テニスの四大大会の1つである全仏オープン。
毎年5月末から6月初めにかけて開催されるこの大会は、球速が遅く、また高く跳ねるクレーコートが特徴で、選手にとっては肉体的にハードなことでも知られています。
そのコートの特徴から、ハードコートや芝コートを得意とするプレーヤーが全く勝てないことも。過去の年間チャンピオンの中にも全仏では優勝できなかった名選手が大勢います。
では全仏で優勝した選手はどのような顔ぶれなのでしょうか。
今回は、全仏オープンの男女シングルス優勝者一覧をご紹介。
優勝回数や賞金についても解説します。
【全仏オープン】歴代優勝者一覧
1891年に始まった全仏オープンは、当初はフランス人のクラブ会員たちだけの大会でした。しかし年間グランドスラムという構想が生まれると、1925年に世界中の選手が出場できる大会に。
当初は芝のコートでしたが1928年に会場が現在のローラン・ギャロスに移ってからは、赤レンガを砕いたクレーコートになりました。
男子
まずは男子の優勝者から一覧でご紹介します。
1891年 | H・ブリッグス |
1892年 | J・シェーファー |
1893年 | L・リブレー |
1894年 | アンドレ・バシェロー |
1895年 | アンドレ・バシェロー |
1896年 | アンドレ・バシェロー |
1897年 | パウル・アイメ |
1898年 | パウル・アイメ |
1899年 | パウル・アイメ |
1900年 | パウル・アイメ |
1901年 | アンドレ・バシェロー |
1902年 | マルセル・バシェロー |
1903年 | マックス・デキュジス |
1904年 | マックス・デキュジス |
1905年 | モーリス・ジェルモー |
1906年 | モーリス・ジェルモー |
1907年 | マックス・デキュジス |
1908年 | マックス・デキュジス |
1909年 | マックス・デキュジス |
1910年 | モーリス・ジェルモー |
1911年 | アンドレ・ゴベール |
1912年 | マックス・デキュジス |
1913年 | マックス・デキュジス |
1914年 | マックス・デキュジス |
1915年〜19年 | 大会なし |
1920年 | アンドレ・ゴベール |
1921年 | ジャン・サマズイユ |
1922年 | アンリ・コシェ |
1923年 | フランソワ・ブランシー |
1924年 | ジャン・ボロトラ |
1925年 | ルネ・ラコステ |
1926年 | アンリ・コシェ |
1927年 | ルネ・ラコステ |
1928年 | アンリ・コシェ |
1929年 | ルネ・ラコステ |
1930年 | アンリ・コシェ |
1931年 | ジャン・ボロトラ |
1932年 | アンリ・コシェ |
1933年 | ジャック・クロフォード |
1934年 | ゴットフリート・フォン・クラム |
1935年 | フレッド・ペリー |
1936年 | ゴットフリート・フォン・クラム |
1937年 | ヘンナー・ヘンケル |
1938年 | ドン・バッジ |
1939年 | ドン・マクニール |
1940年〜45年 | 大会なし |
1946年 | マルセル・ベルナール |
1947年 | ヨージェフ・アシュボード |
1948年 | フランク・パーカー |
1949年 | フランク・パーカー |
1950年 | バッジ・パティー |
1951年 | ヤロスラフ・ドロブニー |
1952年 | ヤロスラフ・ドロブニー |
1953年 | ケン・ローズウォール |
1954年 | トニー・トラバート |
1955年 | トニー・トラバート |
1956年 | ルー・ホード |
1957年 | スベン・デビッドソン |
1958年 | メルビン・ローズ |
1959年 | ニコラ・ピエトランジェリ |
1960年 | ニコラ・ピエトランジェリ |
1961年 | マニュエル・サンタナ |
1962年 | ロッド・レーバー |
1963年 | ロイ・エマーソン |
1964年 | マニュエル・サンタナ |
1965年 | フレッド・ストール |
1966年 | トニー・ローチ |
1967年 | ロイ・エマーソン |
1968年 | ケン・ローズウォール |
1969年 | ロッド・レーバー |
1970年 | ヤン・コデシュ |
1971年 | ヤン・コデシュ |
1972年 | アンドレス・ヒメノ |
1973年 | イリ・ナスターゼ |
1974年 | ビョルン・ボルグ |
1975年 | ビョルン・ボルグ |
1976年 | アドリアーノ・パナッタ |
1977年 | ギレルモ・ビラス |
1978年 | ビョルン・ボルグ |
1979年 | ビョルン・ボルグ |
1980年 | ビョルン・ボルグ |
1981年 | ビョルン・ボルグ |
1982年 | マッツ・ビランデル |
1983年 | ヤニック・ノア |
1984年 | イワン・レンドル |
1985年 | マッツ・ビランデル |
1986年 | イワン・レンドル |
1987年 | イワン・レンドル |
1988年 | マッツ・ビランデル |
1989年 | マイケル・チャン |
1990年 | アンドレス・ゴメス |
1991年 | ジム・クーリエ |
1992年 | ジム・クーリエ |
1993年 | セルジ・ブルゲラ |
1994年 | セルジ・ブルゲラ |
1995年 | トーマス・ムスター |
1996年 | エフゲニー・カフェルニコフ |
1997年 | グスタボ・クエルテン |
1998年 | カルロス・モヤ |
1999年 | アンドレ・アガシ |
2000年 | グスタボ・クエルテン |
2001年 | グスタボ・クエルテン |
2002年 | アルベルト・コスタ |
2003年 | フアン・カルロス・フェレーロ |
2004年 | ガストン・ガウディオ |
2005年 | ラファエル・ナダル |
2006年 | ラファエル・ナダル |
2007年 | ラファエル・ナダル |
2008年 | ラファエル・ナダル |
2009年 | ロジャー・フェデラー |
2011年 | ラファエル・ナダル |
2012年 | ラファエル・ナダル |
2013年 | ラファエル・ナダル |
2014年 | ラファエル・ナダル |
2015年 | スタン・ワウリンカ |
2016年 | ノバク・ジョコビッチ |
2017年 | ラファエル・ナダル |
2018年 | ラファエル・ナダル |
2019年 | ラファエル・ナダル |
2020年 | ラファエル・ナダル |
2021年 | ノバク・ジョコビッチ |
2022年 | ラファエル・ナダル |
女子
続いては女子の優勝者一覧です。
1897年 | フランソワーズ・マッソン |
1898年 | フランソワーズ・マッソン |
1899年 | フランソワーズ・マッソン |
1900年 | エレーヌ・プレボー |
1901年 | P・ジロー |
1902年 | フランソワーズ・マッソン |
1903年 | フランソワーズ・マッソン |
1904年 | ケイト・ギロー |
1905年 | ケイト・ギロー |
1906年 | ケイト・ギロー=フェンウィック |
1907年 | ド・カーメル伯爵夫人 |
1908年 | ケイト・ギロー=フェンウィック |
1909年 | ジャンヌ・マシー |
1910年 | ジャンヌ・マシー |
1911年 | ジャンヌ・マシー |
1912年 | ジャンヌ・マシー |
1913年 | マルグリット・ブロクディス |
1914年 | マルグリット・ブロクディス |
1915年〜19年 | 大会なし |
1920年 | スザンヌ・ランラン |
1921年 | スザンヌ・ランラン |
1922年 | スザンヌ・ランラン |
1923年 | スザンヌ・ランラン |
1924年 | ジュリー・ブラスト |
1925年 | スザンヌ・ランラン |
1926年 | スザンヌ・ランラン |
1927年 | コルネリア・ボウマン |
1928年 | ヘレン・ウィルス |
1929年 | ヘレン・ウィルス |
1930年 | ヘレン・ウィルス・ムーディ |
1931年 | シリー・アウセム |
1932年 | ヘレン・ウィルス・ムーディ |
1933年 | マーガレット・スクリブン |
1934年 | マーガレット・スクリブン |
1935年 | ヒルデ・スパーリング |
1936年 | ヒルデ・スパーリング |
1937年 | ヒルデ・スパーリング |
1938年 | シモーヌ・マチュー |
1939年 | シモーヌ・マチュー |
1940年〜45年 | 大会なし |
1946年 | マーガレット・オズボーン |
1947年 | パトリシア・カニング・トッド |
1948年 | ネリー・アダムソン・ランドリー |
1949年 | マーガレット・オズボーン・デュポン |
1950年 | ドリス・ハート |
1951年 | シャーリー・フライ |
1952年 | ドリス・ハート |
1953年 | モーリーン・コノリー |
1954年 | モーリーン・コノリー |
1955年 | アンジェラ・モーティマー |
1956年 | アリシア・ギブソン |
1957年 | シャーリー・ブルーマー |
1958年 | ジュジャ・ケルメツィ |
1959年 | クリスティン・トルーマン |
1960年 | ダーリーン・ハード |
1961年 | アン・ヘイドン |
1962年 | マーガレット・スミス |
1963年 | レスリー・ターナー |
1964年 | マーガレット・スミス |
1965年 | レスリー・ターナー |
1966年 | アン・ヘイドン・ジョーンズ |
1967年 | フランソワーズ・デュール |
1968年 | ナンシー・リッチー |
1969年 | マーガレット・スミス・コート |
1970年 | マーガレット・スミス・コート |
1971年 | イボンヌ・グーラゴング |
1972年 | ビリー・ジーン・キング |
1973年 | マーガレット・スミス・コート |
1974年 | クリス・エバート |
1975年 | クリス・エバート |
1976年 | スー・バーカー |
1977年 | ミマ・ヤウソベッツ |
1978年 | バージニア・ルジッチ |
1979年 | クリス・エバート・ロイド |
1980年 | クリス・エバート・ロイド |
1981年 | ハナ・マンドリコワ |
1982年 | マルチナ・ナブラチロワ |
1983年 | クリス・エバート・ロイド |
1984年 | マルチナ・ナブラチロワ |
1985年 | クリス・エバート・ロイド |
1986年 | クリス・エバート・ロイド |
1987年 | シュテフィ・グラフ |
1988年 | シュテフィ・グラフ |
1989年 | アランチャ・サンチェス |
1990年 | モニカ・セレシュ |
1991年 | モニカ・セレシュ |
1992年 | モニカ・セレシュ |
1993年 | シュテフィ・グラフ |
1994年 | アランチャ・サンチェス |
1995年 | シュテフィ・グラフ |
1996年 | シュテフィ・グラフ |
1997年 | イバ・マヨリ |
1998年 | アランチャ・サンチェス |
1999年 | シュテフィ・グラフ |
2000年 | マリー・ピエルス |
2001年 | ジェニファー・カプリアティ |
2002年 | セリーナ・ウィリアムズ |
2003年 | ジュスティーヌ・エナン・アーデン |
2004年 | アナスタシア・ミスキナ |
2005年 | ジュスティーヌ・エナン・アーデン |
2006年 | ジュスティーヌ・エナン・アーデン |
2007年 | ジュスティーヌ・エナン |
2008年 | アナ・イワノビッチ |
2009年 | スベトラーナ・クズネツォワ |
2010年 | フランチェスカ・スキアボーネ |
2011年 | 李娜 |
2012年 | マリア・シャラポワ |
2013年 | セリーナ・ウィリアムズ |
2014年 | マリア・シャラポワ |
2015年 | セリーナ・ウィリアムズ |
2016年 | ガルビネ・ムグルサ |
2017年 | エレナ・オスタペンコ |
2018年 | シモナ・ハレプ |
2019年 | アシュリー・バーティ |
2020年 | イガ・シフィオンテク |
2021年 | バルボラ・クレイチコバ |
2022年 | イガ・シフィオンテク |
【全仏オープン】優勝回数
130年以上の歴史を持つ全仏オープン。
その中で最も多く優勝した選手は誰でしょうか。
男女別に優勝回数をカウントしてみました。
男子優勝回数
1位 | ラファエル・ナダル | 14回 |
2位 | マックス・デキュジス | 8回 |
3位 | ビヨン・ボルグ | 6回 |
2022年にも優勝したラファエル・ナダル選手が圧倒的。
2005年に初優勝すると、そこから4連覇、5連覇、4連覇と勝ち続け、2005年以降の彼以外の優勝者はわずか3人のみという状況になっています。
またナダル選手はクレーのスペシャリストと言われていますが、グランドスラム大会の優勝回数22回も男子ではジョコビッチ選手と並んで史上最多タイです。
女子優勝回数
1位 | クリス・エバート | 7回 |
2位 | シュテフィ・グラフ スザンヌ・ランラン | 6回 |
1位のクリス・エバート選手は1970年代から80年代にかけて活躍したスター選手。マルチナ・ナブラチロワ選手と激しくトップを争いました。
攻撃的なサーブ&レシーブを得意としていたナブラチロワ選手に対して、守備的なストローク中心のエバート選手は、全仏オープンで特にその強さを発揮しています。
2位のシュテフィ・グラフ選手は1990年代の絶対王者。彼女もストローク中心でしたが、それ以上にライバル不在の圧倒的な強さだったことから全仏での優勝回数も多くなっています。
2位タイのスザンヌ・ランラン選手は1920年代にテニスの女神と呼ばれたパリ出身の女性。それまでは丈の長いドレスが当たり前だったテニス界に当時流行していた膝丈の短いスカートやショートのボブカットといったフラッパースタイルを持ち込み、革命を起こしました。
また彼女はウィンブルドンでも5連覇を達成している実力者。彼女の功績を讃えて、全仏オープンの女子シングルスの優勝カップは「スザンヌ・ランラン・カップ」と呼ばれています。
【全仏オープン】賞金
全仏オープンの賞金は、世界四大大会だけにかなりの高額。
以前は男女に格差がありましたが、現在は同額になっています。
その優勝賞金は、2022年時点で220万ユーロ(2億9700万円)。2010年の112万ユーロから12年でほぼ倍増しました。
ちなみにダブルスの優勝賞金は58万ユーロ(7830万円)で、混合ダブルスの優勝賞金は12万2000ユーロ(1647万円)。シングルスと比較すればかなり低くなっています。
賞金総額は4360万ユーロ(約58億8600万円)。
優勝者だけでなく、予選で1回勝っただけの選手にもそれなりの賞金が渡るよう配慮されているため、かなりの高額になります。
まとめ
特殊なコートであるために生涯グランドスラムの最後の障壁ともなる全仏オープン。その優勝者にはやはりクレーコートに強い選手が並んでいます。
特に男子の場合、今後ナダル選手の記録を抜くことはかなり難しいはず。
果たして新たなクレースペシャリストは登場するのでしょうか。