2022年の1月場所は関脇の御嶽海関が優勝して新大関の誕生となりました。
照ノ富士も怪我から復活し強い横綱、一人横綱として毎場所奮闘しています。
平幕力士にも若い楽しみな関取がいて益々楽しみな大相撲の世界。
そんな大相撲の唯一無二の道具である廻し、今回は廻しの世界を綴っていきます。
化粧廻しの謎
化粧廻しのルーツを探る
力士が土俵入りや弓取り式で腰に巻く化粧廻し、力士それぞれにデザインも様々で見ていて大変楽しいものです。
その化粧廻しはなぜ着けるようになったのか、その由来について探ってみましょう。
江戸時代に紀州藩の殿様が郷里の力士の活躍にご褒美で送ったとされるのがそのルーツです。
現在ではタニマチと呼ばれる力士のスポンサーが各力士に提供しています。
豪華な刺繍に目を惹かれる土俵入りは観る者を魅了しますね。
タニマチの想いや個性が溢れる化粧廻し
スポンサーが提供すると考えれば企業の広告宣伝のひとつにもなっていると言えます。
また企業だけでなく個人資産家や有名人もタニマチとなっていたりするために送る側も様々な思考を凝らして力士に提供しているようです。
自分の名前を刺繍して琴光喜関に贈ったデヴィ夫人、キン肉マンを刺繍して千代大龍関に贈った漫画家のゆでたまごさん、ブルガリア出身の琴欧州関はブルガリアヨーグルトの刺繍が施された化粧廻しをしていました。
皆さんもこの記事を読んだ後は「あの力士なぜその刺繍?誰が送ったの??」と興味津々で土俵入りを楽しめることでしょう。
化粧廻しが驚愕の1億5000万円って!?
華やかな刺繍、さぞやお高いのでしょうと皆さん思われるのではないでしょうか。
職人が手作りで作成する化粧廻しは博多織や西陣織など高価なものが多く、最低でも100万円程度から高いものでは数百万から1000万円を超えるものもあるそうです。
かつての名力士である若島津関の化粧廻しは鷲の足の刺繍が施されており、なんと10カラットのダイヤモンドが鏤められていたそうな。
そう考えると盗難などにも備える必要がありそうですね。
締込の謎
番付によって廻しが違う?
十両以上の力士を関取と呼び、彼らの廻しは締込と呼ばれています。
力士規定では「紺、紫系統の色」とされていますが、現在では色とりどりの華やかな廻しも観戦する上で楽しみのひとつになっています。
大けがを克服した宇良関は1月場所でピンクの廻しをしていたのも記憶に新らしいところです。
素材は絹を使用されていて観ていても美しい廻しです。
幕下以下の力士の廻しは締込とは呼ばず、素材は木綿で色も黒と決められています。
早く関取になって絹の色鮮やかな廻しをしたいと稽古に励むのでしょう。稽古では稽古廻しと言って木綿素材のものを使用します。
また、ここでも番付で違いがあり、関取は白の稽古廻しで稽古を行い、幕下以下の力士は土俵の取り組みと同じく黒の稽古廻しを使用して稽古します。
ちなみに廻しのサイズはウエストの7倍から10倍あるとされ、おなかが大きい力士であれば9mもの長さになるとされます。
締込の前部に垂れ下がっているのは何?
「さがり」と言います。さがりはかつて廻しと一体になっていたそうですが、危険だと判断されて別々になりました。
このさがりも十両以上の関取のみ付けることが許されていて、実は付け人が関取のために作成するのだそうです。
なぜさがりを着ける必要があるのか?
さがりをつける理由とされるのは➀局部を画す②清めの道具とされています。
現代では局部を隠す意味合いは全くないそうで、飾りの一つと言っても良いでしょう。
かつて江戸時代には化粧廻しで取組をしていたとされており、さがりはその名残だという説もあります。
確かに化粧廻しであれば局部は隠せますよね。
清めの道具と言われる所以、江戸時代には廻しに四手と呼ばれるヒラヒラとした紐のようなものが垂れ下がっていましたが、それが現在のさがりに繋がったとされています。
また、さがりは偶数では割れる=土俵を割ると意味されて縁起が悪いのでゲンを担ぐことから奇数本でおおよそ17本か19本で作られています。
手を着いたら負けの意味から四本足の食べ物は食べないとも言われる力士、ゲン担ぎも勝負の一つなのでしょう。
廻しは外れる!?
2000年5月場所で83年ぶりの珍事は起きた!
廻しって腕力握力が尋常ではない力士が巻くこともあって外れることなど見たことない、皆さんそうお思いではないでしょうか。
実は今から20年ほど前の三段目の取組で廻しが外れて局部が露になったことがあったそうです。
下位の取組ですし恐らく皆さんも記憶にないでしょう。
力士名などは名誉のために触れませんが、勝負はいったいどうなるの?と思いませんか。
実は相撲のルールには不浄負けと言うものがあり、廻しが外れた力士は反則負けとなります。
ちなみにその力士は体重の変化で廻しを切り落としたそうですが、その後体重が戻ったものの、切り落とした短めの廻しを締めて相撲を取ったそうです。
廻しの色合いだけでなく長さにも十分配慮が必要ですね。
まとめ
大相撲の廻しの世界、いかがでししたでしょうか。
さすが日本の国技大相撲、古からの習わしに則った廻しにまつわる意味や名残、そして時代の写し絵でもある化粧廻しの刺繍、これから勝負や技を楽しみながらも廻しにも注目して大相撲観戦されてみてください。
そのうち不浄負けの場面に遭遇するかもしれませんね。
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