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夏の甲子園・インタビュー特集

【早稲田実業】みんながキーマン|生徒が作っていくチームで甲子園へ

王貞治選手、荒木大輔投手、斎藤佑樹投手など、多くのスター選手を輩出している早稲田実業。

甲子園の常連として毎年重圧がかかる名門校だが、今年はどのようなチームとなっているのだろうか。

気になる仕上がり具合などを、監督と主将に直撃取材した。

インタビュー:高須啓睦

【修正分】ザナックス様_リニューアルバナー

【早稲田実業】

夏の全国大会は1915年の第1回大会にも出場している古豪であり、以後春夏通算50回の出場を誇る超名門校。

1957年春には王貞治選手が2年生エースとして活躍し優勝。2006年夏の甲子園は斎藤佑樹投手の熱投で優勝を果たしている。

和泉実監督

高校時代は早稲田実業の捕手として活躍。2年生だった1978年には春夏連続で甲子園に出場した。

1992年に監督に就任。2006年には悲願の夏の甲子園初優勝へと導いた。

箭原裕太郎(ヤハラ ユウタロウ)外野手

3年生。右投げ左打ち。センター。1年生から試合に出場していて、監督の信頼も厚い主将。

みんながキーマン

ーーー監督から見て、今年のチームを一言で言うと?
和泉監督
今年の3年生は1年生の夏から出ている子が多いんですけど、結果はまだ出てない。そういう意味では、何かまだ足りないという感じかな。
その何かは、まだ分からない。今探してるんですよ。

ーーー今年のチームの強みはどのようなところにありますでしょうか?
和泉監督
勝ってないからねー。優勝できたら強みとか言えるけど、まだ負けてる段階で強みと思ってると、そこが弱みかもしれないしね。
これからですね。それを探して……隙がないようにいきたいけどね。

ーーーキーマンとして挙げるならどの選手ですか?
和泉監督
みんなだな。
キーマンと思ってる選手が機能しないと負けちゃうということになるからね。ある意味みんなキーマンだね。
みんな与えられたところでちゃんと機能してくれれば、当然試合も取れるようになるだろうからね。

最後まで勝ったと思う必要も、負けたと思う必要もない

ーーーチームとしてなにか目標は掲げていますか?
和泉監督
掲げてなくても、みんな甲子園と思ってますね。
それはうちに限らず、高校野球ってそれしかないから。分かりやすいよね。それに向かってみんなやってくということだね。

ーーー甲子園に向かっていく夏ということで、どういう戦い方で勝ちたいと考えていますか?
和泉監督
トーナメントなんで、いい試合をしても負けたら終わっちゃいますからね。
たとえば打ち合いだろうが、エラーだろうが、1点多けりゃ勝って次の試合に臨めますから。とにかく甲子園に出られるように。
戦い方なんてのは、反則しちゃダメですけど、一生懸命やった中でということですね。
野球というスポーツは時間で切られないんです。ゲームセットとなるまでプレーできるわけですから。
最後のワンアウトまで勝ったと思う必要もない、負けたと思う必要もないということですね。

ーーー予選が始まるという中で、課題なども出てきてはいると思うのですが、守備と攻撃それぞれの課題をお聞かせください。
和泉監督
ピッチャーに一人のエースというのがまだいなくて継投でやってるし、守りもまだこれでいこうという固定ができていないんですね。
春に1年生が入ってきたので、それも含めて一番いいシフトでやろうと思ってるんですけど、今それを探っているところですね。
攻撃はね、そんなにバカンバカン打つやつもいないから、打線の線でね、みんなで繋いでやっていくという感じになると思います。そういう感覚は彼らも持っていますからね。そこを徹底したいですね。

ーーー去年の秋から春にかけて、チームはどう変わってきましたか?
和泉監督
少し経験があるから、試合の中でゲームを読んじゃうきらいがあってね。「こういう展開だからこうなる」とか。
それが全部負けた経験でしかないから、諦めが早い、結果的に淡白になると。
それが敗戦を重ねることで粘り強くなって、春には逆転できるゲームもあったんで、そこは少し変わってきたかなというところですね。
あとは、練習は去年の夏まではコロナで本当に練習もできなかったから、今年はそこはできてますよね。
うちだけじゃないけど、去年の3年生は本当に練習できなかったから。練習は半分、遠征や合宿もできなかったし。

ーーー早稲田実業というと、応援してくださるOBがとても多い印象があります。
和泉監督
OBの方の応援なんかもこの3年ほどできてなかったんでね。
今年の夏はぜひ1つでも多く勝ち上がって、先輩たちに彼らの頑張りを見てほしいですね。
応援も含めた早実らしさ。それは彼らにとっても初めて経験することですから。
うちはそういうところの強さはうんとあったんですけど、ここ3年なかったのがね……やっぱりあるのとないのとでは、そりゃあ違います。

生徒の野球だから。彼らがチームを作っていく

ーーー和泉監督が指導で大切にしていることを教えてください。
和泉監督
僕が何かというよりは…生徒の野球だから。生徒がチームを作っていく中でアドバイスをするという形ですね。
ただ長い経験、甲子園に出させてもらった経験があるから、アドバイスはして…。
でも彼らがチームを作っていくということです。キャプテンを中心にね。

練習にも邁進してるし、頑張ってます。やっぱりコロナ禍でね、大変だったと思うよ。
話もできない、飯もいっしょに食えない、高校生で一番やりたいこと何もできないんだから。想像つかないよね。大人だから我慢できるけど。
そういうときに感受性が育った子がどうなるのか……指導する側としては今まで以上に一人ひとりに向き合っていかなきゃいけないよね。
言葉の選び方だったり、じっと様子を見ることだったり。

最後の試合が終わった時に

和泉監督
ただね、野球をやりたいっていう気持ちは変わらないんですね。素直に受け止めてくれる感じはあると思いますね。
勝負事なんで、夏が終わったときにその結果で、今年のチームはどうだったかという評価になるんですけど……ただ彼らはよくやってると思いますね。
高校野球っていうのは、最後の1校だけが勝って、あとはみんな負けるんです。ある意味では負けるためにやってるんで。
でも最後の試合が終わったときに「よく頑張ったな」と思えるようなチームに、今年もなってますよ。

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仲がいい明るいチーム。一体感に自信

「生徒がチームを作っていく」という監督。その中心となる箭原裕太郎(ヤハラ ユウタロウ)主将にも話を伺った。

ーーーキャプテンから見て今年のチームはどうですか?
箭原選手
今年のチームはみんな明るくて、仲がいいという感じですね。
みんな張り切りながらやってます。

ーーーチームのムードメーカーは誰ですか?
箭原選手
助監督の久保田理貴っていうのが、本当に明るくて、いつも声を出してくれてます。
春の大会でも苦しい場面で声を出してくれて。それが逆転に繋がったと思います。

ーーー新しく入った1年生の選手たちの印象はいかがでしょうか。
箭原選手
ピッチャーもいい選手がいるし、プレーの面では1年生にしてはやるなという感じです。
元気はあまりないですけど(笑)
3学年揃うと競争率も上がるので、刺激をもらってますね。

ーーーチームのスローガンなどはあったりしますか?
箭原選手
「氣」です。
結局最後は気迫だったり、そういう気持ちの面だと思うので、「氣」という言葉を大事にしています。

ーーー去年のチームと比べて戦い方に違いなどはありますか?
箭原選手
去年から出ているメンバーが多くて、試合慣れしている部分があるので、あまり物おじしないでいけるかなというのはありますね。
守備に関してもポジション変更とかあまりなくて、試合経験を積めたので。あとは全員野球ですね。
ピッチャーは大きな柱はいないですが、みんなで繋ぎながらやってる感じです。
打撃もそうですね。清宮(幸太郎選手)さんみたいなすごい人はいないんですけど、それが逆にまたいいのかなと。
そういった一体感には自信がありますね。

生徒が作っていくチームを体現し、楽しみながら甲子園を掴む!

ーーー箭原選手がキャプテンとして心がけていることを教えてください。
箭原選手
ベンチ入りしているメンバーだけに目を向けないということですね。周りも皆協力してやってくれているので…。いつも感謝をしています。
そのおかげでチームに亀裂が入らずにやっていけるのかなと。やっぱりメンバーを外れると悔しいじゃないですか。
でも試合のときとかにすごく声を出してくれていて、本当にありがたいなと思います。

ーーー箭原選手が1.2年生の時はコロナ禍ということもあり、色々な制限があったかと思います。今大会では観客の方々も増えると思いますが、その辺りはどのように感じていますでしょうか。
箭原選手
大会のとき、あまり観客が入らないのもあって、ちょっと大会っていうのを感じられていなかったんです。でも春から観客も入って大会らしさを感じることができました。
夏はもっと観客も入ると思うし、そういう応援を絶対に力に変えられるチームなので、頑張っていきたいです。OBの方たちも来てくださいますから。
練習でいうと、去年まではコロナで自主練があまりできなかったんですが、今年は制約もなくなってしっかり自主練ができてます。

ーーー監督も選手の自主性を大事にするとおっしゃっていました。
箭原選手
そうですね。そこは思う存分やらせてもらってます。話し合いながら。
今までは強豪校と比べて身体が弱いなというのがあって、その面をみんなで考えて「冬場は筋トレをめちゃやろう」と話し合って。
それでオフシーズンに身体作りもできたかなと思います。打球の飛距離がだいぶ伸びてきて、打球の質も変わりました。
あとピッチャー陣がもう、みんな筋トレ大好きで。真っ直ぐの球速はだいぶ伸びていますね。10キロ速くなったのもいますし。
他も自主練ではみんなやりたいことが決まっているので、そこをどんどん伸ばしている感じですね。

ーーー夏に向けての課題は?
箭原選手
打撃に自信はあるんですけど、大会で上に上がるにつれて、まだその打撃を活かせないというところがあります。そこをこの1ヶ月でもっと極めていくこと。
ピッチャー陣も秋よりはだいぶ良くなったんですけど、まだ上でやれるレベルではないので、もっと制球力を上げていけたらなと思います。

ーーーチームとして、どのような戦いをしていきたいですか?
箭原選手
春は「逆転の早実」って代名詞が付いたんですけど、それって負けてるような感じで。なので突き放していくようなスタイルでやっていけたらいいですね。
まあそう簡単には夏はいかないんで、チーム全体で粘っこく、繋いで繋いでいけたらなと思います。

ーーー最後にこの夏の意気込みをお願いします。
箭原選手
1年生からやってきて、集大成だと思っています。
思いっきり楽しみながら、甲子園を掴み取ります!

取材後記

生徒の野球だから。彼らがチームを作っていくと話す和泉監督。生徒たちへの信頼と愛情を感じた取材でした。

チームとしては、去年の秋には試合を諦めがちだったチームが春には「逆転の早実」へと進化。しかし、監督と主将はさらなる高みを目指していました。
強力な応援も戻ってくるこの夏、その声を力に変えて、早稲田実業が全員野球で躍動する姿を見れることが楽しみです。

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