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【プロ野球】ストライキとは?原因や現状について解説!

メジャーリーグのニュースでは、野球自体にはあまり関係のない言葉をよく聞くことがあります。
それはストライキ。
いったいなぜ野球で労使交渉に関する用語がでてくるのでしょうか。
そして誰が、どのような理由でストライキを行うのでしょうか。
今回は、プロ野球のストライキについて調査。
ストライキが決行される原因と現状について解説します。

【プロ野球】ストライキとは

【プロ野球】ストライキとは?原因や現状について解説!①

そもそもストライキは、労働者が経営者と対等な立場で交渉を行う手段。
労働組合員が一斉に業務を放棄することで会社に圧力をかけます

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ストライキとストライク

ストライキ(strike)と野球のストライク(strike)は英語の綴りが全く同じ
実は英語では同じ言葉になります。
野球のストライクは「打つ」という意味。
打っていないのになぜ「ストライク(打つ)」なのかというと、野球のストライクゾーンが決まっていなかった時代、打つべきボールを打たなかった打者に対して審判が命令形で「ストライク(打て!)」と言ったからです。
そしてストライキの方は、元々のstrikeに「一時的な構造物を解体する」という意味もあり、帆船の帆を下ろすことを「to strike the sails」と言ったのが由来
1768年に賃金カットに反対したロンドンの船乗りたちが帆を下ろして最初の労働放棄を行ったことからストライキという言葉が生まれました。
そして日本で語尾がキとクに分かれている理由は、その言葉が日本に伝わった時期が違うから
労働争議のストライキが日本の新聞で初めて紹介されたのは1879(明治12)年で、野球用語のストライクは1907(明治40)年です。
明治初期の日本人は、子音で終わる英語の発音に慣れていなかったため、語尾にイを足すのが普通。その後30年ほどの間にウの発音でカタカナ化するようになりました。
インキとインク、ステッキとスティックも同じ違い。
そのため今でも労働争議はストライキ、野球はストライクとなっています。

ストライキを行う団体

一般的なストライキは労働組合が経営者に対して行います。
では日本ではプロ野球のストライキはどのような団体が行うのでしょうか?
それは日本プロ野球選手会です。
日本プロ野球選手会は12球団に所属しているプロ野球選手たちが会員となっている団体。その目的に合わせて2つの法人が存在します。
1つは一般社団法人日本プロ野球選手会。こちらは野球の発展を目指してチャリティ活動や野球教室などを実施する団体です。
そしてもう一つの労働組合日本プロ野球選手会が、労使交渉やストを行う団体。
労働組合日本プロ野球選手会は、日本初の個人事業主による労働組合とも言われています。
また日本のプロ野球界には連帯労働組合プロ野球審判支部という労働組合も存在。理論的には審判がストライキを起こす可能性もあります。

【プロ野球】ストライキの原因

【プロ野球】ストライキとは?原因や現状について解説!②

ではプロ野球のストライキはどのような場合に起こるのでしょうか。
実際にストライキが決行された事例からご紹介します。

日本唯一のストライキ

日本のプロ野球でストライキが決行されたのは1度だけ
2004(平成16)年9月18、19日の2日間です。
この間、計12試合が中止となりました。
その発端は経営不振が続いていた近鉄をオリックスに合併するという案。
選手会が反発する中、次にダイエーとロッテも合併し、10球団1リーグ制に移行するという構想が明らかになりました。
選手会は大量の選手が解雇されることを理由に近鉄の存続と12球団の維持を訴えて対立
9月9日と10日の交渉では結論は先送りされて9月11、12日のストは直前で回避されました。
しかし翌週の2回目の交渉は決裂。ついにストが実施されたのです。
ストの間、球場では各選手がサイン会などファンのためのさまざまなイベントを実施。
一方の経営者側はこのストによって初めて試合を中止する損失の大きさに気づきます。
さらに楽天などが球界への新規参入を表明。ダイエーとロッテの合併が消滅して1リーグ構想の前提が崩れたこともあって、一気に交渉が進みました。
経営者側は当初渋っていた楽天の新規参入を受け入れ、12球団2リーグ制を維持することに。
現在のプロ野球の姿があるのは、2004年のストのおかげでもあるのです。

MLBのストライキ

日本では過去にストライキが行われたのは1度ですが、MLBではさらに多く、期間もはるかに長いストが決行されています。
主なストライキの内容は以下の通りです。

シーズンストライキで勝ち取ったもの中止となった試合
1972年トレードの拒否権

年金基金の50万ドル追加

年俸調停制度

13日間86試合
1981年FA選手の補償制度50日間713試合
1994年1995年サラリーキャップ制度導入の断念232日間938試合

そもそもMLBの選手会は「最強の労働組合」とも言われるほど厳しい交渉をすることで有名。要求を通すためにはシーズン丸ごと潰してしまうことも行います。
1994年と1995年の2シーズンにまたがったストライキは、チームの総年俸に上限を定めるサラリーキャップ制度導入案に反発したもの。その背景には高騰を続ける年俸のために維持できなくなる球団が多かったという事実があります。
それでもストライキを決行して選手の権利を守るのが選手会なのです。
とはいえこのストライキは一般には「金持ち同士のケンカ」と解釈され、MLBのファン離れが深刻に
その結果、これ以降は労使共になんとか交渉をまとめようとするようになり、シーズン中のストライキは回避されています。

まとめ

MLBでも回避されるようになったストライキ。
日本で再び決行される可能性はあるのでしょうか。
現在、労使間でくすぶっているのがFAの問題です。
現在国内FAできるまでの期間は高校出の選手なら8年、大学・社会人出身の選手なら7年、海外FAは一律9年となっています。
これに対して選手会は一律7年への見直しを求めている状況。
この問題でストライキが行われる可能性は低く、日本では労働組合のストライキ自体が減っていることも考えると、そう簡単にプロ野球でストライキが行われることはなさそうです。
しかし球界再編のように大きな問題が起こったときには、再びストライキでペナントレースがストップするという事態がないとは言い切れません。

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スポーツで人生楽しむ自然派ライター

筋トレとアウトドアをこよなく愛するライター。某FM局の作家時代、筋トレマスターに師事し、トレーニングブログを3年間で100本以上執筆しました。

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