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【ボクシング】バッティングとは?意味や問題点について調査!

グローブをつけた拳で殴り合い、相手にダメージを与えるボクシング。
それだけに攻撃については厳格なルールあり、さまざまな反則が定められています。
そのひとつが「バッティング」。
ではバッティングとは厳密にはどのような反則なのでしょうか。
今回は、ボクシングのバッティングについて調査。
その意味やルールとしての問題点を解説します。

【ボクシング】バッティングの意味

ボクシングでは瞼の上などを切って流血することがよくあります。
実はルール通りにグローブで殴っていれば、あのように裂傷を負うことはほとんどないのです。
怪我の原因のほとんどはバッティングによるもの
では具体的にどのような反則をバッティングというのでしょうか。

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バッティングの定義

バッティングとは、ボクシングで頭、肩、前膝、肘で相手を攻撃すること
日本ボクシングコミッションのルールには以下のように定められています。

第4款 反則
第115条(反則)
ボクサーが次の各号に定める行為をしたときは反則とし、これを禁止する
④ 頭、肩、前膝、肘を衝き当てる(バッティング)こと

実際に起こるバッティング

バッティングの中で最もよく見られるのは頭がぶつかるものです。
ボクシングはパンチを出すときに1歩踏み込みますが、両者が同時に踏み込むと距離が予測よりも近くなり、頭と頭がぶつかることがあるのです。
また接近戦でディフェンスする側がパンチを避けようと頭を振ると、パンチを打ち下ろした攻撃側の頭と当たることもあります。

ペナルティ

ボクシングでは故意のバッティングは反則
多くの場合、1回目はレフェリーが試合を止めて注意し、繰り返されると減点や失格となります。
一方、偶然のバッティングはペナルティなし
ただしあまりにも頭を下げて相手に近づくようなら「頭を下げるな」と注意されることがあります。

【ボクシング】バッティングの問題点

バッティングの問題点は、故意か偶然かがレフェリーの判断に任されていて曖昧なこと。
このため多くの試合で疑惑の判定が生まれています。

偶然のバッティングのルール

偶然のバッティングについて、日本ボクシングコミッションのルールには以下のように定められています。

第117条(ボクサーの負傷)
② 当該負傷が偶然のバッティングもしくは偶然の反則打によるものであり、負傷の程度に照らして試合続行が不可能であると判断した場合には、試合を中止する

そしてこれが試合の前半に起きた場合、試合は引き分けで、後半に起きた場合は採点で勝敗がつけられると定められています。

偶然と故意

ボクシングで偶然のバッティングは避けられないもの。かなり頻繁に起こります。
ボクシングは相手にパンチを当て、自分はパンチを当てられないようにする競技。そのために重要なのがポジションです。ボクサーは標的となる頭のポジションを奪い合い、頭を激しく動かしますから、その動きの中で偶然のバッティングは当然のように起こってしまいます。
また特に技術レベルの低い選手は焦って打とうとするため、前のめりになってパンチよりも頭が先に出がちに。これも偶然のバッティングの原因になります。
一方、相手のカウンターパンチは頭で受けた方がダメージは少ないため、わざと頭を下げてパンチを出す選手もいます。頭と手を一緒に出すと相手は対処できないため、4回戦レベルならかなり有効な戦法
これでバッティングになった場合には、故意か偶然かの判断が難しくなります。
最初から頭をぶつけに行く選手は少ないもの。しかし頭が当たって当然という戦法で攻める選手に対してどのような判断を下すかが問題になっているのです。

【ボクシング】バッティングが問題になった試合

では過去に話題になったバッティングには、どのようなケースがあったのでしょうか。
いくつかの具体例をご紹介します。

イベンター・ホリフィールドvsマイク・タイソン

ボクシングファンの記憶に長く残っている醜い試合が、1997年のWBA世界ヘビー級タイトルマッチ、イベンター・ホリフィールドvsマイク・タイソン戦です。
3ラウンドにタイソンが王者ホリフィールドの耳を噛みちぎって失格負けになった試合。
噛みちぎりはバッティングではありませんが、実はタイソン陣営の主張によると、この反則に至った原因にはホリフィールドによる度重なるバッティングがあったというのです。
タイソンは前回のホリフィールド戦ではバッティングによる出血でTKO負けし、今回も2ラウンドにバッティングで右目の上をカット。これを「故意のバッティング」だと感じたタイソンが激昂したというのですが、バッティングが故意か偶然かは、今となっては本人以外には分かりません。

ダニエル・バラダレスvs重岡銀次朗

2023年1月6日のIBF世界ミニマム級タイトルマッチも非常に後味の悪い試合になりました。
王者ダニエル・バラダレスに挑んだ重岡銀次朗が試合を優位に進めていた3回、バラダレスが偶然のバッティングで重岡選手のアゴ付近に激突。
普通はバッティングをされた方が痛がるところ、バッティングをしたバラダレスが痛がり、レフェリーが割って入ったのです。
しかし流血しているわけでもないためレフェリーは試合続行可能と判断。ところがバラダレスがレフェリーに執拗に訴え、なんと結果は「無判定」の試合中止になってしまったのです。
関係者の誰もが納得できないこの結果は「ボクシングのファン離れにもつながる」と酷評されました。

エマヌエル・ロドリゲスvsゲーリー・アントニオ・ラッセル

2021年のWBA世界バンタム級王者決定戦、エマヌエル・ロドリゲスvsゲーリー・アントニオ・ラッセル戦も全世界が驚いた試合です。
実力者同士の対戦として大きな注目が集まりましたが、第1ラウンド開始16秒で偶然のバッティングが。ロドリゲス選手が鼻から流血して試合続行が不可能となり、無判定試合となってしまいました。
両者がコーナーから歩み寄り、パンチが一発も当たらないうちにバッティングで終了。観客は「高い入場料を払っていったい何を見せられたの?」と思ったのではないでしょうか。

まとめ

相手に向かって踏み込むときに偶然起こることも多いバッティング。
完全に防ぐことはできず、それによって負傷したと主張するボクサーを無理やり続行させることもできません。
しかし偶然を装った故意のバッティングや、偶然のバッティングを起こしやすくする戦術があるのも事実。
スポーツ界ではAIによる判定が広く導入され始めていますから、今後はボクシングでもバッティングをAIが厳しく判断するシステムが必要になるかもしれません。

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