東京2020オリンピックでは、日本フェンシング界で初となる金メダル獲得の快挙を達成しました。
過去にも個人・団体で銀メダル獲得してきており、東京大会での金メダルにより、日本のフェンシング界に期待がかかります。
今回は、そんなフェンシング競技でトップ選手になるには、どのような方法があるのかを説明していきたいと思います。
フェンシングとオリンピックの関係について
フェンシングはオリンピック種目の中では数少ない、第一回大会から行われている競技です。男子が1896年のアテネ五輪から続いており、女子も1924年のパリ五輪から実施されています。
大会毎に種目が増えており、2021年の東京五輪ではフルーレ、エペ、サーブルがそれぞれ男女で個人・団体で行われました。
日本のオリンピックでのメダル獲得は、2021年の東京五輪で男子はエペ団体で金メダル、また2012年のロンドン五輪ではフルーレ団体で銀、2008年北京五輪で太田雄貴選手がフルーレ個人で銀メダルを獲得しています。
日本のフェンシングの競技人口について
日本国内での、フェンシングの競技人口はおよそ6000人というデータがあります(2019年発表)。その数字を見る限り、日本においてはマイナースポーツという位置付けになるでしょう。
多くのスポーツは子供の頃に、学校の部活動へ入部することが競技を始めるきっかけとなる場合もありますが、フェンシングを部活動としている中学校は少なく、高校・大学から始めるケースが多いです。
2021年の東京五輪日本代表は男女計21人が登録されましたが、ほとんどの選手が十代から始めて大学を経て社会人として五輪に出場しています。また、男女とも30代の選手も登録されていることからも、第一線で長く続けることができる競技とも言えます。
また、日本フェンシング協会の前会長の太田雄貴氏は、会長在職時の2017年のインタビューにおいて「10年後には国内の競技人口を5万人にしたい」と語っており、現会長の武井壮会長も「フェンシングを国民的なメジャースポーツへと昇華させること」という目標を掲げています。
そのために現在も、競技人口拡大のために様々な取り組みが行われており、オリンピックや国際大会での日本の好結果が追い風となり、今後は多くの人々がフェンシングに携わる環境が出来ていくものと予想されます。
日本代表選手への道のりについて
プロ制度のない日本のフェンシング界ですが、トップ選手になるにはやはり、日本代表としてオリンピックや世界選手権などの国際大会に出場するレベルを指します。
日本フェンシング協会の公式サイトには、「日本代表情報」という項目があり、その中で代表選手として選考されるための流れが紹介されています。
カテゴリーは、シニア・ジュニア・カデで分けられており、選手が獲得する日本フェンシング協会(FJE)のポイントによりランキングが決定し、それぞれのカテゴリーのランキングにより各大会への派遣選手などが決定されます。
なお、ポイントはFJE公認の大会に出場し好成績を収める必要があり、選手はFJEへの選手登録が必要となります。
プロ選手に求められるスキルとは
国内で行われている各種大会で実績を作る事が、日本代表入りへの重要なプロセスとなります。しかし、日本代表選手となるための条件として、他の競技と大きく異なる点があります。
2021年の世界選手権代表選考より、英語検定試験を行うことが決まっています。
競技能力だけでなく、英語の試験を受け、一定の基準をクリアすることが代表入りへの条件となることが、2019年に定められました。必要とされる英語のレベルは英検準2級相当とも言われており、スポーツ界では極めて珍しい選考基準となっています。
英語スキルが代表選手選考基準となった背景には、前会長の太田雄貴氏の存在が大きく、会長在職時の2019年にこの方針が打ち出され、フェンシング界のみならず、日本のスポーツ界全体に大きな衝撃を与えたニュースとして伝わりました。一方で、その必要性を問う疑問の声なども各方面から上がり、物議を醸しました。
身体能力や技術が何よりも問われるスポーツ競技で、英語力が求められた背景としては、ヨーロッパが本場となるフェンシング競技ではトップ選手になる程、活躍の場が海外にまで及ぶことが理由に挙げられています。
海外では外国人指導者や相手選手、さらに生活する上で現地のスタッフなども含め、スムーズなコミュニケーションを行うには一定以上の英語を理解し、発する必要があるという考えが基となっています。
豊富な国際舞台での経験を持つ太田氏は、自身の経験も踏まえ、日本代表の選手選考基準に英語の試験を加えるという方針を打ち出したのです。
まとめ
現在、日本では幼少時からフェンシングに触れる機会が少なく、始める時期も中学生以降となる場合が多いのが実情です。
ですが、英語力や基礎体力を身につけるなど、出来ることは身近にもあります。
アスリートとして、今できることをみつけながら、将来のトップ選手を目指していきましょう。
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