プロ野球の観客数やグッズの売り上げは近年上昇していると言われます。
その一方で減っていると言われるのが野球の競技人口。
いったいどれくらいの人が野球をプレーしていて、なぜ減っているのでしょうか。
今回は野球の競技人口と、その課題を調査しました。
【野球】世界の競技人口
国際野球連盟(IBAF)の推計によると、世界の野球の競技人口は約3500万人です。
これは他のスポーツと比べて多い方なのでしょうか?
そこで主なスポーツの競技人口を調べてみると、以下のようになりました。
スポーツ | 競技人口(推定) |
バレーボール | 約5億人 |
バスケットボール | 約4億5000万人 |
卓球 | 約3億人 |
クリケット | 約3億人 |
サッカー | 約2億6000万人 |
テニス | 約1億人 |
ゴルフ | 約7000万人 |
野球 | 約3500万人 |
ラグビー | 約2000万人 |
なんとバレーボールやバスケットボールの10分の1以下。
日本での知名度と比較して世界では野球の競技人口がとても少ないことが分かります。
これは、3ストライクでアウト、3アウトで攻守交代、ボークは進塁、タッチアップや送りバントなど、ルールが複雑であることが主な理由。
幼い頃から野球に親しんできた人が多い日本ではそう感じなくても、世界の多くの人にとって野球は何をやっているのか理解しにくいスポーツなのです。
そのため野球が盛んに行われているのは、北中米・東アジアといった一部の地域のみとなっています。
【野球】日本の競技人口
総務省の平成28年社会生活基本調査によると「野球(キャッチボールを含む)」を1年間に1度でもプレーした人数は約815万人。
平成13年は1220万人、18年は約973万人でしたから、徐々に減少していることが分かります。
競技人口といえば、この1年間の行動者数を表すという考えが一般的。
しかし少年野球団や中学・高校の部活動など、団体に加入して野球をしている人口はもっと少なくなります。
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【野球】日本の競技人口
野球競技人口①小学生
少年軟式野球の団員数は2011年度には約16万2000人でしたが、2021年度は約11万6000人。
10年間で約3分の2に減少しています。
野球競技人口②中学生
中学の軟式野球部員数は、2011年度の約28万1000人から、2021年度には約14万4000人に減少。
10年間でなんと半数近くになっています。
野球競技人口③高校生
高校の硬式野球部員数は、2011年度が約16万7000人で、2021年度は約13万4000人。
こちらも減少していますが、競技人口が減り始めたのは最近数年のことで、それ以前は16万人台後半で安定していました。
さらに遡ると、平成の間はむしろ競技人口が増える傾向だったほど。
これは坊主頭や厳しい上下関係の廃止で入部へのハードルが低くなったためではないかと言われています。
また中学時代は軟式の部活ではなく硬式のシニアに入るなど、より本格的に野球に取り組む子どもが増えたからとも言われています。
野球競技人口④大学生
競技人口が微増しているのは大学野球。
大学野球部の部員数は2011年度の約2万3000人から2021年度には約2万9000人に増加しています。
これについてはやはり厳しい上下関係がなくなったからという推測が一般的。
またB戦など1軍以外の選手の試合機会が増えたこと、野球活動を特色として売り出す大学が増えたことなども理由と言われています。
野球競技人口⑤社会人
競技人口の減少が最も深刻なのは社会人野球です。
以前は多くの企業に野球部がありましたが、景気の悪化とともに続々と廃部に。
その結果、プロ選手を輩出していた名門チームを含め、多くの社会人野球チームが消滅してしまいました。
【野球】競技人口から見る今後の課題
野球の競技人口が減っているのはなぜでしょうか?
その原因と今後の課題を探ってみました。
競技人口現象の理由
野球の競技人口が減っている大きな理由の一つが、テレビでのプロ野球中継の減少だと言われています。
以前は巨人戦を中心にプロ野球は夜のゴールデンタイムに必ず放送されていました。
しかし延長などもあって放送時間が定まらないこと、ゴールデンタイムに求められる視聴率が取れなくなってきたことから放送局が嫌がり、野球中継は激減。
野球は身近なスポーツではなくなってしまいました。
その結果いなくなってしまったのが、空き時間に野球で遊ぶというライト層。
野球は本気でプロを目指す子どもしか取り組まないスポーツになりつつあるのです。
今後の課題
競技人口が減ったとはいえ、高校野球や大学野球が比較的盛んなように、プロを目指す人数は大きく減ってはいません。
そのためすぐに選手のレベルが落ちると懸念されてはいないのですが、実はライト層の減少には大きな問題があります。
それは野球ファンの減少。
今でこそプロ野球の観客動員数は十分な状態ですが、新たに野球を楽しむ層が増えないと、世代交代が進むごとに野球ファンは減ってしまうと予測されているのです。
ファンが減れば球団経営は悪化し、高額な年俸も不可能に。
プロ野球選手を目指す子どもも減ってしまうかもしれません。
まとめ
野球ファンを増やすためにも、競技人口の増加は必須。
いくつかの球団が女子のクラブチームを作るなど、競技人口の増加に力を入れ始めています。
とはいえ昔と比べて野球がハードルの高いスポーツになってしまったのも事実。
ボールを投げて受け、打つだけでも野球は楽しいものです。
野球の未来のためにも、まずは家族や友達とキャッチボールをしてみてはいかがでしょうか。
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