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フェンシングの歴史・競技人口・ルール・大会【スポーツ辞典】

フェンシングという名前を何となくどこかで見聞きした人は多いかもしれません。

近年では日本人選手のオリンピックメダリストが誕生したこともあり、認知度は上がっています。

それでも「剣道」のヨーロッパ版といった印象で、実際どういったルーツを持ち、どういったルールで競技が行われているかまで御存知の方は、少ないのではないでしょうか。

そこで、ここではフェンシングの歴史やルールなどを辿りながら、日本におけるフェンシングについて少し掘り下げさせて頂きます。

フェンシングの起源・歴史について

フェンシングの起源は、中世の騎士にまで遡るといわれております。

フェンシングはそんな騎士自身の、身と名誉を守るために発達した剣術です。

騎士とは馬に乗って闘う者を指し、そう呼ばれることがヨーロッパでは名誉称号でもあります。

やがて、時代の変遷とともに防具や武具(鉄砲などの火器)の進化によって戦場での役割を終えるのですが、軍人や貴族の嗜みとして続けられるのでした。

競技としての発展は、顔を覆う金網のマスクが登場してからだといわれております。このことで怪我などの危険性が減少し、ヨーロッパ各地で開催されていったのでした。

1896年のギリシアのアテネで開催された、第一回近代オリンピックで正式競技種目として採用されており、今日に至るまで正式種目です。

しかしながら地域間でのルールに違いが多かったため、1911年に国際フェンシング連盟がフランスで設立され、ルールの統一が行われ、今に至っております。

日本におけるフェンシング史について

日本におけるフェンシングの登場は明治維新以降になります。明治政府は急速な西洋近代化を試みる中、陸軍で導入したのがフェンシングです。

目的は西洋軍人の素養を習うためでした。競技として普及していったのは、フランス留学から帰国した岩倉具清が1935年に設立した「日本フェンシング倶楽部」の指導に端を発します。

その日本フェンシング倶楽部の指導により、大学にフェンシング部が創設されたことと、同時期に1940年の東京でのオリンピック開催が決定するという機運に後押しされたこと(1940年開催予定だったが、戦争により中止)も大きいです。

オリンピック正式種目へのテコ入れもあり、大日本フェンシング協会(現・日本フェンシング協会)も発足し、各大学にフェンシング部が相次いで誕生していきます。

日本におけるフェンシング普及には、こうした背景がありました。

フェンシングと関連のあるスポーツ・派生したスポーツ

フェンシングと関連あるものについてまず挙げられるのがパラリンピック正式種目である「車椅子フェンシング」です。

車いすフェンシングは、装置で競技者同士の車いすを固定し、競技者の腕の長さに応じて、対戦間の距離を調節して上半身のみで行われます。

1960年の第一回ローマパラリンピックからの正式種目で、フェンシング同様、特にヨーロッパで盛んです。

次に挙げるのは2018年フランスフェンシング連盟が公式種目とした「ライトセイバー」です。

ライトセイバーは、「ライトセイバーフェンシング」とも「ライトセイバーデュエリング」とも呼ばれ、これまでのフェンシングの新種目になります。

ポイント箇所や剣先を後ろに振りかぶる必要があるなど、ルールも似て非なるため、現在普及の段階にある競技です。

その他、ブルース・リーによって開発された武術「截拳道(ジークンドー)」もその動きをフェンシングから影響を受けたといわれています。

フェンシングの競技人口について

日本フェンシング協会によると、2020年の登録者は子供から社会人までで約4,000人です。また全国高等学校体育連盟に加盟しているフェンシング部がある学校数は、984校です。

競技人口の半数が学生の部活動で行われおり、同じく高校の部活動である剣道部の場合、約5,000校、高校生のみで35,000人の登録者ですので、この比較だけをみても国内での競技人口が少ないのは確かです。

また、世界でも競技人口自体はメジャー競技と比較したら決して多くありません。

ただし、国際フェンシング連盟には135ヵ国が加盟しており、特に発祥地であるヨーロッパを中心として盛んに競技が行われています。

フェンシングのルールについて

フェンシングは個人と団体、種目でルールが異なります。

しかし、共通点は以下です。

有効面に剣を多く当てる競技
制限時間3分(5ポイント)を何回行うか
延長は1分で1ポイント先取した方が勝者

一度で獲得できるポイントは1です。またセットしてから始まりますので、剣道や柔道とも似ています。

個人戦は予選で3分×1セット、決勝で3分×3セット、団体戦は1チーム3人で3分×9セットを行います。フランスではライトセイバーが加わり4種ですが、日本ではライトセイバーを認定していないので旧来通り3種で、違いは「有効面」と「攻撃の強さ」と「手段」です。

【フルーレ】
・有効面   :頭、腕、足を覗いた胴体
・攻撃の強さ :500g以上の圧力
・手段    :突きのみ、攻撃権がある方にポイントが入る
       (同時突き[クードゥブル]ではポイントが加算されない)

【エペ】
・有効面   :全部
・攻撃の強さ :750g以上の圧力
・手段    :突きのみ、攻撃権がない
        同時突き(クードゥブル)でポイントが加算される

【サブール】
・有効面   :頭、胴体、腕
・攻撃の強さ :特になし
・手段    :突き・斬り、攻撃権がある方にポイントが入る
       (同時突き[クードゥブル]ではポイントが加算されない)

尚、攻撃権とは「先に攻撃した方が優先権を持つ」という原則です。

フェンシングの国際的な大会について

4年に一度の夏季オリンピックのほかに、毎年開催されるフェンシング世界選手権があります。

また、オリンピック、世界選手権、出場枠にも影響するフェンシング・ワールドカップもあり、こちらは毎年開催です。

世界から見た日本のフェンシングの強さのレベル

1952年ヘルシンキオリンピックに初出場したのを皮切りに、個人団体含めて初めての入賞は1964年東京オリンピックの男子フルーレ団体で、個人においては2008年北京オリンピック女子フルーレの菅原智恵子が7位入賞します。

2008年北京オリンピック男子フルーレ太田雄貴が、個人団体含め初のメダル獲得(銀メダル)、2015年モスクワの世界世界選手権で同じく太田雄貴が、オリンピック・世界選手権通じて初めての金メダリストになりました。

団体では2021年開催の2020年東京オリンピックの男子エペ団体で金メダルが、初のメダル獲得です。

女子でのメダリストはまだ出ていませんが、2020年東京オリンピックでは個人団体ともに入賞を果たすなど、近年では男子のみならず女子も着々と世界レベルへ近づいていっています。

まとめ

日本では競技者がまだ少ないものの、近年急速に世界的な実績を上げているスポーツでした。

共通のルールを採用した競技としての歴史は浅いものの、起源は古く、文化的な側面も持ち合わせているようです。

文化から、あるいは競技の観点からも進化を見守っていくのは面白いかもしれません。

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喬次郎

喬次郎

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