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【コラム】独立リーグの現在地|すぎさくしゃちょー

まず最初に読者の皆さんにお伝えしたいのは、筆者が代表を務める会社はプロ野球独立リーグであるルートインBCリーグのセカンドキャリアパートナーであること。

現在、7リーグ30球団余りが犇めき合う戦国時代、乱世の時代に突入したとも言えるプロ野球の独立リーグを関係者の目として冷静に現在地を書き記したいと考えています。

プロ野球独立リーグの歴史と経緯

日本に初めて独立リーグが誕生して17年、2005年に四国アイランドリーグが誕生したのがその歴史のはじまりです。

地域密着型、地域の応援を背にNPB選手を目指そうとする選手たちが所属して創設されました。

四国4県に綺麗に一球団ずつ、途中で福岡や三重や長崎の球団が加盟脱退を繰り返し、現在は元さやの4球団に収まっています。

遅れること2年、2007年に現在のルートインBCリーグ(ベースボール・チャレンジ・リーグ)が創設されました。

開設当初は北信越の新潟、富山、石川、長野の4球団が加盟しスタート、その翌年2008年に群馬と福井が加盟、さらに2013年埼玉と2014年福島が次々と加盟、2017年滋賀、栃木、2018年に茨城、2019年に神奈川が加盟し12球団の大所帯となった。

さらに2014年に関西3府県に4球団で運営している関西独立リーグ、2020年に道央地区市町村3球団加盟の北海道ベースボールリーグ、2021年

九州3県3球団の九州アジアリーグ、2022年に3球団でもうひとつ北海道に設立された北海道フロンティアリーグ、そして2022年にルートインBCリーグより滋賀、福井、石川、富山の4球団が分離独立して創設された日本海オセアンリーグ

数々のリーグや球団が誕生し、そして消滅した結果、この7リーグ29球団が現有するプロ野球の独立リーグ、さて皆さんは果たしてこの独立リーグの試合を見に行かれたことがありますか。

スポーツの前にビジネスでもある独立リーグ

選手たちはプロである以上野球をプレイしてお金を稼ぐ、その報酬の源は試合の入場料、観客動員数に他なりません。

ルートインBCリーグの平均入場者数は500名程度と言われる中、恐らくBCリーグに限らずその他の独立リーグも同じ状況であると推察されます。

どの球団においても地域の中小企業がスポンサーとして支える、各球団が地域の中小企業をくまなく開拓してスポンサー獲得に動く、NPBのスポンサーとは程遠い広告効果にも関わらず、町おこしのために地元チームへの応援のために、意を決して資金を捻出します。

どのチームのユニフォームを見ても白地の余地がないぐらいにスポンサー名が連なっている。企業でいうところの草の根株主そのものです。

町の魚屋さん、八百屋さん、土建屋さん、居酒屋さん…この紙面でその心意気に敬意を表したいと思います。

なぜ選手たちは薄給でも野球を続けることができるのか、それはただ単に純粋にNPBで野球がしたいから、ただそれだけの願いと夢が彼らを突き動かしているだけです。

スポンサーの企業の皆さんも広告効果など考えてもいない、地域を愛するがためにそこに居を構える小さな球団を純粋に応援する、ただそれだけに過ぎません。

コロナ禍もあって、私自身もスポンサーとして資金捻出することが本当に厳しいと感じることもありました。

その資金があれば本業で何か策を打てるのでないか、そんな気持ちが過ることもありました。でも純粋に選手をそしてこのリーグを応援したい、その思いだけでここまで続けることが出来ました。

かつて明石家さんまさんがBCリーグの石川球団に所属していた木田選手の引退試合の際にベンチに入ったそうです。なんとその試合の入場者は未だに破られないリーグの入場者数の最高記録およそ15,000名

足を運んでくれる何か、それを考えるのがリーグであり球団であり選手でありそしてスポンサーの方々しいてはサポーター、球団を、選手を、応援する皆さんの叡智ではないかと考えています。

NPBに行くのを諦めない、球団経営を諦めない、リーグ運営を諦めない、諦めたら負け、諦めずブレず挫けずに試行錯誤を怠らない。

私の尊敬する経営者が以前こう言い放ちました「なぜ会社がつぶれると思う!?それは社長が諦めるからだ」

スポーツの前にビジネスでもある、ビジネスとは利潤を得ること、その利潤を還元すること、私も関係者の一人として叡智を絞るのを諦めません。

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選手たちの夢を叶える場所だからこその自覚と責務

私はセカンドキャリアパートナーとしてルートインBCリーグを見てきました。

毎年のように球団が増えてこれは日本全国に野球チームができるのでは、そう期待を寄せていました。

そんな中で昨年までリーグに所属していた4球団がこの2022年に分離独立しました。

『日本海オセアンリーグ』滋賀球団のオーナーでもあるオセアン社が冠となって、北陸3県の福井、石川、富山の3球団を引き連れて旗揚げしました。

理由は解りません、ただ言えることはNPBを目指す選手たちにしたら、野球ができる場所が新たに確保されたこと、またNPBを目指せる、野球が続けられるということを意味します。

1年前に発足した九州アジアリーグや2022年同年に旗揚げされた北海道フロンティアリーグ、これだけチームができれば選手たちは辞めずに済みます。

現実にセカンドキャリアを支援している私には、次のキャリアを相談したいという問い合わせが昨年のシーズンオフには全くと言っていいほどありませんでした。

実はそれには幾ばくかの歯痒さを感じています。

25歳程度でおおよそ雌雄を決していると思われる残酷な野球の世界、いわゆる選手の賞味期限、NPB行きの切符の乗車期限は残念ながら存在しているのです。

その自分の賞味期限、乗車期限を見極めることなく、冷静に自身の実力を査定することなく、延命措置が働いて球団を移籍して野球を続ける選手もいるのです。

近年ドラフト会議で独立リーグの選手たちが指名されることもありますが、その多くは育成枠での入団です。登録選手ではない、まずは選手登録を目指すとこからスタートの過酷な夢のはじまりです。

目指していた憧れの場所はとても厳しく、独立リーグでは花形選手だったのに、NPBに行ったら1年でクビ宣告の憂き目に。

それでもその夢のために頑張る選手を私は応援したい、でも人生の少し先輩として、肩をしっかり叩く、次のキャリアの水先案内人としての役割もあるのです。

だからこそ参入するリーグや球団には安易に解散や撤退をして欲しくない、若い選手たちの夢を不可抗力的に破ることはして欲しくない、球団が増えるのは活気があってよいことかもしれませんが、逆に無責任な球団経営、安易な参入には苦言を呈したい。

7リーグ30球団が犇めき合う戦国時代に私はこんなことを思い馳せています。

独立リーグの未来を占うヒントが身近にあった!?

NPBのチーム編成は1軍、2軍、そして一部球団は育成中心に3軍体制となります。

一方でメジャーリーグに目を向けるとなんとチームによっては8軍まで保有しています。

全米(一部カナダを含む)全30球団があって、その下部組織としてマイナーリーグ、2軍にあたるトリプルAを皮切りに以下ダブルA、シングルA、そしてルーキーリーグにまで至ります。

なぜこうなっているのか、日本における社会人野球がアメリカには存在しないこと、また日本のような独立リーグがないことだとも言われています。

そしてマイナーリーグであるトリプルAやその下部のダブルAなどそれぞれが一つの球団として独立しているのです。

実はここに独立リーグとNPBの再編、社会人野球との融合などの可能性がなかろうかと筆者は考えていたりします。

そして地域密着と言えばJリーグ、ピラミッドはしっかりと確立されていてJ1に始まりJ2、J3、JFL、地域リーグと昇格降格などの仕組みも取り入れてこう言ったら怒られますが、スリリングでファンの深層心理を擽ると思いませんか!?

地元のチームが昇格をどんどん果たしてJ1に上がる、松本や徳島などはその象徴ではないでしょうか。

一方で参入要件もしっかりあって強いだけでは上がれない、資金的にもインフラ的にも基準をクリアしなければ上位リーグに参入できない仕組みである点は、スポンサーの力や球団経営の力を試される仕組みにもなっているわけです。

このメジャーリーグとJリーグの仕組みの融合が出来たらスポーツとしてもビジネスとしても秀逸で面白くなるのではないかと考えていました。

もちろん球団を所有する企業の利権の整理も必要ですし、そもそもの大改革なのでハレーションは覚悟を承知の上ですけれども(笑)

独り言はこのあたりで留めておきます。

おわりに

関係者であることで一部辛辣な意見も書かせていただきましたが、お金を出してでも応援している立場だからこその冷静で俯瞰した独立リーグへの想いです。

選手たちの野球を辞めたら何をしていいかわからないという声、一方でもう野球は十分やりました草野球を楽しむ程度でたくさん、こんな声もあります。

デュアルキャリアと言う言葉があります。野球をしながら次のキャリアも思考する、こんな環境を独立リーグでしっかりと整える、そんな支援が出来たらと執筆しながら強く思いました。

みなさんもどうぞ各地の雑草魂の選手たちを、球団への草の根株主となることで応援して欲しいと願っています。

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すぎさくしゃちょー

すぎさくしゃちょー

年々涙腺が緩くなるCEOスポーツライター

スポーツ選手のセカンドキャリアアドバイザー。 スクールウォーズとルーキーズを観ると涙が止まらない55歳。 人財測定コンサルタント/メンタルトレーナー/ブランド・プランナーなどの資格を保有しています。

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