近年は日本人選手も世界トップレベルの活躍をしているアーチェリー。
始めてみたいと思う方も多いのではないでしょうか。ところがいざ道具を揃えようと思うと、その価格はセットで3万円ほどから50万円以上までと、驚くほど大きな開きがあります。
では価格が違えば命中精度にも大きな違いが出るのでしょうか。
ここではアーチェリーの道具と精度についてご紹介します。
アーチェリーの種類によって道具は変わる
ひとくちにアーチェリーといっても、その種類は「リカーブボウ」「ベアボウ」「コンパウンドボウ」の3つに分かれます。
リカーブボウはオリンピックにも採用されているもの。古典的な弓のスタイルですが、サイトと呼ばれる照準器や、振動を押さえてバランスを取るスタビライザーなどのパーツが付いています。
ベアボウは最も古典的なスタイルで、サイトやスタビライザーは付いていません。長い間、野山を移動しながら行うフィールド競技だけ行われてきましたが、近年になってターゲット競技も行われるようになっています。
コンパウンドボウはリムの先端に滑車がついているタイプ。リカーブボウの3分の1程度の力で引くことができるもので、オリンピックには採用されていませんが、アメリカやヨーロッパでは最も人気で世界選手権なども行われています。
以下、日本では競技用として一般的なリカーブボウを例にとって、各パーツのグレードと当たりやすさの関係を探っていきます。
リカーブボウ|パーツの名前
リカーブボウの本体部分は一体型ではなく、様々なパーツを取り付けるハンドル部分と、しなる板であるリムに分かれます。
これにストリング(弦)、サイト、スタビライザーなどのパーツが加わったものが基本です。
ハンドル
ハンドルの材質は、マグネシウム合金やアルミニウム合金、カーボンなど。高価なものはより高剛性になり、耐久性と精度が若干上がりますが、大きな違いは手に伝わる振動などのフィーリングです。
初心者のうちは違いがあまり分からない部分となります。
リム
しなることで蓄えたエネルギーを使って矢を飛ばすリムは、弓にとって最も重要なパーツ。リムはいくつかの層でできているのですが、その素材は大きく分けるとグラスファイバー主体のグラスリムとカーボン主体のカーボンリムに分かれます。
グラスリムは安価で、反発の速度が遅いため扱いやすい代わりに矢の速度は遅いという特徴があります。一方カーボンリムは合わせる素材によってさらにフォームコア、ウッドコア、バンブーコアなどの種類に分けられます。こちらは高価ですが、エネルギー伝達の効率が良いため、軽い力で引けて矢の速度が出るという特徴があります。
では予算に余裕があればカーボンを選ぶべきなのかというと、一概にそうは言えません。考慮すべきは的までの距離。
オリンピックでは70mの距離を飛ばしますが、他にも30mや50mといった距離の競技もあり、インドアアーチェリーなら18mとなります。特に初心者は短い距離から始めることが一般的なので、安価なグラスリムの方が扱いやすく有利ということもあるのです。
特に最高級レベルのカーボンリムは反発のスピードと安定性の高さを備えていますが、これはフォームが安定していることが前提。初心者の場合、その反発速度を扱いきれずにかえって外しやすくなることもあります。
ストリング
ストリングはとても重要なパーツですが、使う弓のサイズや引く力に合わせることが基本。
競技用の高価なものは耐久性や安定性、スピードが上がりますが、やはりフォームが安定していない初心者は比較的安価で柔らかい弦の方が当てやすい場合があります。
サイト
サイト(照準器)は、狙いをつけるためのパーツ。高価であるほどよく当たるというものではありませんが、初心者向けには照準を合わせるサイトピンまでの長さが極端に短いものもあります。
これはサイトの重量を軽くするためと、的までが10m程度の短距離に合わせているため。それ以上の距離で使う場合には、9インチ程度の長さのものを選んだ方が精度は上がります。
スタビライザー
弓を安定させるスタビライザーは多く付ければより安定しますが、筋力や弓の強さに対して重すぎるとフォームが上達しない上、体にも負担がかかります。
また高価なスタビライザーはよく振動を吸収してくれますが、弓の強さを超えるとかえって振動が残る場合も多くなります。
精度の違いは?
ではアーチェリーの道具はグレードによって命中精度に差はあるのでしょうか。現実的にはフォームの安定した上級者が比較した場合に、わずかに差が出る程度。それよりもフィーリングの差の方がずっと大きいと言われています。
さらに初心者はフォームが安定していないため、より扱いやすさを重視した初心者向けの道具の方がよく当たるという場合も多いようです。
まとめ
アーチェリーの道具はグレードよりも自分の体格や筋力、レベルに合っていることの方が重要。
始める場合はまずレンタルなどで何度か試して、自分に合う弓がどのようなものか分かってから買うようにすれば、失敗は少なくなります。
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