新潟県の帝京長岡高校野球部は、磨き上げた個々の力と強力な打線を武器に、近年頭角を現してきた高校のひとつ。
2023年の春季新潟県大会優勝。今回は初めての甲子園出場を目指す夏となります。
大会へ向けての想いを、芝草宇宙監督と長谷川晴也キャプテンにお話を伺いました。
インタビュー・文:高須啓睦
【帝京長岡高校】
・部員数
3年生19人 2年生29人 1年生31人
・出身プロ野球選手
茨木秀俊選手(2022年/阪神タイガース)
・過去戦歴
春選抜出場0回 夏甲子園出場0回
2022年選手権新潟大会 準優勝
2023年春季新潟県大会 優勝
芝草宇宙監督
帝京高校を卒業し、北海道日本ハムファイターズや福岡ソフトバンクホークスでプロ野球選手として活躍。
現役引退後は帝京高校や帝京長岡高校で外部コーチとして投手を育て、2020年4月に帝京長岡高校の監督に就任。本校では今年で4回目の夏を迎える。
今年のテーマは「最後の一球まで集中する野球」
ーーー去年の秋、そして今年の春とチームとしてぐんぐんと力を伸ばしている印象がありますが、監督からはどう感じていますか。
芝草監督
今のチームは本当に大会の中でどんどん力をつけていったように感じています。特に3年生は入った時から打力という面では期待していたメンバーだったので、3年生になって確実性も出てきて、結果に繋がってきているんだと思います。
ーーー今年のチームの強みはどこにあると考えますか?
芝草監督
普段の練習から「最後の一球まで集中する」ということをテーマに掲げています。
どんなことがあっても“勝つための手段”をどうするのか、そのために自分たちがどうやって試合を進めていくのかという点を一人ひとりが考えて野球ができる点が今年のチームの強みですね。
―――守備、打撃に関して意識していることはありますか。
芝草監督
打線は当然いいんですけれども、だからこそ常に意識しているのは守備ですね。全員で最後までしっかりと守る。
“攻撃的に守る”っていうことを一番に考えながら野球をやっています。それは大事にしています。
―――“攻撃的に守る”ために取り組んでいることはありますか。
芝草監督
守備では時間をかけてコーチにノックを打ってもらっています。ノックでもとにかく一球にこだわる。
エラーした後、試合が終わるまで、とにかく全員で最後まで一球に集中してやりきることを意識して練習しています。
当然試合に参加していないメンバーも意識は同じです。自分が入った時にどうするかっていうことを考えながら練習しているので、メンバー以外の選手も少しずつ状態が上がってきています。いい底上げになっているかなと思います。
個別練習で鍛えた“個”の力が武器
―――こだわりの練習法はありますか。
芝草監督
今年の冬は“守備力だけを鍛えるメンバー”と“打力を鍛えるメンバー”、あとはピッチャーであればちょっと全体を鍛えながら柔軟性を出して…ということをやってきました。
ひとりひとりの選手が一番必要な部分を考えて個別練習を3か月行ってきたので、それぞれ必要な力がついたと思います。
毎年こう僕も探りながらいろんな練習を取り入れているんですけれど、その中でも今年の冬は“個別の練習”をほぼ毎日やってきました。
―――今年のチームのキーマンは?
芝草監督
2年生のエースの茨城佑太でしょうか。彼がしっかりと成長してくれないと、やっぱり甲子園で勝てるチームにはできないかなと思っています。
今はそこにポイントを置いてチームをもう一回作り直しています。
―――どのような期待をしていますか。
芝草監督
去年まで兄の茨木秀俊という選手がいたんですけれども(2022年 阪神ドラフト4位指名で入団)、その兄貴よりもポテンシャルは非常に高く、良いものを持っている。
体がまだ弱いなど課題はありますが、力のあるストレートを投げられるピッチャーに早くさせたいなと思っています。
―――選手たちにはどのような想いを持って指導されていますか。
芝草監督
僕は“どんなことでもできるだろう”という思いで選手たちには接するんですね。どんなことでもしっかりと教えれば出来ると感じながら指導しているので、どれだけ難しいことであっても「できるだろう」って信じて練習しています。
今年は絶対に優勝を取りに行く
―――昨年の夏の県大会は準優勝でしたが、今年にかける思いはありますか。
芝草監督
昨年は甲子園には行けなかったんですけれど、今年は絶対優勝を取りに行こうとチーム全体の雰囲気も上がってきています。また、今年のチームは甲子園にいける力はあると思っています。
―――最後に今年の夏にむけての意気込みをお願いします。
芝草監督
目指すところ(甲子園出場)は選手も一緒なので、必ず優勝して甲子園で勝てるチームに仕上げて、全員で甲子園で新潟県代表に誇りを持って戦えるところまで、この夏の大会は内容にもこだわりながら勝負していきたいと思っています。
【その他の注目校インタビューはこちら】⇩
・【早稲田実業】みんながキーマン|生徒が作っていくチームで甲子園へ
・【享栄高校】名将とプロ注目エースを中心に全員野球で古豪復活へ
心がけていることはコミュニケーション
続いてチームのキャプテンである、長谷川晴也選手へお話をお伺いしました。
―――キャプテンから見て、今年のチームいかがですか。
長谷川選手
私達のチームは粘り強い野球ができているチームだと思います。
攻撃では打線で繋いで、自分で決めるっていう気持ちではなく“全員で繋ぐ”という気持ちで粘り、守備でも粘り強く守りきるという野球ができているチームだと思います。
―――チームの雰囲気はどうですか?
長谷川選手
全員がプレーに入り込むという意識で、試合に出ている選手に限らず、ベンチの選手やスタンドの選手も含めて全員が明るい雰囲気で戦うことができていると思います。
―――キャプテンとして大切にしていることはありますか?
長谷川選手
帝京長岡高校はいろいろな県から選手が来ているんですけれども、1人1人とコミュニケーションをとってチームのことを考えるように意識しています。
コミュニケーションをとることによって、ひとりひとりの性格や良さがわかるので、プレーの中でも「ここはこの選手に声をかけよう」「集中力が切れないように声をかけよう」とか、そういうことを考えることができています。
―――昨年のチームと比べて今年のチームの変化は何か感じますか?
長谷川選手
昨年のチームと比べて、全員ひとりひとりの意識が高くなっているように感じます。意識の高い選手が集まり、レベルの高い環境で練習ができていると思います。
―――今年のチームは個性が強いと監督からのお話がありましたが、そういう点はキャプテンからも感じますか?
長谷川選手
個の力も強く個性も豊かだと思います。いろいろな考えをする選手がいるので、それをまとめるのが自分の役目だと思っています。
「やることをしっかりやる意識」が結果につながってきた
―――今年の春の県大会は見事優勝という結果でした。この結果につながった要因はキャプテンから見てどのような事だと思いますか?
長谷川選手
細かいことなんですけど、私生活含めやることをしっかり徹底したことが結果につながったんだと思います。
新チームが始まってからみんなで私生活から変えていこうと決めてやってきました。掃除だったり身の回りの整理整頓だったりを意識してきたので、プレーの中でも自然と「やることをしっかりやる」という意識が生まれているように思います。
―――今年の夏はどんな試合をしていきたいと思っていますか?
長谷川選手
“常勝軍団”としても、今年の春優勝してここからが自分達の正念場だと思っているので、今年の夏も必ず勝ち取り、全国でもしっかり勝っていけるような試合をしていきたいです。
―――最後に意気込みをお願いします
長谷川選手
今年の夏も熱く、今まで徹底してきたことを徹底して、必ず県大会優勝し、そして甲子園に出た後も新潟代表として恥じないプレーをしていきたいです。
取材後記
帝京長岡高校野球部の取材を通じて、チームの熱意と結束力を感じることができました。監督が「最後の1球まで集中する野球」とおっしゃるように、そういった細かい部分まで求めていった先に、甲子園という大舞台で躍動することができるのだろうなと感じました。
チームの目標は甲子園出場であり、春の県大会での優勝を経てさらなる成長を遂げています。選手たちは一丸となってこの夏の大会に臨み、必ず優勝し新潟県代表として誇りを持って戦いたいという意気込みが感じられました。
彼らの最後の一球への集中力とチーム全体の結束力があれば、甲子園出場という夢を実現することができるでしょう。新たなる歴史が生まれる瞬間を楽しみにしています。
【その他の注目校インタビューはこちら】⇩
・【愛工大名電】令和の3連覇に挑む強豪校の夏|その新たな戦術とは
・【中京大中京】常に日本一を狙う伝統校、チーム作りは一心一体で