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【高校野球】球数制限は何球まで?経緯や規定詳細を調査!

近年よく聞くようになった野球の球数制限。
ワールドベースボールクラシック(WBC)ではルールとして定められており、1人の投手が1試合で投げられるのは、1次ラウンドは65球、2次ラウンドは80球、準決勝以降は95球となっています。
またメジャーリーグ(MLB)でも1試合100球程度で降板することは以前からの常識。
そして日本の高校野球にも球数制限は存在します。
しかしそのルールはWBCやMLBとは大きく異なるもの。いったいどのように違うのでしょうか。
今回は、高校野球の球数制限をご紹介。
ルールが導入された経緯やその詳細を解説します。

【高校野球】球数制限導入の経緯

高校球児の身体的負担を減らすためのルール変更は過去に何度か行われてきました。
そのきっかけとなったのは、いずれも高校球史に残る熱戦
それぞれの歴史を振り返ります。

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延長18回

1958年夏の大会から、高校野球の延長戦は18回までと決まりました
そのきっかけを作ったのは1958年に83奪三振という一大会通算記録を打ち立てた徳島商の板東英二投手。
1958年春季四国大会で板東投手は、準決勝で16回、翌日の決勝で25回を一人で投げきり、これがあまりに過酷だと問題になったのです。
そこで延長戦は18回まで、引き分けた場合は再試合というルールが決定。
その夏の甲子園に出場した板東投手は、準々決勝で延長18回と引き分け再試合を1人で投げきり、新ルールの適用第1号にもなりました

延長15回

高校野球の延長戦が15回までとなったのは2000年の春から
このきっかけとなったのは1998年夏の横浜高校、松坂大輔投手です。
PL学園との死闘で17回250球を投げきった松坂投手は、翌日の準決勝では痛々しいテーピングを自ら剥ぎ取ってリリーフ登板。さらに決勝ではノーヒットノーランを記録します
この勇姿にファンは熱狂しましたが、投手の酷使が問題に。
その結果、延長戦が短縮されたのです。

球数制限導入の背景

その後、2013年夏の甲子園からは準々決勝と準決勝の間に初めて休養日を設定。
2018年には延長13回からタイブレーク制が導入されました。
そして現在の球数制限導入のきっかけとなったのが、2018年夏の甲子園で準優勝し、旋風を巻き起こした金足農の吉田輝星投手。
決勝までの6試合全てに先発し、5完投を含む881球を投げた姿が感動を呼びましたが、これが投手生命を脅かしていると問題になったのです。
そしてその年の12月に新潟県高野連が2019年から1試合100球以内の球数制限を導入すると発表
これをきっかけに日本高野連が動いたのです。

【高校野球】球数制限の規定詳細

では具体的な球数制限はどのようなルールになっているのでしょうか。

球数制限ルール

高校野球の球数制限のルールは高校野球特別規則の「投手の投球制限」の項目で定められています。

▽投球数、対象期間、試合について
①1人の投手が投球できる総数は1週間500球以内とする。
②1週間とする対象期間は、都道府県大会等とそれに連続する大会日程の期
間を含む。
③試合が降雨、暗黒などで続行不可能となりノーゲームとなった試合の投球
数も500球の制限に投球数としてカウントする。

▽投球数(公式記録)の取り扱い
①試合終了後、原則として電子スコア等を活用した公式記録で大会本部と両チームは各投手の投球数を必ず確認する。
②試合前(直近1週間に試合を行っていないチームは除く)に、大会本部はメンバー交換時に原則として両チームにそれまで1週間の試合の双方の各投手の投球数を記したシート等を配布し投球数を確認する。

▽1週間で500球に到達した場合の取り扱い
①500球に到達した打者の打撃完了まで投球可能。(次打者で投手交代)
②降板した投手は、以降当該試合では投球できない。

このルールは1試合に100球といった制限ではなく、1週間に500球という制限
つまり試合間隔がある場合や、決勝まで進むことを考えずに目の前の1勝にこだわるときには100球を大きく超えて投げ続けることも可能だということになります。

各方面からの批判

この球数制限には、実は各方面から批判も集まっています。
まずは「現実問題としてこのルールに抵触する投手はいないため意味はない」という意見。
実際に1週間で500球以上投げたのは近年では吉田輝星投手のみで、実際にこのルールによって球数が減ることはほとんどないというのです。
また高校時代には連投もした桑田真澄氏は「1週間500球という球数制限にはまったく意味がない」と発言。このルールだと「成長期にある高校生がプロの倍も投げる」ことになり、「はっきり言って壊れます」と言い切っています。
さらにメジャーリーガーのダルビッシュ有投手はTwitterで「1週間に2試合しかない場合1試合250球投げられるし、3日連続試合ってそもそもあるの?子供達の体を守ること、一人でも多くの楽しい思い出を作ることを軸に改革を考えてみないか?」と発信。
現在のルールは甘いという意見が多くなっています

球数制限が進まない背景

このように批判も多い一方、1試合100球制限などの大胆な改革が進まない背景には、実は日本の野球の歴史も関係しています
太平洋戦時中、野球は敵国の競技として禁止される寸前に。その際に早稲田大学野球部の監督だった飛田穂洲氏が「野球は軍隊式訓練にもつながる」と主張することで守ったのです。
おかげで日本の野球は存亡の危機を免れたのですが、その代償が坊主頭厳格な上下関係、そして根性論
そういった流れがあるため、成長期の子どもを守るためと言われても、一方から「高校生たちは高校野球に人生を賭けているのだ」「球数制限などしたらこれまでの高校野球が変わってしまう」と反対する声が上がってしまうのです。

今後の球数制限

とはいえ現在の球数制限は、実はスタートに過ぎないという声もあります。
高校野球特別規則にも「3年間の試行期間」と書かれていて、その後は明らかになってきた問題点を基に改善していくという意向
また少年野球人口が減っている原因の一つが根性論や酷使による故障であるということは日本高野連も認識していて、500球ルールの導入と同時に「積極的に複数投手を育成するように」という提言もされています。
そして今後はさらに踏み込んだ球数制限の導入もあるはずだと言われているのです。

まとめ

「甲子園のスターが生まれなくなる」という声もある球数制限。
しかし酷使によって投手としての未来を潰されてしまう可能性がある以上、厳しい制限は当然であるといえます。
伝統を守るのか、それとも未来ある球児を守るのか。
球数制限の今後に注目が集まっています。

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スポーツで人生楽しむ自然派ライター

筋トレとアウトドアをこよなく愛するライター。某FM局の作家時代、筋トレマスターに師事し、トレーニングブログを3年間で100本以上執筆しました。

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