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飛込競技の歴史・競技人口・ルール・大会【スポーツ辞典】

子供の習い事として人気のスポーツと言った時、皆さんはどんなものを思い浮かべるでしょうか。幼い頃サッカークラブやバスケットボールクラブに通っていたという人もいるでしょうし、中には柔道などの格闘技を幼い頃からやっていたという人もいるでしょう。特に、入門の年齢制限がある相撲などは、子供の頃からクラブに入ってプロになるための鍛錬を積むケースが少なくありません。

そんな中、男女問わずに気軽に出来、生活の中でも役立つと言われているのが水泳です。水泳を習うと体力がつくだけではなく、海などに行った時も技術があるので安全に泳ぐことができ、水での事故を避けることに繋がることでしょう。

しかし、本来水泳と言った時に該当するものは、何も競泳だけではありません。高い場所からプールを目がけて着水し、華麗な技を見せる飛込競技もまた水泳と呼ばれる競技の一つなのです。しかし、競泳と比較するとあまりその実態を知らないという人も多いのではないでしょうか。

今回はそんな、飛込競技について詳しく解説していきます。

飛込競技の起源・歴史について

水に飛び込む、いわばダイビングの起源は非常に古いものとされています。なんと、紀元前480年頃のイタリア南部の遺跡である“トンバ・デル・タッファトーレ”にその痕跡があるのだそうです。そこには、生から死へ向かうことを象徴する姿として、飛び込みを試みる青年が描かれているのだとか。

スポーツとしてとしての飛込がいつ始まったのかははっきりとわかっていませんが、現在私達が目にする飛込競技の始まりは、18~19世紀ドイツスカンジナビア半島にあると言われています。

元々は18世紀に、ドイツやスウェーデンの体操の選手たちが水の上で行った練習が始まりだったのだそうです。また、ドイツのハロレンでは、橋の上からサーレ川に飛び込むという伝統行事が行われていました。やがて1840年にもなると、世界初となるダイビング協会、その名も“ティシーのカエル”が設立されることになります。

最初の国際大会が開催されたのは、1882年になってからのことでした。20世紀にもなると、アメリカを中心に橋の上からの飛込がしばし行われるようになりますが、これらは時として大きな事故となってしまったため、禁止とされていました。屋外では安全に飛込を練習することが難しかったのでしょう。

そんな飛込は、1904年にはオリンピックの正式種目として日の目を見ることになります。第3回セントルイス大会で高飛込が正式種目として採用されたのです。その次の第4回大会からは飛板飛も実施されるようになりました。

日本における飛込競技の歴史について

いつ日本に飛込競技が来たのか、については正確なことがわかっていません。恐らく明治時代だとされています。

日本人が飛込でオリンピックへの出場した最初の記録は、1920年アントワープオリンピックの男子高飛込に出場した内田正練選手とされています。その後、1922年になると全国水上大会で初めて飛板飛込が行われたと言います。

飛込競技と関連のあるスポーツ

飛込に関連する競技として、最も皆さんが思い浮かべるものはやはり競泳ではないでしょうか。水泳、と言われた時は多くの人が真っ先に競泳競技を想像することでしょう。

人は生きるために、“生まれつき泳げない生き物”でありながら、泳ぐための技術を知恵と経験でもってして獲得していった生き物でもあります。中世時代の頃ともなると、日本では水の中を泳ぐ技術のことを“水術”と呼び、武術の1つとして扱われたこともあったのだとか。

しかし、競泳の起源は古くからあれ、ここまで泳ぐための教育が日本で徹底されるようになったのはそう昔のことではありません。子供の頃学校でプールの授業があった記憶がある人は少なくないことでしょうが、小学校や中学校で水泳教育が必修化となり、“体育”の授業で水泳が行われるようになったのは戦後暫く過ぎてからのことなのです。

1955年紫雲丸事故がきっかけだった、とされています。紫雲丸事故とは、国鉄の宇高連絡船紫雲丸が1947年(昭和22年)6月9日の就航から、その後9年間になんと5回にもわたって起こしてしまった事故の総称です。特に、1955年(昭和30年)5月11日に起こしてしまった5回目の事故は国鉄戦後五大事故とも言われ、修学旅行中だった小学校の児童らを中心に死者168名を出した大事故となってしまいました。

この事故を契機に、子供達に泳ぐ方法を伝えるということが重要視されるようになり、全国各地の学校にプールが設置されることになりました。

2012年度以降は、学習指導要領により小中学校の授業での飛び込みの指導を禁止し、競泳の訓練のみを行うようになっています。ただし学校や地域によっては、水難事故に備えて着衣水泳をすることもあるそうです。

飛込競技の競技人口について

日本での飛込競技の競技人口は、2019年時点で約700人とまだまだ少ないものがあります。しかもこれは、愛好家を含めての人数であるとのこと。飛込の競技人口が増えない背景には、やはり飛込が練習できるプールの数が少ない事が大きいようです。

一方、正確な人数はわかりませんが、世界では飛込競技は非常に人気があります。特に欧米諸国では競技人口もとても多く、国際大会では観客席が満員になることも少なくないと言われています。

飛込競技のルールについて

ここでは、オリンピックで採用されている公式ルールについてご紹介します。

飛込競技は、他のスポーツと比較しても類を見ない“競技時間が非常に短いスポーツ”としても知られています。その時間、なんとたったの2秒。その2秒の間に、選手は長年訓練してきた自分の実力の全てを発揮しなければならないのです。

東京オリンピックで採用されたのは、以下の4つの種目。3m飛板飛込(男子/女子)、10m高飛込(男子/女子)、シンクロナイズドダイビング3m飛板飛込(男子/女子)、シンクロナイズドダイビング10m高飛込(男子/女子)です。

高さはわかるけど、飛板飛込と高飛込って何が違うの?と首を捻る人も多いことでしょう。この違いは飛び込む時に蹴る“台”にあるのです。

飛板飛込は、弾力性のある飛板を用いて行う一方、高飛込は固定された飛込台を蹴って跳ぶ種目となっています。選手は助走をつけて飛び込み台、もしくは飛板に乗り、あるいは先端に立ってその弾力を利用して跳ね上がり、もしくは体勢を整えた上で跳ねて水中へとダイブするのです。当然、人としての本能的な恐怖に打ち勝つ必要のある競技であると言えます。

一方、シンクロナイズドダイビングは2名の選手が同時に演技を行い、その演技の完成度と同調性によって順位を競う競技となっています。個人競技である飛板飛込、高飛込と違い、ただ良い演技をするだけでは高得点を得ることはできません。

得点の占める割合は演技が40%、同調性が60%で、なんと同調性の方が重要視される割合が高いからです。2名のタイミングが合っていてこそ、高い評価を得ることができる競技なのです。

男子は6回、女子は5回行った演技の合計点で順位が決まります。空中で鮮やかかつダイナミックな演技ができればもちろん得点は高くなりますが、同時に入水時のしぶきは小さくなければ減点されてしまうので注意が必要です。

飛込競技の国際的な大会について

欧米で絶大な人気を誇る飛込競技は、数多くの世界大会が開催されています。オリンピックの公式種目であると同時に、2年に一度開催されるFINA世界水泳選手権大会も有名です。さらに各大陸の夏季競技大会などでも実施され、大きな盛り上がりを見せています。

世界から見た日本の飛込競技の強さのレベル

先述したように日本の飛込の今日人口はけして多いものではありません。しかし、過去には非常に優秀な成績を収めた日本人選手も存在しています。日本人の現在(2021年12月時点)での最高位は、4位入賞を果たした1936年の芝原恒雄選手とされています。

また、男子では東京2020オリンピック“飛板飛び込み3m”にて寺内健選手と坂井丞選手が5位に、“高飛び込み10m”にて玉井陸斗選手が7位と大健闘しています。

さらに女子では1936年に大沢礼子選手が4位入賞。同じく東京2020オリンピックでの“飛板飛び込み3m”にて榎本遼香選手と宮本葉月選手が5位に入り、“高飛び込み10m”でも板橋美波選手と荒井祭里選手が6位という成績を収めています。

競技人口が増えていけば、さらに日本人の躍進が期待できることは間違いありません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。知名度の高さに関わらず、日本ではまだまだ競技人口が少ない飛込競技。練習できるプールが増えること、そしてこの競技の魅力がより多くの人に広まっていけば、日本人が世界を席巻して名を轟かせる日も遠くはないことでしょう。

皆さんも興味を持った方はぜひ、さらに詳しくチェックしてみてください。

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初音

初音

おうちでまったり、頑張る人達を応援するのが好きです。

インドア派ですが、スポーツをはじめ頑張っている人達をおうちで応援してる系ライターです。子供の頃は水泳大好き少女でした。運動音痴だけどスポーツ見るのは大好きです!

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