足が速くないと難しいと思われがちな野球の盗塁。
しかし実はプロ野球では50m走6秒4という中学生の選手並みのスピードで年間50盗塁以上を記録した選手もいるのです。
つまり盗塁に重要なのは足の速さではないということ。
では盗塁を成功させるポイントは何でしょうか?
今回は盗塁の意味と、その成功率を上げるコツをご紹介します。
盗塁とは
盗塁はその名の通り、塁を盗むこと。
塁上にいるランナーがタイミングを見て走り、次の塁に進むことを表します。
最も多いのは1塁から2塁への盗塁。ピッチャーが投球した瞬間にスタートし、キャッチャーがボールを2塁に投げるまでに2塁到達を目指します。
盗塁のルール
盗塁のルールで注意が必要なのは、進塁義務があるプレーではないということ。
例えばランナー1塁でバッターがゴロを打った場合、ランナーには進塁義務があるため、守備側が2塁ベースを踏むだけでアウトになるフォースプレーとなります。
しかし盗塁は進塁義務があるプレーではないため、アウトにするためにはタッチが必要なタッチプレーになるのです。
つまりランナーはボールを持った守備側選手にタッチされる前に次の塁に到達できれば盗塁成功ということ。ランナーがベースに触れる前にタッチされたらアウトで、盗塁失敗となります。
盗塁が成立しない場合
ランナーが次の塁に進んでも、盗塁が記録されないときもあります。
・バッターが打った時の進塁
・エラーによる進塁
・ボークによる進塁
・他のランナーがアウトになっている間の進塁
紛らわしいのは、ピッチャーの暴投やパスボール。
この場合、ピッチャーが投げた球がバッターに達する前にランナーがスタートしていたら盗塁が記録されますが、暴投を確認してからランナーがスタートした場合は盗塁にはなりません。
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特殊な盗塁
盗塁には特別な名前がついたものもあります。
ホームスチールは3塁から本塁への盗塁。
なかなか成功しないためレアな盗塁です。
ダブルスチールは2人のランナーが同時に行う盗塁。
1・2塁や1・3塁の場面で行うことがありますが、2人のランナーの両方が成功しないと盗塁とは記録されません。
ディレードスチールは通常のタイミングよりも遅れて走り出す盗塁。
相手の意表を突き、ピッチャーが投球した後や、キャッチャーからピッチャーへの返球時などにスタートします。
盗塁のコツ
プロの場合、ピッチャーがクイックモーションで投げてからキャッチャーが捕球するまでは平均1.3秒。 キャッチャーが捕球してから2塁に送球する時間は平均2.0秒で、合計3.3秒となります。
これに対して、盗塁王と言われるレベルのランナーが盗塁を試みて2塁まで到達する時間は3.2秒ほど。
かなり微妙な時間差です。
そのような状況で盗塁を成功させるには大切なコツがいくつかあります。
コツ① リードを大きくする
当然の話ですが、リードが大きいほど盗塁の成功率は上がります。
一般的なランナーならリードを1m大きくするだけで0.1秒早く到達できる計算。この差が明暗を分けることになります。
一般的にリードは初心者の場合ベースから3歩で約2m、上級者は5歩で約3mから4m離れるのが目安。しかし実際には牽制球でアウトになることを怖がってリードが小さくなっている場合がほとんどなのです。
牽制球を投げられたときに足から戻ってセーフになるようでは近すぎる証拠。
全力で手から飛び込んで戻り、ギリギリセーフとなる距離を見つけるよう、練習のときからリードを大きく取ることが大切です。
コツ② ピッチャーのクセを見抜く
盗塁成功の鍵を握っているのはスタート。
そのためにはピッチャーの投球フォームのクセを見つけ、牽制ではなく投球だと確信した直後にスタートする必要があります。
クセはピッチャーによって十人十色。ここを見れば絶対に分かるという共通点はありません。
しっかり観察してクセを見破ることが大きなポイントになります。
コツ③ 思い切りよくスタートする
とはいえ、ピッチャーの動きに集中しすぎるのは間違い。
そのためにスタートの動作が遅くなってしまっては意味がないのです。
意識がピッチャーに向かいすぎないよう、スタートの瞬間には思い切り良く動き出すことが重要です。
コツ④ スタート直前はリラックス
スタート前には進塁も帰塁もできる姿勢でいることが大切。
このときにできるだけ力を抜いて楽に構えます。
実はリラックスしていた方が、一瞬でパワーを発揮しやすくなるのです。
コツ⑤ 下向きで低い姿勢
100m走のタイムが良くても盗塁が苦手という選手は大勢います。
その理由はスタートが遅いから。盗塁では最初の数歩でいきなりトップスピードに持っていく特殊な技術が求められるのです。
スタートダッシュは低い姿勢から行うのがコツ。
ピッチャーが投球した瞬間、右腕一気に上げることで重心を低く前に移します。
同時に左ヒザは内側に倒して腰を回転。次に左足を前に踏み出してスタートを切ります。
その後の数歩は低い姿勢で小刻みに走ることで素早くトップスピードへ。
そのためのコツは目線を下に向けておくことです。
4~5歩でトップスピードになったら顔を上げて走ります。
まとめ
盗塁の最後には勢いを殺さずにスライディングする技術も必要。
しかし成功率に関してはスライディングよりもスタートの技術の方が遥かに重要になります。
リラックスした姿勢から思い切り良くスタートし、即座にトップスピードに持っていくことができれば、あまり足が速くない選手でも盗塁のチャンスは十分にあるはず。
スタートとピッチャーのクセを盗む練習を繰り返せば、盗塁王も夢ではないかもしれません。
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