プロ野球の守護神に記録されることが多い「セーブ」。
リードを守った抑え投手につくものだとなんとなく理解はしていても、詳しい条件などは知らないという人も多いのではないでしょうか。
実はこれがちょっと複雑。
ここではプロ野球のセーブに必要な条件を、具体例も交えながら分かりやすく解説します。
プロ野球のセーブとは
セーブは簡単にいえば「試合終了までリードを守ったリリーフ投手に記録されるもの」。
試合終了までという定義から、主にクローザー、守護神と呼ばれる抑え投手の評価に影響を与える数字です。
しかし似たような試合展開でも少しの違いでセーブが記録されたりされなかったりするため、まずは条件を整理することが必要となります。
セーブに必要な2段階の条件
セーブに必要な条件は、大きく分けて2段階になります。
①必須条件4つ
②必須条件に加えるもう一つの条件
4つの条件を全て満たした上で、さらに3つある条件のどれか1つ以上を満たしている必要があるのです。
絶対に必要な4つの条件
1つも欠かすことができない4つの条件は以下のものになります。
・勝利投手ではないこと
・最後の投手として登板すること
・0回3分の1イニング以上の投球回を記録すること
・リードを守り切り、試合を終了させること
つまりリードした場面で出てきた抑えの投手がリードを守り切って勝つということで、ここまでは比較的単純な条件です。
さらに最低1つは必要な条件
話が少しややこしくなるのはここから。上記4つの条件を満たした上で、以下の条件のうち1つ以上をクリアする必要があります。
・登板時のリードが3点以内、かつ1イニング以上を投げること
・続く打者2人にホームランを打たれたら同点、または逆転される状況
・3イニング以上の投球回を記録すること
プロ野球のセーブ 記録される具体例
必須の4項目は良くても、追加される条件で混乱した人は多いかもしれません。
そこで、以下に具体例を挙げて解説します。
セーブの場面①:3点リードの9回裏
3点リードの9回裏の最初から登板した投手が最後まで投げ切って勝った場合、セーブが記録されます。
これは「登板時のリードが3点以内、かつ1イニング以上を投げること」という条件をクリアしているから。
しかし9回裏で4点以上のリードの場合、そのままではセーブは記録されません。
セーブの場面②:4点リードの9回裏・2アウト・ランナー2人
4点リードではセーブは記録されないと書きましたが、そうでない場合もあります。
それは「続く打者2人にホームランを打たれたら同点、または逆転される状況」という条件を満たしている場合。
ランナーの数と条件を満たせる点差の関係は、以下の通りになります。
・ランナーなし:ソロホームラン(1点)+ソロホームラン(1点)=2点差以内
・ランナー1人:2ランホームラン(2点)+ソロホームラン(1点)=3点差以内
・ランナー2人:3ランホームラン(3点)+ソロホームラン(1点)=4点差以内
・ランナー満塁:満塁ホームラン(4点)+ソロホームラン(1点)=5点差以内
例えば4点リードだけどランナーが2人いる場合。
次の打者にホームランを打たれたら1点差になり、その次の打者にもホームランを打たれたら同点なので条件をクリアしています。
そしてこの条件の場合は2アウトからの登板もOK。
過去には9回裏2アウトからの登板で牽制球アウトを取り、投球0球のセーブを記録した投手もいます。
セーブの場面③:6点リードの7回裏
ホームランを2本打たれても同点にならない大量リードでもセーブがつく場合はあります。
それは例えば7、8、9回を投げ切って勝ったとき。「3イニング以上の投球回を記録すること」という条件をクリアするため、セーブとなるのです。
この条件の場合は点差が何点でもOK。
ロングリリーフの投手が投げ切った場合などに記録されます。
プロ野球のセーブ 以前の条件
日本のプロ野球にセーブ記録が導入されたのは1974年。
実は上記のセーブの条件は何度かの改定を経てきたもので、以前は条件が違っていました。
勝利投手とセーブの両方取り
セーブ記録には「勝利投手ではないこと」という条件があります。
しかしこの条件はセーブ記録導入直後のある出来事がきっかけで決まったものです。
それは1974年8月18日の日本ハム対近鉄戦。
先発した日本ハムの高橋直樹投手は、6回まで2対0のリードを守ってきたところでワンポイントリーリーフの中原勇投手に交代。
それは次の打者のジョーンズを高橋投手が苦手としているためでした。
ところが中西太監督は高橋投手をベンチには下げずに3塁を守らせ、ジョーンズがフォアボールになったところで再び投手に戻します。
結果、高橋投手は9回までリードを守り切り、勝利投手とセーブの両方を獲得したのです。
これをきっかけに「1つの試合で勝利投手とセーブの両方を認めるのはおかしい」という意見が噴出。
ルールが改定され、高橋投手は史上唯一の珍記録となりました。
中継ぎなのにセーブ
1975年までセーブは「記録員が最も有効な投球を行ったと判断した投手に与える」というルール。
最後まで投げ切っていない投手も対象になっていました。
そのため中日の星野仙一投手など8人が、今では考えられない「中継ぎのセーブ」を記録しています。
まとめ
条件が少しややこしいセーブ。
それだけにときどき「10点差なのにセーブ」や「雨天コールドで棚ぼたのセーブ」などの現象も起こります。
「この場合はセーブに当てはまるのかな?」と考えながら野球を見るのも面白いかもしれません。
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