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【プロになるために】川崎フロンターレ:谷口彰悟 〜学生時代の歩み〜

スポーツ界の“気になる人”へ迫る企画「スポスルインタビュー」

記念すべき第一弾アスリートは谷口彰悟選手です!

シーズン中にも関わらず、全三回に渡るロングインタビューに応じていただきました。

サッカー選手を目指している子どもたちへ―――。

「大人になったらなりたいもの」ランキング(男子)にて、1999年から2022年まで常にトップ3入りしている“サッカー選手”。変わりゆく時代の中でも、サッカー選手は常に人気のある職業です。

そんな子どもたちが憧れるサッカー選手は、実際にどのような道を歩んできたのでしょうか。

インタビュー第一回目となる今回は、J1三連覇を狙う川崎フロンターレでキャプテンを務め、日本代表としても活躍している谷口彰悟選手に“学生時代”を中心に、これまでの歩みを伺いました。

【谷口彰悟選手、インタビュー2回目の記事はこちら】⇩
【プロへの軌跡】谷口彰悟が大切にする客観視とは?日本代表への想いも

【谷口彰悟選手、インタビュー3回目の記事はこちら】⇩
【フロンターレを常勝軍団に】キャプテン谷口彰悟の覚悟|3連覇へ向けて

【谷口彰悟(たにぐちしょうご)/川崎フロンターレDF・日本代表】
1991年7月15日生まれ。熊本県出身。大津高校から筑波大学へ進学し、2014年に川崎フロンターレへ入団。
現在キャプテンとしてチームを率いる他、日本代表でも活躍している。

インタビュアー・文:高須啓睦

人より成長が遅くて悩んだ“中学時代”

日本サッカーリーグのトップ、J1で活躍する谷口彰悟選手。

多くのサッカー選手を輩出している大津高校(熊本県) で全国高校サッカー選手権に出場し、日本でもトップクラスの強豪校、筑波大学へ進学。

その後川崎フロンターレに加入し、現在は日本代表選手としても活躍しています。

順調なサッカー人生に見えますが、学生時代は多くの悩みを乗り越えてきました。

―――サッカーを始めたきっかけを教えてください
谷口彰悟 兄が幼稚園で先にサッカーをやっていました。
弟の僕も一緒に見に行って「サッカー楽しそうだな」と思ったのがきっかけです。
僕も幼稚園に入ってから、兄と同じようにサッカーを始めました。

―――学生時代、サッカーは順調でしたか?
谷口彰悟 順調といえば順調でしたが、自分なりに悩んだ時もすごくあったしうまくいかない時期もありました。
そういった中で“どうやったら上手くなれるか”“どうやったら試合でもっと活躍できるか”っていうのを考えながら、毎日練習に取り組んでいました。

はたから見れば順調なサッカー人生だねって言われるかもしれないですけど、自分の中ではいろいろと悩みながら考えながらやってきたっていうところはありますね。

―――どのような悩みがありましたか?
谷口彰悟 一番悩んだ時期は中学生の時ですね。小学生の時は本当にただサッカーが楽しかったんです。
もちろん小学生の時も優勝を目指して戦っていました。相手を抜いたり点を取ったりそういったところがすごく楽しいなと思っていたんですが、中学生になると“体の成長”という部分で悩みました。

僕は成長するのが遅かったんですよね。
周りにどんどん抜かされていって、身長もそうだしスピードもそうだし、体の強さとかもどんどん抜かれていって全然通用しなくなっていきました。
「あれ?今までこうやってやったら相手を抜けていたのに全然抜けないな」とか、普通に走っても「あれ、なんで俺こんなに遅いんだろう」って。

今となっては成長速度に差があるので当たり前だとわかるんですが、当時はやっぱり負けたくないっていう気持ちも強かったので「自分はこのくらいの選手なのかな」と、絶望じゃないですけど悩みながら過ごしていました。

その後高校で一気に身長が伸びると、今度は急な成長に対応できずうまく力を発揮できなかった時もあったといいます。
誰もが経験する成長期の悩みに対して谷口選手は“自分の体と会話すること”でうまく乗り越えてきました。

谷口彰悟 身長は高校1年生から2年生くらいで多分10㎝くらい伸びましたね。
ただ、体が大きくなる分、思い通りに体が動かない時期っていうのもあったりして…。自分はこう動きたいのに体がついてきていないとか、逆に体が予想以上に動いちゃったりとか。

成長期にはそういったことがあったので、とにかく自分の体とよく会話するようにしていました。
自分の中で「今どういう状況なのか」「どういうことができてどういうことができないのか」っていうことを常に自分自身で分析しながらやっていくと、うまくいきやすいのかなって、今思うと感じます。

とにかく鍛えられた高校サッカー

現在サッカー選手として活躍している選手の多くは高校に進学する際、学校のサッカー部に入部していた選手と、クラブチームに所属していた選手、大きく2つに分かれます。

谷口選手はクラブチームではなく、高校のサッカー部出身の選手です。クラブチームでサッカーをする選択肢もあった中で、高校の部活を選択した理由を伺いました。

―――中学生から高校生に上がる時、プロチームが運営する育成組織“ユース”でサッカーを続ける選択肢もあったと思いますが、高校に進まれた理由はありますか?
谷口彰悟 僕が高校生の時、九州はやっぱり高校サッカーが盛んだったので、ユースに進むというよりも“高校サッカーをやる”っていう方がちょっと魅力があったんですよね。

ユースに進むという選択もあったんだろうけど、僕の場合は全然考えていませんでした。
「高校サッカー選手権に出たい」という思いがあったので、熊本県でトップクラスの力があった大津高校に行くしかないだろう!みたいな感じで進学しました。

―――高校のサッカー部に入ってよかったと思うことはありますか?
谷口彰悟 もうとにかく、すごい鍛えられたんですよ。
思春期真っただ中の高校時代を、365日サッカーに費やして、汗と涙と血と(笑) みんなで共有しながら生活した三年間はものすごく尊いなっていうのは今でも思います。

もちろん高校生だったら“もっと遊びたい”とか“友達とどっか行きたい”とかそういうのもあったと思いますけど、それらを犠牲にしながら一つの目標に向かって自分達を律しながら進んでいくっていうのを経験できたのは、すごく貴重でしたしよかったと思っています。

―――高校時代はどんな選手でしたか?
谷口彰悟 ベースは多分あまり変わっていないと思うんですけど、今はディフェンダーをしていますが、高校生の時はかなり攻撃的なポジションをしていて、こう見えても結構得点を取っていました (笑) でも高校時代も順調だったわけではありません。

高校生になったら、より強くてでかくて速くて…みたいな人がたくさんいるので、その壁を越えていかないといけないというところから始まりましたね。

もちろん簡単にレギュラーなんてとれなかったです。先輩方もすごくいい選手がたくさんいましたし同学年でも一学年40人近くいたので、そういった同級生たちとも競っていかなければいけませんでした。
そういった意味では本当に刺激的な毎日でした。

―――苦しい時を乗り越えられた“軸”は何かありましたか?
谷口彰悟 やっぱり一つ大きな目標として「高校サッカー選手権に出場したい」「全国制覇したい」という思いが自分の軸となっていましたね。
“そのためには何をしなければいけないのか”っていうところを常に考えていました。

あと、いろんな言葉の力に助けられました。
苦しいと思ってる時は、サッカー部の先生がよく言っていた『苦しい時こそ前進している』という言葉に支えられていました。

苦しんでいたりとか悩んでいたりとかする時は意外と成長している、成長できるチャンスなんだなって考えながら。
そういった言葉を自分の力に変えて頑張っていましたね。

―――部活との両立はできていましたか?
谷口彰悟 いや、難しかったですね(笑) 朝練が毎日あって、通いだったので4時半ぐらいに起きて5時20分ぐらいの始発の電車に乗っていました。基本的にずっと眠いんですよ。

朝練が終わって授業が始まっても眠くて、先生に怒られることもありました。
でもやっぱりテスト勉強はしっかりやろうと思って、一夜漬けでもなんでもとにかくやっていました。
きれいな文武両道はできなかったですけど、必死に頑張っていましたね。

僕は要領が悪いんですよ。要領が良かったらもうちょっとうまくできたな、っていうのはすごく思います。

今何を一番にやっていかなきゃいけないのかっていうのを、もっと考えて行動できていたら何かもうちょっと違ったかなと思っています。

今、文武両道がうまくできずに悩んでいる学生がいたら、そこはしっかり“今やるべき順位を考えながら”部活も勉強もやっていったほうがいいよと伝えたいです。

精神的にも技術的にも高められた“大学生活”

高校卒業後にプロになるという選択肢もあった中、谷口選手が選んだのは大学への進学でした。

大学はサッカーだけでなく様々なことを経験できる学びの場。そんな大学時代を振り返っていただきました。

―――高校卒業後、数ある大学の中で筑波大学を選んだ理由を教えてください
谷口彰悟 筑波大学はやっぱりスポーツの分野でもハイレベルな大学だったし、国立というのもまた魅力的でした。
サッカー界でも優秀な人材を輩出されている大学だったので、そういったところで自分も頑張っていきたいなという思いで進学しました。

関東大学リーグという素晴らしいレベルの高いリーグで試合が出来ていたので、精神的にも技術的にも高められた4年間だったと思います。

―――学生時代“やっておけばよかった”ことはありますか
谷口彰悟 もっともっと勉強しておけばよかったなって思います。

それこそ筑波大学に行かせてもらいましたけど、サッカーの結果に結びつきそうな授業だったり、ヒントをいただける授業がたくさんあったので、そういったものを大事にしながらもっともっと力に変えていかないといけなかったということはちょっと後悔しています。

あとは語学ですね。英語をもっとしっかり学んでおけばよかったなっていうのは感じているところです。
サッカーのトレーニングというよりかは、僕はそっちの方がもう少ししっかりやっておけばよかったなと思っています。

プロになった姿をイメージしながら、今すべきことを考える

―――プロを目指している子どもたちへメッセージをお願いします
谷口彰悟 やっぱりプロを目指すって簡単じゃないと思うし、いろんな壁がたくさんあると思います。

でも、本気で目指すなら絶対に諦めないでほしいです。
自分がプロになった姿を常にイメージして“そのためには今何をしなければいけないのか”っていうことをきちんと逆算してやっていけば、いろいろとヒントがあると思います。

そして、そういったことを“続ける”ことが、プロになるためには大事な要素だと思います。

これをやったらプロになれるよっていうのはないと思いますが、“自分で考えて何かをする”っていうことができないとプロにはなれないと思うので、自分の中でたくさん悩みながら、プロになるイメージをしながら1日1日を大切に過ごしてほしいなと思います。

谷口選手ロングインタビューVol.1はここまでです。

二回目となる次回は、J1リーグ3連覇を狙う川崎フロンターレでキャプテンを務め、日本代表としても活躍している谷口彰悟選手にこれまでの“プロサッカー選手への歩み”を始め、今シーズンの目標、日本代表とW杯への想いも存分に語っていただきました。

【谷口彰悟選手、インタビュー2回目の記事はこちら】⇩
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高須啓睦

高須啓睦

フリーアナウンサー(元NHKキャスター)

学生時代は陸上部で毎日走り込んでいました。主な種目は100mハードルでした!最近はゴルフとキャンプにハマっています。スポーツは見るのもするのも大好きです!

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