日本ではとても珍しい変化球のひとつがナックルボール。
完璧な投球を生で見たことがある人はあまりいないのではないでしょうか。
一方でピッチャーなら一度は挑戦してみようと思ったことがあるはず。
今回は、幻の魔球ナックルボールの正しい投げ方をご紹介します。
ナックルボールとは
一般的な変化球には、「利き手の反対側にスライドする」「利き手側に曲がりながら落ちる」などの決まった軌道があります。
それに対してナックルボールは、不規則に揺れながら落ちる変化球。
「どこにいくか分からない」ことが特徴になります。
ナックルボールの原理
ストレートのボールは、平均毎分2000回転ほどのバックスピンによって揚力が働き、落下を防いでいます。
他の多くの変化球も回転による揚力を利用するのは同じ。
縦や横に回転をかけることで揚力が発生し、決まった方向に曲がります。
一方、挟んだ指の間から抜いて投げるフォークボールはなるべく回転をかけないことで揚力を減らし、重力で落下するボール。
毎分1000回転ほどの弱いバックスピンにすることで、揚力を抑えています。
これをさらに押し進めたのが、ナックルボールです。
ナックルボールの特徴は、ほぼ無回転であること。
投げてからキャッチャーに到達するまでの回転数は0から2回転程度です。
このようなボールになると揚力が発生しないだけでなく、ボールの縫い目の空気抵抗が跳び方に影響を与えます。
そのため偶然によるボールの縫い目の位置によって、不規則に揺れながら落下するのです。
ナックルボールのメリット
ナックルボールは不規則に曲がるため、いくつもの変化球を身に付けたのと同じ効果があります。
しかもバッターにとっては非常に打ちにくいボール。
マスターすればナックルボールだけを投げて勝負できるのです。
またナックルボールは無回転を優先してスピードを重視しないため、腕を強く振る必要はありません。
さらに他の変化球のいくつかにあるように手首をひねることがないのも特徴。
その結果、肩や肘への負担も少なくなります。
ナックルボールのデメリット
不規則な変化をするため、ナックルボールでコースの出し入れなど細かなコントロールは不可能。
曲がり方が分からないこともあって、投球の組み立てはできません。
失投して緩いバックスピンがかかってしまい変化しなかったときはただのスローボールになってしまうことも弱点です。
ボールが遅いため盗塁されやすい、指で弾く投げ方のため疲れて握力がなくなると投げられないという弱点も。
そして1番のデメリットは、キャッチャーの捕球が難しいということです。
どこにいくか分からないため暴投や捕逸の可能性が常にあり、振り逃げされてしまうことも。
キャッチャーの技術がかなり重要になります。
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【ナックルボール】正しい投げ方
いくつかのデメリットはありつつも、時速100km台のこの球種だけを武器にメジャーリーグで大活躍しているピッチャーもいるというナックルボールはかなり魅力的。
ではナックルボールはどのようにして投げれば良いのでしょうか。
握り方
ナックルボールの握りはかなり独特。
指を曲げて爪側をボールの後ろに当てておき、投げるときに指を開いて弾き出すという投げ方になります。
その上で、指の使い方にはいくつもの種類が存在。
各ピッチャーが自分に合った握り方を工夫しています。
①親指と小指でボールを挟み、人差し指、中指、薬指を折り曲げて当てる
②親指と薬指でボールを挟み、人差し指と中指を折り曲げて当てる
③親指と立てた薬指でボールを挟み、人差し指と中指を折り曲げて当てる
④親指と薬指と小指でボールを支え、人差し指と中指を折り曲げて当てる
⑤小指は立てて離し、親指だけでボールを支え、人差し指、中指、薬指を折り曲げて当てる
手の大きさや握力などによって握りやすさがかなり違うはず。
いろいろと試してやりやすい方法を見つけてください。
投げ方のコツ
普通にストレートを投げると、振り下ろした腕の動きと指先の引っ掛かりでボールにはバックスピンがかかります。
無回転にするためにはその回転を止めることが重要。
ナックルボールではバックスピンを相殺するために指で弾くことでトップスピンをかけるのです。
折り曲げて爪側を当てていた指を前に押し出すようにしてリリース。
手首のスナップを使うとバックスピンがかかりやすくなるため、手首を固定するのもポイントです。
腕を振り下ろすというよりは、ダーツを投げるようにまっすぐ伸ばすイメージでリリースするのがコツ。
リリース後は力を抜いて腕の振りを止めるようにします。
【ナックルボール】練習法
ナックルボールの練習をいきなりマウンドで行うと、キャッチャーに届かせることとコントロールに集中してしまい、無回転への意識が薄くなってしまいます。
ナックルボールの習得で重要なのは、無回転ボールの感覚を身につけること。
そのために、まずは短い距離でキャッチボールをします。
ここで毎回「無回転にする」と意識。
回転を確認しながら、弾くように投げる独特のリリース法を覚えます。
慣れてきたら距離を伸ばしていきますが、球速を意識して力まないことが重要。
マウンドでもキャッチボールをするように軽い腕の振りで投げる練習をします。
速いボールを投げるには弾く指の力も必要。
球速は指の力に合わせて徐々に上げるようにしないと、回転を止めることは難しくなります。
練習ではコントロールを良くするためにフォームをコンパクトにすることも意識してください。
まとめ
難易度は高くてもマスターすれば大活躍できる可能性があるナックルボールはとても魅力的な魔球。
ナックルボーラーと呼ばれてみたい方は、挑戦してみてはいかがでしょうか。
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