懸垂は腕立て伏せと並んで一般的な自重トレーニング。
バーをつかんで身体を引き上げることで背中を主に鍛えるシンプルな筋トレ法です。
しかしそのバリエーションは実は豊富。
やり方を少し変えて行うことで幅広い筋肉を鍛えることができます。
今回は、懸垂のバリエーションをご紹介。
理想の体を目指すためにぜひマスターしてください。
基本の懸垂
バリエーションをご紹介する前に、まずは基本の懸垂から。
これを間違っていたら、バリエーションの全てが中途半端なトレーニングになってしまいます。
基本の懸垂のやり方
基本的な懸垂のやり方は以下の通りです。
①:手の幅は肩幅よりやや広めにし、手の甲を自分に向ける順手でバーを握る。
②:胸を張り、肘を背中側に引いて身体を引き上げる
③:バーに胸を近づける
④:バーに胸が十分に近づいたら、しばらくキープ
⑤:肘が伸びきらない程度までゆっくりと下りる
ポイントと鍛えられる筋肉
懸垂のポイントは、背中を丸めず胸を張ること、肩を下げること、肘を真下ではなく背中側に引くこと、ゆっくり戻すことです。
この運動で鍛えられるのは、主に背中の大きな筋肉である広背筋。
さらに首のつけ根から背中に広がる僧帽筋、肩甲骨下部にある大円筋、肩の三角筋後部、腕の上腕二頭筋も鍛えられます。
どこを鍛える運動なのかを意識しながら行うこともポイントです。
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懸垂のバリエーション
基本の懸垂では上記の5つの筋肉を鍛えることができますが、少し形を変えれば、より効果をアップしたり、他の筋肉も合わせて鍛えたりすることができます。
ナローチンニング
ナローチンニングは、両手の間隔を狭くした懸垂。
この形にするだけで大胸筋も鍛えることができます。
①:一般的な懸垂から、手の間隔を拳一個分にする
②:肩甲骨を寄せるよう意識しながら、バーに胸が近づくまで体を引き上げる
③:上がった状態で軽くキープ
④:肘が伸び切らない程度までゆっくりと下に戻る
大胸筋も鍛えられる運動ですから、背中と一緒に胸も意識して行うのがポイントです。
ワイドグリップチンニング
ワイドグリップチンニングは、手の間隔を肩幅よりもかなり広くする懸垂。
こちらはナローとは逆に、背中だけにしっかりと負荷をかけることができます。
やり方は、手の間隔を広くする以外は一般的な懸垂と同じ。
広背筋と肩甲骨の動きをしっかり意識するのがポイントです。
それでも腕の力で体を持ち上げてしまう人は、親指を離し、手をバーにひっかけた状態で行うと、腕の力が適度に抜けるはず。
またはリストストラップなどの補助器具で握力を補えば、背中に集中しやすくなります。
L字懸垂
L字懸垂は脚を上げて体をL字にキープする懸垂。
腹直筋などの腹筋を同時に鍛えることができます。
①:通常の懸垂のようにバーを握る
②:膝を伸ばしたまま足を上げ、体全体でLの形を作る
③:肘を曲げながら体を持ち上げ、上がったところで少しキープ
④:肘が伸び切らない程度までゆっくりと下に戻る
懸垂を繰り返す間、L字をキープするのはなかなかハード。
その代わり効率的に上半身を鍛えられるのが特徴です。
膝を曲げないこと、反動を使わないないこと、呼吸を止めないことを意識してください。
逆手懸垂
逆手懸垂は、手のひらが自分側を向く逆手にしてバーを握る懸垂。
この形にするだけで上腕二頭筋により大きな負荷をかけることができます。
一般的な懸垂では背中に負荷をかけるために胸を張り、肩甲骨を寄せるように動作を行いますが、この逆手懸垂ではあえて背中を丸める方法も。こうすると、さらに上腕二頭筋に負荷を集中させることができます。
背中よりも腕を中心に鍛えたい場合は、このバリエーションがお勧めです。
タイプライター懸垂
タイプライターチンニングは、身体の中心ではなく、左右交互に引き上げる懸垂。
上腕二頭筋と大胸筋の下部を鍛えることができます。
①:ワイドグリップチンニングと同じ幅でバーを握る
②:右手の方に向かって体を引き上げ、左手はまっすぐ伸ばす
③:上がった状態でキープし、ゆっくりと体を戻す
④:左も同じように行う
片手ずつ行うだけに、普通の懸垂よりはかなりハードになります。
ポイントは上がった状態でしっかり静止すること。
静止をせずに流れるように動いてしまうと、それぞれの筋肉への刺激が中途半端になります。
左右それぞれ、今どの筋肉を使っているのかをしっかり意識してください。
キッピング懸垂
キッピングはあえて全身の反動を使って行う懸垂。
前後の振り子運動のエネルギーを活かし、後ろへ体を振ったときに弧を描くように体を持ちあげます。
目的はパワーアップではなく筋持久力をアップさせること。
反動をつけるため1回の懸垂は楽になりますが、その分回数を多くする必要があります。
片手懸垂
片手懸垂は、その名の通り片手で行う懸垂。
効果が大きいトレーニングで、広背筋にプラスして握力も強化できます。
ただしこれはかなりハードなトレーニングです。初心者がいきなり行うのはほぼ不可能。片手懸垂に挑むのは、一般的な両手懸垂が連続30回以上できるようになってからと思ってください。
その上で、まずは両手懸垂で身体を上げてから片手を離し、片手でゆっくり下りる練習。これが20回以上できるようになったら、徐々に上がるときにも片手だけの力で行うようにしてみます。
無理に行うと怪我につながりますから、しっかりと筋肉をつけてから挑戦するようにしてください。
その他のバリエーション
そのほかにも懸垂には微妙な違いでたくさんのバリエーションがあります。
・タックエル
膝を曲げて行う懸垂
・オルタネイトグリップ
手を交互にグリップする懸垂
・エクスプローシブ
素早い反復動作で行う懸垂
インバーテッドエル
足を上向きに伸ばして行う懸垂
・タックフロントレバー
曲げた膝を上向きに上げて行う懸垂
・スキャプラ
身体を下ろした位置で一度停止する懸垂
・アーチャー
左右交互に斜めに行う懸垂
・タンデムグリップ
手を縦に交互にグリップした懸垂
・アイソメトリック
身体を引き上げた位置で静止する懸垂
・ビハインドネック
バーを首の後ろに引きつける懸垂
・プライオメトリック
身体を引き上げた頂点で手を放す懸垂
種類によってはさらに順手と逆手の2パターンがあり、効果も変わってきます。
まとめ
基本的には鉄棒1本ででき、シンプルな運動に見える懸垂にもさまざまなバリエーションがあります。
うまく身につけていけば、これだけで幅広い筋肉を鍛えることが可能。
とはいえ懸垂のバリエーションは基本の懸垂よりも難しいものがほとんどです。
いきなり挑戦するとフォームが崩れる原因にもなりますから、一般的な懸垂が正しくできるようになってからチャレンジしてください。
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