ボウリングで「両手投げ」というと、女性や小さい子どもが投げる姿を思い浮かべる人もいるかもしれません。
しかし、海外のトップボウラーをはじめ、日本でも両手投げをするプロボウラーは増えてきており、公式戦で優勝する選手もいるほどです。
今、ボウリング界で大注目の両手投げについて解説します。
両手投げはルール違反じゃないの?
従来のボウリングと言えば片手で投げるのが主流だったので、ルール違反なのでは?というような疑問を持つ方もいるかもしれません。
結論から言うとボウリングのルールに「投球は片手でしなければならない」などという制約はありません。
そもそもボウリングは「いかにたくさんピンを倒してスコアをだせるか」というのが目的なので、両手投げでも全く問題ないのです。
ボウリングはボールを大きく曲げるのが主流
皆さんも、プロボウラーがボールを曲げてストライクを量産する姿を、目にしたことがあるのではないでしょうか。ボウリングには「パーフェクトストライク理論」という理論があります。
右投げの場合、1番ピンと3番ピンの間、左投げの場合は1番ピンと2番ピンの間に、3~6度の入射角でボールが当たれば100%ストライクになるというものです。その角度をつくるために、片手で投げるプロボウラーの多くは「ローダウン」という投げ方で、ボールを曲げてストライクを狙っています。
両手投げは片手投げに比べ、ボールに回転をかけやすく大きく曲げることができるため、ストライクの確率を上げることができるのです。
両手投げの名手
両手投げを世界的にメジャーにしたのは、オーストラリアのジェイソン・ベルモンテ選手。誰もが認める両手投げのパイオニアです。
彼は1歳半で初めてボールを投げた日からずっと両手投げで、コーチに指導してもらうこともなく、今の投法を100%自分で編み出してきたと話します。ベルモンテ選手は、PBA(Professional Bowlers Association)ツアーで25のタイトルを獲得した、史上わずか11人のプレーヤーのひとり。
25のタイトルの中には13のメジャー選手権が含まれ、そのうち4つはUSBCマスターズでも記録されています。2020年にはPBA史上2人目となるスーパースラムを達成。
また、PBAプレーヤーオブザイヤーに5回選ばれるなど、誰もが認めるトップボウラーといっても過言ではないでしょう。
PBAを代表する世界的ブロボウラーであるフィンランドのオスク・パレルマ選手も両手投げで有名な選手です。彼もまた、トップボウラーと呼ばれるにふさわしい経歴の持ち主です。
このふたりの活躍に触発されたのか、両手投げをする選手は増えていき、2013年には日本でも両手投げのプロボウラーが誕生しています。
現在ではアジアやアメリカ、ヨーロッパ、中東などあらゆるところで両手投げをするプロボウラーは確実に増えてきているのが現状です。
両手投げの方法
基本的な投げ方について、簡単に解説します。最大の特徴と言えるのがボールの持ち方です。中指と薬指だけを穴に入れ、親指は入れず、手のひらで支えるようにボールを持ちます。
そして、逆の手をそえて、ボールを下に落とすような感覚で投げます。片手投げに比べて、容易にボールの下に手を入れられるため、初心者でも簡単に回転をかけてボールを曲げることができます。
両手投げのメリット
両手投げの最大のメリットは、ボールに高回転をかけられることです。高回転をかけることによって、単純にボールが曲がりやすくなるのに加え、ピンを激しく散らすこともできるのでストライクの確率が上がります。
それに加えて、親指を使わないため、片手に比べてしっかりとボールを支えることができるので、リリースする際にボールが抜けすぎたり、引っかかったりすることがありません。また、両手でボールを持つため、腕への負担が軽減されるのもメリットのひとつと言えます。
両手投げのデメリット
両手投げのデメリットには、ボールにスピードをつけにくいことが挙げられます。片手投げに比べて両手投げはバックスイングが非常に小さくなってしまうためスピードがつけにくくなります。
全くスピードがでないということではありませんが、ベルモンテ選手のような高速、高回転を実現するためには柔軟な筋肉が必要になるため、一般的には片手で投げるよりもスピードが落ちる傾向にあります。
また、回転がかかりすぎるので、最初のうちはコントロールをつけるのが難しく、思うところにボールがいかないという点もデメリットと言えるでしょう。ベルモンテ選手も、両手投げで安定した投球をするには練習量が必要だと語っています。
とにかく投げ込んで、身につけるしかありません。
まとめ
両手投げのパイオニアであるベルモンテ選手やオスク・パレルマ選手など世界で活躍するトップボウラーをはじめ、日本の公式戦でも両手投げの選手が入賞する機会が増えています。
まだまだ片手投げの選手に数では及ばないものの、両手投げのプロボウラーは世界中で増え続けているのが現状です。
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