日本には武道という言葉があり、人を殺傷・制圧する技術「武」に、精神修行などでより良い人格を得るために「道」の理念が加わったものを武道と呼ぶようになりました。
武道は武士を中心に広まり、現在ではスポーツとして、多くの日本人が稽古に励んでいます。
日本武道協議会が定義している武道には様々ありますが、有名なところで言うと「柔道」「合気道」「相撲」「空手道」「少林寺拳法」「日本拳法」などがあり、「剣道」もその中の1つです。
他にも10数種目の武道があります。
特に剣道の歴史は古く、日本刀が出現した平安時代が始まりとされていて、人を殺傷する技術として確立されてきました。
しかし、江戸幕府が開府以後、平和な時代が訪れたため、剣術は人を殺傷する技術から、良き人格形成を目指す「活人術」へと変わり、現在のような剣道が確立していきました。
そういった長い歴史もあって剣道を知らないという人はかなり少ないのではないでしょうか。
剣道は防具をつけて、安全に行うことができる競技ではありますが、その防具について詳しく知っているという人は多くないと思います。
今回は剣道の防具について詳しく解説していきます。
剣道の防具について
全日本剣道連盟の規定では、剣道の防具のことを「剣道具」と呼びます。
剣道具には面、小手、胴、垂の4種類あり、布団と呼ばれる生地の縫い方の違いによって、「手差し」「機械(ミシン)刺し」の2種類に分けることが出来ます。
面(めん)
面は頭部と喉を保護するもので、頭頂部から肩までは「刺し子」と呼ばれる面布団で覆われていて、顔の部分は、竹刀で顔を傷つけないように「面金」と呼ばれる格子状の金属で作られています。
面には他に「物見」「突き垂」「面紐」「面乳革」「耳革」「面縁」「内輪」「天」「用心垂」などで形成されています。
小手(こて)
小手は手から前腕までを保護しています。
主に拳部分を保護する鹿革や合成皮革で作られた「小手頭」と腕を保護する筒状の刺し子で作られた小手布団で作られています。
小手は他に「生子」「筒」「雪」「手の内」「小手紐」によって形成されています。
胴(どう)
胴は胸部から腹分、脇の下を保護するものです。
主に、胸の部分を保護する硬い芯材を牛革で覆った「胴胸」と、腹部や脇の下を保護するファイバーや樹脂・竹などで作られた「胴台」で作られています。
胴は他に「胸乳革」「曙光」「胸飾り」「小胸」「胴乳革」「縁革」「胴紐」「綴じ革」「足」「中輪」によって形成されています。
垂(たれ)
垂は腰部と局部を保護するものです。
垂全体が刺し子で形成されていて、「垂帯」、3枚の「大垂」、2枚の「小垂」から作られています。
垂は他にも「前帯」「山路」「飾」によって形成されています。
剣道の防具の値段相場
剣道具の値段相場はピンキリで、「刺し方の違い」「刺し幅の細かさ」「革の種類」「世代別」「実店舗かネット販売か」によって、値段が変化していきます。
特に大きな違いが出るのは「刺し方の違い」と「革の種類の違い」です。
刺し方には「手刺し」と「ミシン刺し」の2種類あり、「手差し」の方が圧倒的に値段が高くなります。
革の違いで高価なものだと「鹿革」が使われていることが多く、伸縮性、通気性、耐久性に優れ、防具として申し分ない効果を発揮します。
価格の安い剣道具だと、バッファロー革やクラリーノが使用されていることが多く、特にバッファロー革を使用している剣道具は通気性が悪いため、おすすめしません。
それでは各防具の値段相場について解説していきます。
面
ミシン刺しでは1万5000円〜10万円程度が相場。既製品で海外産のものは1万5000円くらいで、オーダーメイドで全て国産となると10万円くらいします。
手刺しの場合は、最低でも5万円以上。高価なものであれば、20万円を超えるものもあります。
小手
ミシン刺しで5000円〜4万円、手差しでは2万円〜9万円くらいが相場です。
革の種類によって値段の変化はありますが、安価なものは洗濯機で洗えるものもあるといったメリットもあるため、一概に高価なものが良いとは言えません。
重厚感は手差しの小手の方が優れています。
胴
ミシン刺しで1万円〜4万円、手差しで3万円〜10万円くらいが相場です。
胴はナイロン樹脂で形成された「ヤマト胴」、高純度のパルプ繊維原紙を何枚も張り合わせて圧縮させた「ファイバー胴」、牛革に竹を貼って漆で仕上げた「竹胴」の3種類あります。
この中では「竹胴」が胴の効果として一番重要な衝撃吸収が最も優れ、一番高価になります。
垂れ
ミシン刺しで1万5000円〜9万円、手差しで3万円〜12万円くらいが相場です。
同じミシン刺しでも「額刺」があるかどうか、ヘリ革に使用する革の違いなどで、価格の変動があります。
段飾りは2〜8段まであり、段が増えていくほど高価になっていきます。
剣道の防具の付け方
剣道の防具(剣道具)をつける順番には決まりがあり、「垂→胴→面→小手」の順番でつけます。
垂は前にあてがい、紐を後ろで交差させて、再び前に持っていき前垂の下で結びます。
胴は前にあてがってから左右下の紐はそのまま背面の下で結び、左右上の紐は背面で交差して前に持っていき肩の部分にある輪っかに結びます。
面は左右の紐を引っ張って締めてから、後ろで結びます。
紐の長さを揃えることで、綺麗に着用可能です。
剣道の防具の手入れ方法
剣道具は洗濯機で洗えないものが多く、手入れに困ることが多いです。
物によって手入れの仕方は異なりますが、共通する部分では汗をかいた後は必ず、風通しの良い日陰の場所で乾燥させてください。
しかし、直射日光を当ててしまうと日焼けしてボロボロになってしまうため、日陰で乾燥させることが大切です。
まとめ
今回は剣道の防具について解説していきました。
防具は万が一の事故に繋がらないために、とても重要な役割を担っているため、自分に合ったものを選んだら大切に扱いましょう。日頃からの手入れがとても大切です。
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