ホールドは野球の記録の中でもマイナーなもの。
ピッチャーの記録といえば、勝利数や防御率、セーブ数、奪三振数などがありますが、そのひとつがホールドです。
ホールドは中継ぎ投手につけられる記録。
しかしその条件について自信を持って答えられる人は少ないのではないでしょうか。
今回はホールドについてご紹介。
ホールドの条件やルール、ランキング、そして実は重要な、ホールドの問題点も解説します。
【野球】ホールドとは
ピッチャーには先発、中継ぎ、抑えといった役割があり、先発投手には勝利投手の可能性があり、抑え投手にはセーブの可能性があります。
ところが中継ぎ投手にはその能力を評価する記録がほとんどありませんでした。
そこで設定されたのがホールド。
中継ぎ投手が「リードや試合展開を保った」ときに付くことから「ホールド(hold)」という名前になっています。
セーブとの違い
「リードを保つ」という意味では、抑え投手のセーブも同じ。
違いは中継ぎ投手なのか抑え投手なのかということになります。
より正確には、セーブがつくのは「勝利チームで最後に投げていた投手」で、「最後の3アウト目を取った投手」のみ。
最後まで投げ切ったかどうかが大きな違いになります。
【野球】ホールドの条件① 必須条件
ではどのような条件を満たせば、ホールドがつくのでしょうか。
まずは必ず満たさなければならない条件から、具体的にご紹介します。
4つの条件に当てはまらないこと
まずは下の4つの条件に当てはまらないことが必要です。
・先発投手である
・勝利投手である
・敗戦投手である
・セーブがついた
先発した場合は当然ですが、リリーフ登板して勝利投手の権利を得たり、最後まで投げ切ってセーブがついたりした場合、逆にチームが負けて敗戦投手になった場合にもホールドはつきません。
試合終了まで投げないこと
あくまでも中継ぎの記録であるため、リリーフとして登板後に試合終了まで投げたら、ホールドはつきません。
試合終了まで投げた場合、条件によってはセーブが記録されます。
1つ以上アウトを取ること
中継ぎとして登板しても1つもアウトをとらずに降板してしまったら、ホールドはつきません。
自身の記録で同点または逆転されないこと
登板したときの試合の状況を保ったままで降板することがホールドの条件。
つまり自責点で同点に追いつかれたり、逆転されたりしたらホールドは付きません。
自責点ですから、ランナーを残して降板した場合は注意が必要。後続のピッチャーがそのランナーをホームインさせて同点や逆転になったら、ホールドはつかなくなってしまいます。
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【野球】ホールドの条件② 試合状況による条件
上の4つの条件を満たしても、それだけではホールドは記録されません。
さらに以下の条件のうち1つを満たす必要があります。
自チームがリードしているとき
チームがリードした状態で登板した場合は、以下の3つが条件になります。
①3点以内のリードで登板し、1回以上を投げてリードしたまま降板する
②2者連続でホームランを打たれたら同点か逆転される場面で登板し、1アウト以上投げて、リードしたまま降板する
③点数差に関係なく、3回以上を投げてリードしたまま降板する
少しややこしいのは②の「もし2連続ホームランを打たれたら」という場合。
登板したときに塁上にいるランナーの人数によってホームランで入る得点が変わりますから、条件も異なってきます。
・ランナー無しの場合:ソロHR+ソロHR=2点差以内
・ランナーが1人の場合:2ランHR+ソロHR3点=3差以内
・ランナーが2人の場合:3ランHR+ソロHR=4点差以内
・ランナー満塁の場合:満塁HR+ソロHR=5点差以内
それぞれの状況で1アウト以上投げてリードを守り切ればホールドの権利が得られることになります。
同点のとき
同点の場面で登板した中継ぎ投手には、次の条件が当てはまります。
①同点のまま失点せずに降板する
②登板中に自チームが勝ち越した時、そのリードを保ったまま降板する
こちらも最初に挙げた4つの条件を満たした上で、試合状況に合わせた条件を1つクリアすれば、ホールドの権利を得ることができます。
【野球】ホールドの歴代ランキング
さまざまな条件があるホールド記録。
2023年度シーズン終了時点での歴代ランキングはどうなっているのでしょうか。
順位 | 投手 | ホールド | 期間(※は現役) |
1位 | 宮西尚生 | 393 | 2008〜2023※ |
2位 | 山口鉄也 | 273 | 2007〜2017 |
3位 | 浅尾拓也 | 200 | 2007〜2018 |
4位 | マシソン | 174 | 2012〜2019 |
5位 | 又吉克樹 | 167 | 2014〜2023※ |
6位 | 益田直也 | 166 | 2012〜2023※ |
7位 | 五十嵐亮太 | 163 | 1999〜2020 |
藤川球児 | 163 | 2000〜2020 | |
9位 | 青山浩二 | 159 | 2006〜2020 |
10位 | 増井浩俊 | 158 | 2010〜2022 |
宮西尚生投手が400に迫るホールドを記録し、圧倒的トップとなっています。
【野球】ホールドの注意点
条件が少し複雑なホールドですが、さらに覚えておくべきこともあります。
ホールドポイント
ホールドについて解説するときに忘れてはならない用語が「ホールドポイント(HP)」です。
ホールドポイントは、ホールド数と救援勝利数を合わせたもの。
救援勝利は、同点またはリードされている状況で中継ぎ登板した後、勝ち越しや逆転で勝利したときに記録されます。
ホールドポイントが最も多い投手には最優秀中継ぎ投手のタイトルが与えられるため、重要な記録となります。
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【野球】ホールドの問題点
ホールドは勝利投手やセーブなどよりも遅れて設定された記録。
その仕組みには問題点も指摘されています。
1つはチームが負けてもホールドが付く場合があること。
その投手がホールドの権利を得て降板した後にチームが失点して負けても関係なくホールドが記録されます。
一方の勝利数やセーブ数はチームが勝利したときだけ記録されるため、負けてもホールドが付くのはおかしいという意見もあるのです。
また前述の救援勝利のような場合では、ホールドが消えて勝利投手になってしまうのも、中継ぎの評価としては正確性に欠けると言われています。
まとめ
近年はピッチャーの分業が進み、中継ぎ投手の重要性が増しています。
以前は中継ぎ投手の評価基準は曖昧なものでしたが、その重要な指標になるのがホールド。
ホールドの記録にも注目すれば、野球の中盤の楽しみ方がもっと広がるかもしれません。
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