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【MLB・NPB】飛ぶボール・飛ばないボールの影響や記録について

米国野球メジャーリーグ(MLB)では、昨年満票を獲得してMVPに選出された大谷翔平選手の大活躍が記憶に新しいところですが、今年は「飛ばないボール」の影響で、本塁打が激減していると話題になっています。

MLBと日本のプロ野球(NPB)を含む、「飛ぶボール」「飛ばないボール」の歴史、またその影響と記録などについて考察します。

MLB・NPBおけるボール選定の経緯

「飛ぶボール」「飛ばないボール」の問題を探る前に、MLBとNPBそれぞれの公式球選定の経緯をみていきましょう。

MLB

MLBの公式球は、1878年から1976年まではスポルディング社が、1977年からはローリングス社が独占供給しています。

NPBの公式球が野球規則に定められた大きさ・重さの「ほぼ下限」であるのに対し、MLB公式球は「ほぼ上限」であるため、日本の公式試合球よりも若干大きく、また重くなっています。

NPB

NPBにおける公式球の供給メーカーは多数ありましたが、2010年1月に開かれた日本プロ野球組織実行委員会での判断が大きな分岐点となりました。

ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)をはじめとする国際試合の増加に伴い、ボールの規格を世界的に統一するため、2011年以降のNPB公式戦ではミズノ社に独占的に供給させることが決定され、現在に至っています。

飛ぶボールの問題と改善の歴史

「飛ぶボール」は、飛び跳ねるウサギに例えられることから、ラビットボールとも呼ばれることがあります。

硬式ボールの製造過程で、何らかの要因で反発係数が上がったり、重量が軽くなることで飛距離が著しく上昇するのが主な要因ですが、飛ぶボールは本塁打が出やすいことで、走塁や盗塁といった、野球の特徴であるスピードや醍醐味(だいごみ)が損われるとして批判されることがあります。

以下に、MLBとNPBにおける主な問題と改善の歴史を概観します。

1910年:飛ぶボール

MLBでは1910年ワールドシリーズに初めてコルクを芯にした飛ぶボールが使用され、1911年シーズンでは3割打者が前年の30人から57人に増えました。

1931年:飛ばないボールへ改善

飛ぶボールによって本塁打が増え、批判されたため、1931年コルクをゴムで包み、投手が握りやすいように縫い目を高くする改善が行われました。

NPBでの飛ぶボールへの移行

その後、NPBでは何度か「飛ぶボール」への移行が実施され、長らく続く「打高投打」の時代へと移行していきました。

ここ最近起きた、飛ぶボール・飛ばないボールの影響と記録

こうした経緯を踏まえ、MLBおよびNPBで最近起きた大きな事例と、それに伴う記録の変遷についてみていきます。

NPB:2011年~2012年に使用された統一球の問題

上述した、2011年のNPB統一球がもたらした「飛ばないボール」の影響は顕著(けんちょ)でした。

統一球採用の結果として、本塁打数は激減し、その反面、投手の完封試合は急増。

2011年~2012年シーズンは明らかに「投高打低」の状況が続きました。

そしてこの統一球は、2012年に行われたMLBとの親善試合で、MLBの統一球以上に「飛ばないボール」であることが判明しました。

2010年と2011年のNPB本塁打数を比較すると、驚きます。

NPB全12球団の年間本塁打数は、2010年が1605本だったのに対し、2011年は939本と、41%もの大幅な減少となってしまったのです。

本塁打王の記録をみても、タイトル獲得には概ね40本前後必要なのが常識ですが、2011年のセリーグ本塁打王:バレンティンは31本、2012年はセリーグがバレンティンの31本、パリーグの中村が27本という、低レベルなものでした。

NPB:2013年の更なる変更

こうした状況を受け、独占供給メーカーであるミズノ社は仕様を変更し、それ以降、現在では常識的なレベルでの本塁打記録へと戻っています。

MLB:2022年に起きている異変

MLBでは今年、「飛ばないボール」だけが使われている影響から、全体の打率は大きく低迷しており、本塁打も激減しています。

具体的には、本年4月27日の段階で本塁打数は昨年比27%減、1試合の得点は1.19点減少しています。

事実、大谷翔平選手も「今年はボールが飛ばない」と語っています。

その理由として、米国のスポーツ専門メディアは、今季MLBでは「飛ばないボール」だけが使われていると報じました。

昨季は新型コロナウイルスの関係で製造にばらつきが生じ、飛ぶボールと飛ばないボールが併用されていたとのことです。

今後、状況がどう推移していくのかに注目が集まっています。

まとめ

みてきたように、MLBでもNPBでも、過去には様々な経緯から、その時代・時代によって「飛ぶボール」「飛ばないボール」の採用が変転しており、その結果として、打者や投手の記録にも大きく影響しています。

今年も、コロナ禍という思わぬ副作用を背景とした、MLBでの「飛ばないボール」が話題となっていますが、直接影響を受けるのは選手です。実力以外の部分で自分の成績が左右されては不本意ですね。

MLB・NPBともに、公平・公正な判断と、正しい統一基準に沿ったボールの提供を望みたいものです。

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ミッシー

ミッシー

スポーツ全般を観るのもするのも大好きなスポーツファン

オールド野球ファンがドメインですが、他にもラグビー・サッカーなど、どんなスポーツでも大好きです。本格的なスポーツ経験は剣道で、趣味のスポーツとしては野球・水泳・ジョギングなどを愛好しています。

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