小学生の頃の体育の授業に関して、皆さんはどんな思い出があるでしょうか。
勉強は苦手だったけれど体育の授業では唯一活躍できたという人もいるでしょうし、逆に他のことは好きだったけれど体育だけはどうしても苦手だったという人もいるでしょう。
また、体育の授業で行うスポーツによって、好き嫌いや得手不得手が変わることも多いに違いありません。
それこそ、体育の授業の中で唯一プールだけは楽しみだったのに、雨が多くてなかなかは入れなかったなんて人もいるでしょう。
また、マラソンするようなものは好きではなかったけれど、球技は楽しかったという人もいるのではないでしょうか。
そんな中、一部の子供達にとっては苦手なものとして挙げられることが多いのが、鉄棒です。
何度練習しても逆上がりができなかった子がいる反面、あっという間にできてヒーローになった子もいることでしょう。
今回はそんな、子供にもできる様々な鉄棒の技と歴史についてご紹介していきます。
鉄棒の起源って?
そもそも、鉄棒というスポーツは一体いつ、どこで生まれたものだったのでしょうか。
そのヒントは、なんと400年以上昔に描かれた絵の中にあります。現在のオランダの画家であるピーテル・ブリューゲルは、1560年に『子どもの遊戯』という絵の中で、木の棒に元気にぶら下がる子ども達を描いているのです。
そんな鉄棒の歴史は、体操競技の歴史と言い換えても過言ではありません。そのルーツは、なんと古代ミノア文明にまで遡るとされます。これは、紀元前2000年事のことです。
クレタ島のクノッソス宮殿遺跡には「牛飛び」とおぼしき様子を描いたフレスコ画が残されています。この「牛飛び」というのは、走っていく牛の角を掴んで空中でくるりと回って牛の背中に着地し、その上で逆立ちするという技のことを言います。
なんともアクロバティックで危険の伴う動きですが、どうやら当時行われていた競技、もしくは儀式のようなものだったのだとか。
中世の頃になると、宗教的な理由から身体よりも精神を鍛えることが優先されるようになり、体操は不毛の時代を迎えることになります。
しかし近世になると一変、ドイツを中心に体操は再び注目されるようになるのです。
貴族を中心に騎士学校や貴族アカデミーなどで、乗馬、剣術、跳馬や、ダンスや球技のようなものが教えられるようになり、1774年にもなればドイツの教育者「ヨハン・ベルンハルト・バゼドウ」が開設した「汎愛学院」という学校で体育の授業が行われるようになりました。世界で初めて、体育という科目を子供達に教えたのはドイツだったのです。
1811年にもなると、“ドイツ体操の父”とも呼ばれている“フリードリッヒ・ルードビッヒ・ヤーン”が青少年教育への運動の必要性を訴え、ベルリン郊外のハーデンハイデンというところに運動場を作ることになります。
ランニングコースや、木棒、木馬など様々な運動のための器具が用意されたと言われており、鉄棒の前身もまたヤーン氏が木で作った直径8cmの太さの水平棒だったのではないかとされているのです。
元々人は、ぶら下がることが好きであったのかもしれません。当時は色々な形で、木の上や棒にぶらさがって運動を楽しむ、それが鉄棒の原型だったとされています。
日本の体育における鉄棒とは
ドイツで始まった、鉄棒という競技と遊び。そんな鉄棒はいつ、日本にやってきたのでしょうか。
その歴史は古く、導入されたのは明治の初めであったとされています。その後昭和の時代になり、 1.6m以下の低鉄棒が小学校体育用に採用されることになります。以降は、学校体育の教材として広く利用されるようになりました。
教育書によれば、「子供たちが技を達成できる喜びを味わうことができるよう、技に関連した遊びを取り入れたり、易しい場で取り組んだりするなどの工夫が必要な科目である」と言われています。
鉄棒などの競技は、どうしても得意な子と苦手な子に分かれやすく、教師も一層一人一人に合わせたカリキュラムを作ることが求められるからです。
小学生にでもできる鉄棒技①~ツバメ~
鉄棒の基本技の一つとも言われるのが、ツバメという技です。両手で鉄棒を掴み、体を持ち上げて静止。そのまま勢いをつけて、後ろに跳ぶ、という技になっています。
この時、後ろに線を引いて“前よりもさらに後ろに跳べた”とすると達成感もあり、楽しく運動することができると言われています。
小学生にでもできる鉄棒技②~前回り~
子供達が最初に覚える回り技の一つが、この前回りでしょう。正式には前回り下りと言います。棒を両手で掴んでくるりと前に一回転し、着地します。この時、膝を曲げると上手に着地しやすいとされています。
これができるようになったら、次は着地するところを少しずつ真下よりも後ろにズラしていくのがいいそうです。発展技である、前方支持回転の練習になります。
小学生にでもできる鉄棒技③~抱え込み前回り~
前回りよりももう少し難しいものが、この抱え込み前回りというものです。鉄棒を直接つかまず、腰をくの字に折り曲げて物干しのように鉄棒にぶらさがります。
この時、鉄棒の位置はお腹のあたりに来ていることでしょう。そして、鉄棒を掴むのではなく自分の膝を抱えることにより、くるりと前に回転するのです。
鉄棒を直接掴まない分難しいと感じるかもしれませんが、その分成功できた時には達成感があるでしょう。
小学生にでもできる鉄棒技④~足抜き回り~
正面から鉄棒を掴んで回るばかりが技ではありません。中には、鉄棒を潜って後ろ手で棒を掴み、腕と体の間からお尻を引き抜く形でくるりと前に回って着地するという技もあります。これが、足抜き回りです。
鉄棒が直接見えない分度胸が要求され、また体の柔らかさも求められるため、充分に柔軟体操をした上で行うことが重要です。
小学生にでもできる鉄棒技⑤~逆上がり~
子供の頃、どうしてもできなくて悩んだ、という声が多いのがこの逆上がりです。鉄棒を掴んで立ち、勢いよく地面を蹴ることにより後ろへと回転します。
出来た時の喜びは非常に大きいですが、後ろに回る為には強く地面を蹴らなくてはいけないため、怖くて勢いが足らずに回れなかったという人は多いのではないでしょうか。
そのため、最初は坂道型の補助具を使って蹴り上げる感覚を学んだり、先生や友達にお尻を支えて貰って後ろに回る感覚を覚えたりするといいと言われています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。体育の授業で、公園の遊具でと長い間人々に親しまれてきた鉄棒。思い出して懐かしくなったという人も多いのではないでしょうか。
時には童心に返って再び公園で触れてみたり、子供達と一緒に学んでみたりするのも楽しいかもしれません。
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