「電撃移籍!」などという報道で驚かされることも多いプロ野球のトレード。
しかし移籍にはトレード以外にも、FA(フリーエージェント)やポスティングなど、多くの形があります。
ではそもそもトレードとはどのような制度なのでしょうか?
ここではトレードの仕組みやメリット・デメリットについて解説します。
プロ野球のトレードとは
トレードと共によく耳にするFAは、選手が自由に全球団と交渉できる権利。FA権は選手の権利です。
またポスティングは、海外の球団に移籍する権利を持たない選手が、現在の所属球団の合意で移籍できる制度。
移籍が決まった場合、契約金の一部が今の所属球団に入りますが、ポスティング制度で移籍を希望するのは選手の権利となります。
これに対してトレードは、球団同士が合意の上で選手を交換・譲渡すること。選手の意向を汲んで行うこともありますが、トレードを決めるのは球団側の権利です。
もし望まないトレードだった場合も、基本的に選手に拒否する権利はありません。
プロ野球|トレードの種類
トレードは主に球団が戦力補強を目的に行うもの。
しかしひとことでトレードといっても、4つの種類があります。
交換トレード
交換トレードはそれぞれの球団の選手同士を交換するトレード。
多くの場合、実力が拮抗した選手同士を交換することになりますが、1対1とは限りません。
実力のバランスが合わない場合には1対2または1対3といった複数選手のトレードもあり得ます。
1986年にはロッテオリオンズの落合博満選手と中日ドラゴンズの4選手による「1対4トレード」が行われ、話題になりました。
金銭トレード
金銭トレードは選手同士ではなく、選手と金銭を交換するトレード。
選手を送り出す側としては出場機会に恵まれていない選手を放出しますが、相手チームに欲しい選手がいない場合、金銭トレードとなります。
また交換トレードで実力のバランスが合わない場合、1対1プラス金銭というトレードが行われることもあります。
三角トレード
三角トレードは3球団で行うトレードです。
A球団がB球団の選手を、B球団がC球団の選手を、C球団がA球団の選手を獲得したい場合に成立しますが、ほとんど例はありません。
無償トレード
無償トレードは選手や金銭の交換なしに行うトレード。
そのため報道では「譲渡」と表現されることもあります。
2021年に日本ハムから巨人に移籍した中田翔選手も無償トレードでした。
プロ野球|トレードのルール
トレードは球団同士の合意で行われますが、そこにはいくつかのルールがあります。
・三角トレードをする場合、新人選手をトレードしてはならない。
・該当する選手がトレード時に1軍登録されている場合は登録抹消する。
・該当する選手が既婚者の場合は100万円、独身の場合は50万円の移籍金が支払われる。
・トレードできる期間はシーズン終了後から翌シーズンの7月31日まで。
最後のルールにより、シーズン後半はトレードができないことになります。
ただしトレード期間外であってもウェイバー公示をしていればトレードは可能となります。
ウェイバー公示とは
ウェイバー公示とは、球団が支配権を放棄する選手を公表すること。
公表された選手に他球団から申し込みがあればトレードが成立します。
もし複数の球団が名乗りを上げた場合には、同一リーグの球団が優先。同一リーグに複数あった場合は、ウェイバー公示から1週間後の勝率の低い球団が優先となります。
一方でウェイバー公示から1週間以内に希望球団が現れなかった場合、その選手は自由契約となり、そのシーズン中は他球団と契約できなくなってしまいます。
プロ野球|トレードのメリット・デメリット
トレードは主に球団が主導して行うものですが、球団・選手それぞれにメリットやデメリットがあります。
球団のメリット
球団にとっての大きなメリットは戦力の補強です。
各球団はシーズンオフの間にトレードで選手を入れ替えて勝てるチームを作ります。
またシーズンが始まると各球団共にチームのウィークポイントが見えてきます。
そのウィークポイントをシーズン前半のうちに無くすこともトレードの大きな目的です。
球団のデメリット
交換トレードの場合、力の拮抗した選手を放出することになります。
多くの場合は球団の戦力構想から外れがちな選手を出すことになりますが、放出した選手が移籍先で活躍することは大いに考えられます。またせっかく獲得した選手が期待した働きをしてくれない危険性も。
そのリスクがデメリットだと言えます。
選手のメリット
トレードに出される選手の多くは現在の球団では出場機会が少なく、移籍先の球団からは即戦力として期待されていることがほとんど。
選手にとっては活躍の場を得る大きなチャンスとなります。
選手のデメリット
デメリットとしては、突然の通告でショックを受けることや、慣れ親しんだ球団を離れる寂しさなどがあります。
しかし選手の多くはトレードをチャンスと捉えることから、移籍先の環境が合わない場合を除き、実は大きなデメリットはないと言えます。
まとめ
トレードというと、チームからの放出という面が注目されがちですが、実は球団側も「くすぶっている選手に出場の機会を与えたい」と願ってトレードに出すことがよくあるそうです。
新天地で大活躍する選手や才能を開花させた選手も多いトレードは、球団だけでなく選手にとっても恩恵の多いシステムなのです。
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