スポーツは競技であると同時に、平和の象徴でもある。そう考える人は多いのではないでしょうか。
オリンピックがその最たるものであり、長年平和と希望の象徴として人々に愛され、親しまれてきました。
スポーツは世界中で人々を楽しませ、時に癒し、鼓舞する存在として広く愛されてきました。
国によってどのスポーツが人気になり、競技人口が増えていくかどうかは、その国の歴史や文化と大きく関係していることでしょう。
今回はその中でも、アメリカ、イギリス、日本の3つの国に絞ってご紹介します。
アメリカで人気のスポーツ
海外のネットニュースサイトであるsports showによれば、2020年の段階で人気のスポーツは上位から順に以下の通り。
1位がアメフト、2位が野球、3位がバスケ、4位がアイスホッケー、5位がサッカー、6位がテニス、7位がゴルフ、8位がレスリング、9位がモータースポーツ、10位がバトミントンと並びます。
1位:アメリカンフットボール
文字通り、「アメリカ」の名前が入った競技です。歴史は比較的新しく、現在のルールで正式にスタートしたのが、1906年であると言われています。
元々はサッカー、ラグビーと同じ源流を持ち、フットボールと呼ばれるスポーツの一つでした。ただし、イギリスではフットボールと言えばサッカーを指すのに対し、アメリカではアメフトを指すのが基本であることから人気の差がうかがえるでしょう。
アメリカの文化に寄り添った形で進化してきたスポーツである以上、なんといっても国内での競技としての扱いの大きさが破格なのが大きな特徴です。
試合には非常に多くのファンが訪れる上、NFLのトップ選手ともなれば世界で最もお金を稼いだ選手のトップ10ランキングに複数人がランクインできるほど。
多くの若者たちが憧れ、魅力を感じるのも当然のことと言えます。
2位:野球
世界では競技人口7位とされるスポーツですが、アメリカではバスケットボールと同等以上の人気を誇っています。
実は、野球とクリケットは似通っている面が非常に多いスポーツなのですが、アメリカではクリケットよりも歴史の新しい野球の方が人気を博しました。
その理由として、野球の正式なルールが初めて採用された1846年頃、イギリスとアメリカのスポーツに対する考え方の違いが大きかったのではないかとされています。
貴族社会であったイギリスは、貴族の遊びとしてスポーツが嗜まれる傾向にありました。一方アメリカでは、労働者達が気軽に楽しめるものとしてスポーツが認知されていた為、貴族のスポーツのイメージが強かったクリケットは広まりづらかったのではと考えられているのです。
3位:バスケットボール
なんとコロナの影響を受けて一時無観客開催になったにもかかわらず、2019年~2020年シーズンの総収入は約8600億円というとんでもない数字を叩き出しているそうです。
バスケットボールが広まった背景には、やはり“バスケができる環境が充実しているから”ということが最大の要因として挙げられるでしょう。アメリカにはストリートバスケット場が数多く存在し、一般人が気軽にバスケを楽しむことができます。
国全体がバスケットボールという競技を支援していますし、バスケのプロであるNBAの選手は最低年俸でも約6000万円というのですから驚きです。日本のプロバスケットボール選手の年棒が基本的に約300万円前後というのですから、いかにアメリカという国がバスケットボールという存在を重要視しているかは歴然でしょう。
イギリスで人気のスポーツ
先ほどアメリカの項目でも少し触れましたが、元々アメリカにある競技の多くはイギリスにあったものを独自にアレンジ、発展させて作られたものが多いと言われています。
しかし、そんなイギリスとアメリカではスポーツに対する考え方が大きく異なっていたことや文化の違いもあり、イギリスで人気のスポーツがそのままの形でアメリカに定着することは少なかったようです。
1位:サッカー
19世紀にイングランドから始まったこのスポーツは、今でもイングランドを中心に高い人気を誇ります。
イギリスでフットボールと言えば基本的にサッカーを指すくらいです。
デイビッド・ベッカムなどのイギリス人選手の名前はサッカーに詳しくない人であっても耳にしたことがあるほどでしょう。
サッカーは、イギリスというよりもヨーロッパ全土で人気があり、その理由はやはりイギリス発祥で人々の文化に強く根付いているからというのが大きいとされています。
2位:ラグビー
先述したようにイギリスでフットボールと言った場合基本サッカーを指しますが、このもう一つのフットボールであるラグビーもイギリスでは非常に人気があります。
どちらかというとイングランドより、ウェールズとスコットランドで特に愛されているようです。ちなみにフットボールは基本的に労働者階級の人々が楽しむものとして生まれたイメージが強いのですが、ラグビーの場合は貴族や中流階級に好まれてきたようです。
他にもテニス、ゴルフなどの日本でもおなじみのスポーツがイギリスでは人気ですが、特に目を引くのはやはりクリケットでしょう。野球とよく似たルールであること、世界的人気スポーツであることを日本人の多くが知りません。
16世紀初頭にイングランドで生まれたこのスポーツは、貴族を中心に長らく愛されてきました。今ではイングランドのみならず、かつて大英帝国の一部であったオーストラリア、インド、パキスタンなどでも人気のスポーツであると言えます。
日本で人気のスポーツ
上記2つの国からわかるように、多くの場合はその国で発祥した競技が国の文化に根付き、人気が出る傾向があるのは確かです。
ただし、日本の場合は海外から入ってきた多くのスポーツも高い人気を誇っています。
日本で最も観戦されたスポーツ
最も観戦されたスポーツは、現地観戦やネット観戦など全て含めて、順に以下の2021年のランキングが出ています。
1位は野球、2位はサッカー、3位はマラソンと駅伝、4位は大相撲で、5位はフィギュアスケートとスピードスケート、6位はテニスで、7位ゴルフ、8位ラグビー、9位陸上競技、10位バレーボールと続きます。
ただしこのランキングは、あくまで“より多く観戦されたもの”であり、実際の競技人口で比較するとまた違ったデータが出るのです。
日本の競技人口ランキング
総務省が5年に1度発表している「社会生活基本調査」の結果によれば(この場合の競技人口は、1年に1回でも行った場合は競技人口に加算するという方法)、1位はウォーキングと軽い体操、2位は器具でのトレーニング、3位はボウリング、4位はジョギングとマラソン、5位は水泳、6位登山、7位釣り、8位サイクリング、9位ゴルフ、10位野球という観戦者とはまったく違う結果になります。
日本人はプレイより観戦を楽しむ?
日本におけるスポーツは、どうやら“見て楽しみたいもの”と“自分が実際にやりたいもの”の意識が大きく異なるようです。
そのトップ10で両方上位に来るスポーツの一つがマラソン&駅伝。お正月に箱根駅伝を見るという人は少なくないのではないでしょうか.駅伝のルーツが、江戸時代の飛脚であるということを知っている方もいるかもしれません。
飛脚は長い距離をひとりで走るのではなく、数人で交代しつつなるべく早く情報を正確に届けることを仕事にしていました。これが駅伝の原点ではないかとされています。
日本に元々あった仕事を元にしている上、1917年4月27日に讀賣新聞社が主催した「東海道駅伝徒歩競走」から駅伝が正式にスタートし、やがてテレビ中継も始まり、人々に広く愛されるようになったようです。
自分でプレイするより見る方が好き、という人が多いのがアメリカでも人気である野球。実際これこそ日本で一番人気の競技であると認識している人が多いことでしょう。
日本で野球が人気の理由とは
何故野球が人気なのでしょうか?理由としては、テレビで中継されていて人々の眼に触れる機会が多いことや、プロのみならず高校野球までもが放送され、広く人々に親しまれているということも大きいでしょう。
しかし、理由はそれだけではなく、日本人に古くから根強くある“一対一で戦うのはかっこいい”という考え方が強いからとされています。サッカーなどの他の競技では基本が集団と集団の勝負となり、一対一で選手が戦う場面はあまり発生しません。
しかし、野球はピッチャーとバッターの名勝負・名場面が多く生まれ、それが昔ながらのサムライ文化を持つ日本人の考え方に非常にマッチしていたのではないか?とされています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。競技人口が多いこと、見て楽しみたい人の多いことは必ずしもイコールではないのがなかなか興味深い点だったのではないでしょうか。
今回挙げた3つの国のみならず、多くの国でそれぞれ育った文化があり、それに適したスポーツが発展してきた経緯があります。
今後はそれぞれの歴史を調べる際、スポーツと絡めていろいろと知ることも面白いかもしれません。
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