新型コロナウイルスの影響で2021年開催予定が2023年に延期されていたワールドベースボールクラシック(WBC)。
野球の世界一決定戦であるこの大会は、かつては廃止を噂されることもありました。
しかし前回の2017年大会では観客動員数が100万人を突破。
成長を続ける大会として注目度は高まっています。
その大会を支えてきたのが、スポンサーの存在。
実はほとんどが日本企業なのです。
今回は、WBCのスポンサーに関する情報をまとめます。
【WBC】大会の収支
WBCの総収益は、2006年の第1回大会が1280万ドル。
これが2017年の第4回大会では推定1億1000万ドルにまで増大しています。
大会を支えるジャパンマネー
収益の多くは、テレビの放映権料と冠スポンサー料。
特に重要なのがスポンサー料なのですが、当初からスポンサーとなっていたのはアサヒビールや日本マクドナルドなどの日本企業がほとんど。
「ジャパンマネーが大会を支えている」と言われてきました。
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WBC問題
そのような状況の中、第3回大会を前に勃発したのがWBC問題です。
2011年、日本プロ野球選手会は臨時大会を開き、場合によってはWBCの第3回大会に出場しないことを決議しました。
選手会が求めたのは、代表チームにつくスポンサーからの収入と、代表グッズのライセンシング料がそのまま参加国に入るという条件。
実に当然の権利に思えますが、WBCではスポンサー権とライセンシング権は主催者であるWORLD BASEBALL CLASSIC INC.(MLBとMLB選手会の共同設立会社)にあり、収入はそちらに入るのです。
その結果、2009年大会では優勝した日本には全収益の13%、準優勝の韓国には9%しか分配されなかった一方、MLB機構が33%、MLB選手会が33%を得ることに。つまり大半がジャパンマネーだった収益の66%をアメリカが占有したのです。
一方の日本は多くのスポンサーがついていたのに、選手の出場給や傷害保険料、合宿費用などの出費に対して採算が取れない状況。
そのため辞退もやむを得ないという決議が下されました。
しかしその後、日本は収益を確保する別の方法を考案。その方法とは、WBC期間以外にも日本代表を運営し、国際試合を行うこと、そしてそれに合わせて4年単位のスポンサーを募り、収益を確保することでした。
こうした努力とそれを支えるスポンサーのおかげで日本代表はなんとかWBCを辞退しないことになったのです。
【WBC】2023大会スポンサー
では2023年大会を支えるスポンサーはどういった企業なのでしょうか。
まず大会の中心となるグローバルスポンサー4社はすべて日本企業です。
NIPPON EXPRESSホールディングス
NIPPON EXPRESSホールディングスは陸・海・空の総合物流の世界的企業。
本社は東京で、WBCではグローバルスポンサーと特別協賛になっています。
さらに野球日本代表のダイヤモンドパートナーも。
「ともに前へ、ともに世界へ!」をスローガンに、侍ジャパンを応援しています。
コナミデジタルエンタテインメント
「パワフルプロ野球」シリーズで知られるコナミデジタルエンタテインメントもWBCのグローバルスポンサー。
もちろん本社を東京に置く日本企業で、侍ジャパンのオフィシャルパートナーとしても協賛しています。
興和
興和株式会社は、愛知県に本社を置く専門商社。
一般的には「コルゲンコーワ」や「キャベジンコーワ」などの医薬品でおなじみです。
その興和はWBCのグローバルスポンサーと同時に、東京プールとその開催に先立って行われる強化試合の協賛、侍ジャパンのオフィシャルパートナーも務めています。
THK
THK株式会社は東京に本社を置く「LMガイド」の世界的企業。
LMガイドは機械の直線運動部分を真っすぐ滑らかに動かすための機構で、身近なところでは自動車や新幹線などの回転用ベアリング、鉄道のホームドア、免震装置などに使われています。
このTHK株式会社もWBCのグローバルスポンサーを務めるとともに、東京ラウンド、強化試合を協賛。
これまでも東京ドーム、ヤンキースタジアム、エンゼルスタジアムに企業広告を出していますから、そこで目にした方も多いかもしれません。
カーネクスト
「カーネクスト」はラグザス株式会社グループが提供するネット完結型の中古車買い取りサービス。
侍ジャパンのオフィシャルパートナーを務めていて、その流れでWBC東京プールと強化試合の特別協賛に決まりました。
檸檬堂
日本コカ・コーラ株式会社のレモンサワー専門ブランド「こだわりレモンサワー檸檬堂」は侍ジャパンのオフィシャルパートナー。
「檸檬堂」は侍ジャパン応援レモンサワーになり、WBC東京プールの協賛にも名を連ねています。
三菱UFJ銀行
三菱UFJ銀行は、2023年からスポーツ関連ビジネスに金融サービスを組み合わせた事業に乗り出すと発表。
北海道日本ハムファイターズの新球場「エスコンフィールド北海道」で決済などのサービスを提供する他、様々なスポーツや競技場とも提携を広げるとしています。
そういった流れもあり、三菱UFJ銀行は侍ジャパンのダイヤモンドパートナーに就任。WBC東京プールと強化試合の協賛も行っています。
セールスフォース・ジャパン
セールスフォース・ジャパンはクラウドアプリケーションやクラウドプラットフォームの提供を行うネット企業。
こちらもWBC東京プールと強化試合の協賛を行っています。
中国信託商業銀行
一方、台中ラウンドのタイトルスポンサーは、台湾の台北市に本社を置く商業銀行の中国信託商業銀行。
台湾のプロ野球チームである中信兄弟を保有していることから野球との関わりが深く、タイトルスポンサーになっています。
まとめ
MLBが主催し、野球世界一を決めるWBC。
驚くべきことにそのグローバルスポンサーは全て日本企業です。
「WBCはジャパンマネーが支えている」と言われるのも納得ですが、これも日本の野球人気の表れ。
ある意味では喜ぶべきことかもしれません。
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