊維が以前より太くなるのです。
筋肉の回復に必要な時間は72時間ほど。
懸垂の回数を増やすためには、十分な休息を取るのもコツになります。
【懸垂】1回もできない人の練習法
懸垂は正しいフォームで行うことが重要。
とはいえ、まだ1回もできない人はどうすれば良いのでしょうか。
ぶら下がり
懸垂ができない場合、正しい懸垂のフォームでバーにぶら下がるだけでも、ある程度は広背筋を鍛えることができます。
広背筋を意識しながら60秒間キープ。
これだけでも背中に効いている感覚があるはずです。
斜め懸垂
本格的な懸垂ができない場合は、斜め懸垂もお勧め。
地面に足をつけたまま身体を斜めに倒して上体を引き上げる懸垂ですが、こちらも正しいフォームで行えば十分に背中を鍛えることができます。
その正しいフォームは以下の通り。
①:おへそ付近の高さの鉄棒を使う
②:手は肩幅よりやや広めにし、手の甲が上になる順手でバーを握る
③:身体を一直線にしたまま、地面から45度になるまで脚を前にずらす
④:肩甲骨を寄せ、肘を背中側に引いて胸をバーに引き上げる
⑤:ゆっくり身体を下ろして元に戻る
腕ではなく、背中の筋肉を意識して行うことが重要。続けているうちに普通の懸垂もできる筋力がつくはずです。
もし自宅に重くて安定したテーブルがあるなら、テーブルのフチを持って斜め懸垂をすることもできます。
まとめ
懸垂は正しいフォームで筋肉の限界まで行うことが重要。
そうすれば筋力はアップし、できる回数も徐々に増えていくはずです。
回数にこだわってフォームが崩れないよう、常に意識してください。
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