パラスポーツは障がいを持っている人が打ち込むことができるスポーツで、様々な障がいがあっても活動ができるように、その障がいレベルに応じて一般競技とルールを変更・工夫を行い、時には専用の用具を用いて障がいを補うように工夫されたスポーツです。
当初は医学的な観点から身体のリハビリテーションとして普及して行きましたが、現在ではリハビリテーションというよりも、競技として一般競技と遜色がないほど盛り上がりを見せています。
その中でもメジャースポーツの一つとして挙げられるものが「車椅子テニス」です。
車椅子テニスは、一般競技のテニスとさほど大きな違いがなく、コンタクトもないので、取り入れやすいという理由からかなり盛り上がっています。
今回は華麗な車椅子さばきからの、激しいスマッシュなど、魅力的な部分が多い「車椅子テニス」について解説していきます。
車椅子テニスの起源・歴史について
車椅子テニスは、1976年にアクロバットスキーの競技中の怪我により下半身が付随となってしまったアメリカのブラッド・パークスがリハビリテーション目的で始め、そこからジェフ・ミネンブレイカーと共に競技用の車椅子を共同開発し、本格的なスポーツとして誕生しました。
その後、1980年になるとアメリカ車いす財団(NFWT)が設立され、続けて1981年に車椅子テニスの国際普及を目指して、車椅子テニス選手協会(WTPA)が設立されました。
そこからヨーロッパでも盛り上がりを見せ、1988年に国際テニス連盟が車椅子テニスにおける2バウンドによる返球ルールを承認したことで、新競技として正式に認可されるようになります。
その年の10月には初代会長ブラッド・パークスによる国際車いすテニス連盟(IWTF)が設立されました。
最初加盟した国はアメリカ、オーストラリア、カナダ、フランス、イギリス、オランダ、イスラエル、日本の8カ国です。
国際車いすテニス連盟(IWTF)は、1998年に国際テニス連盟(ITF)と完全統合されることとなりました。
日本における車椅子テニスの歴史について
日本の車椅子テニスが誕生したのは1983年頃で、ハワイのホノルルマラソンに参加した松尾清美が現地で車椅子テニスを体験し、帰国後に友人たちと練習を始めたことがきっかけとされています。
そこから現在のジャパン・オープンである第一回大会が1995年に福岡県飯塚市で開催されました。
1986年に日本車いすテニス連絡協議会が発足し、1989年に車いすテニス協会(JWTA)が設立しました。
現在も日本人選手の活躍により、車椅子テニスが全国に広がっています。
車椅子テニスと関連のあるスポーツ・派生したスポーツ
車椅子テニスと関連のあるスポーツは、やはり一般競技のテニスでしょう。
テニスは世界的に人気のあるスポーツということから、車椅子テニスも同様に世界中で人気のあるスポーツとなりました。
車椅子テニスの競技人口について
国際テニス連盟(ITF)の車椅子テニス加盟国は、約60カ国と言われており、競技者はリハビリの観点で行っている人もいるため難しいですが、世界ランキング保持者は男女合わせて約900名です。
そのうち日本男子は約60名、日本女子は約10名とされています。
つまり、リハビリ目的として行っている人も合わせるともっと多くの人が、車椅子テニスを楽しんでいることとなります。
車椅子テニスのルールについて
車椅子テニスのルールは、一般競技のテニスとさほど変化はありませんが、車椅子を使用する上で多少の違いはあります。
大きな違いとしてまず挙げられるのが、「2バウンドルール」です。
2バウンド以内に返球すればOKで、3バウンド目をついてしまうと相手のポイントになります。
1バウンド目がコート内であれば、2バウンド目はコート外でもOKです。
車椅子の操作で、サーブの際には車椅子を一押しだけすることが可能ですが、サーブの直前は車椅子を静止しなければなりません。
足で車椅子を操作する、足を地面につけるなどの足を使用した動きは禁止されています。
さらに、ボールを打つ際に車椅子からお尻を浮かすことは禁止です。
車椅子は身体の一部とされているため、ボールが車椅子に当たった場合は、失点してしまいます。
障がいレベルに応じて、ルールが変わるところが見どころの一つです。
車椅子テニスの国際的な大会について
車椅子テニスは1992年に開催されたバルセロナパラリンピックにて正式競技として採用されることとなりました。
現在はパラリンピック以外にも、プロテニスの4大大会であるオーストラリアの「全豪オープン」、フランスの「全仏オープン」、イギリスの「ウィンブルドン」、アメリカの「全米オープン」で車椅子テニス部門が設けられています。
世界から見た日本女子車椅子テニス&日本男子車椅子テニスの強さのレベル
日本人選手の車いすテニスのレベルは世界トップクラスで、日本男子シングルスの国枝選手は世界ランキング2位、日本女子シングルスの上地選手も世界ランキング2位に位置付けています。
東京パラリンピック2020では国枝選手が男子シングルス金メダル、上地選手・大谷選手ペアが女子ダブルスで銅メダルを獲得しました。
世界に誇れる日本車いすテニスの今後に期待ですね。
まとめ
今回は日本が世界に誇れる車いすテニスについて詳しく解説しました。
車いすを使ったスピーディーな動きと、パワフルなスマッシュは見ている観客を引きつけます。
まだ競技を見たことがないという方は、ぜひ観戦してみてください。
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