家族や友人とも楽しめるウォーターレジャーとして近年人気のカヌー。
「自然の中でのんびりカヌーを漕いでみたい」「カヌーで川下りをしてみたい」などと思って調べてみると、カヌーと一緒にカヤックという言葉が出てくることがよくあります。
勘違いしたまま体験イベントに申し込むと、イメージと違って面食らうことになるかも。
いったいカヌーとカヤックは何が違うのでしょうか。
今回は、カヌーとカヤックの違い、それぞれの特徴や難易度をご紹介します。
【カヌー】カヤックとの違い
まずはカヌーとカヤックの違いについて。
ただしそれを説明する前に、もうひとつ覚えておいた方がよいものがあります。
それはボート。
そもそもボートとカヌー、カヤックは何が違うのでしょうか。
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船と舟
ついでですから分類をさらに大きなところから始めましょう。
それは漢字で「船」と「舟」の違いは何か、ということです。
「ふね」は水上を移動する乗り物全体を表す言葉。
その中でも「船」は大型で動力がついたものを指します。
そして「舟」は小型で手漕ぎなど無動力のもの。
つまりカヤック、カヌー、ボートはどれも「舟」になります。
ボートとカヌー・カヤック
では、同じ「舟」であるボートとカヌー、カヤックの違いは何でしょうか。
「進む方向が後ろ向きなのはボートで、前向きなのはカヌーやカヤック」と思われがちですが、これは不正解です。
違いは、漕ぐ道具。
ボートはオール、カヤックとカヌーはパドルを使います。
日本語で言うと、オールは櫓(ろ)で、パドルは櫂(かい)。
ではこの2つの違いは何かというと、クラッチがあるかどうかです。
ボートは船の横にオールを差し込む支点があります。あれがクラッチ。
クラッチで位置を固定して漕ぐのがオール(櫓)で、支点がないのがパドル(櫂)なのです。
カヌーやカヤックにはクラッチがなく、パドルは完全にフリーになっています。
カヌーとカヤック
ではいよいよ本題の、カヌーとカヤックの違いです。
なんとなく、カヌーは上部がボートのように開いている形で、カヤックは上部が覆われている形と思う人が多いかもしれません。
しかしこれは不正解。
正解はズバリ、パドルの形状の違いです。
パドルのうち水中に入れて水を捕まえる平らな部分がブレード。
このブレードが片側に1つのものはシングル・ブレード・パドルと呼ばれます。
一方、ブレードが左右に2つ付いているものはダブル・ブレード・パドル。
シングル・ブレード・パドルをつかうのがカヌーで、ダブル・ブレード・パドルをつかうのがカヤックなのです。
【カヌー】カヤックの違いと特徴、難易度
ではシングル・ブレード・パドルのカヌーとダブル・ブレード・パドルのカヤックで、使い方にはどのような違いが生まれるのでしょうか。
実はこの二つ、そもそもルーツが違う乗り物で、利用法や特徴も大きく異なるのです。
カヌーの特徴と難易度
一般的に日本でカヌーと呼ばれているものは、カナディアンカヌー。
もともとは北米の先住民族(ネイティブ・アメリカン)が幅の広い川や湖で使っていた舟がルーツです。
形は一般的なボートのように上部が開放的なオープンデッキタイプ。昔は動物の骨や皮を使って作られていましたが、その形は今もほとんど変わっていません。
複数人が乗ったり、荷物をたくさん乗せたりするのが目的。そのためスピードよりも船体の安定性が重視されていて、のんびり進むのに向いています。
逆に急流や荒波といった場所には不向き。
漕ぎ方は、船体の右側と左側を交互に漕いで進んでいくチェインジング・ストロークが基本です。
ただし曲がってしまわないためには素早くパドルを持ち替えて反対側を漕ぐ必要があり、意外に初心者には難しいのも事実。
そこで初心者や体力に自信のない人は、2人以上で乗って左右を分担するのがお勧めです。
また慣れてきたら船体の片側だけを漕いでまっすぐ進める「Jストローク」や「ラダー・ストローク」「カナディアンストローク」などを覚えるのも良いかもしれません。
カヤックの特徴と難易度
一方のカヤックは北極圏のイヌイット族が木や動物の骨を骨組みにしてアザラシの皮を張った舟がルーツ。
浸水しないように出入り口を狭く作ってあるのが特徴で、主に狩猟用に使われていました。波を上からかぶっても船内に水が入りにくく、簡単に沈没しないのが利点。もしひっくり返ってもエスキモーロールと呼ばれる技で起き上がれるようになっています。
こういった特徴があるため、急な流れのある場所や波のある海上も得意。また小回りが効くのも特徴です。
ただし現代のカヤックの中にはオープンデッキのものも。この場合もダブル・ブレード・ハンドルならやはりカヤックに分類されます。
漕ぎ方は左右のブレードを均等に漕いで進むフォワードストロークが一般的。
シングル・ブレード・パドルとは違って簡単に左右で漕げるため、初心者の方でも比較的コントロールしやすくなっています。
とはいえ手や腕だけではなく背骨を軸にして体をひねりながらバランスよくパドルを動かすには練習も必要。
特に小回りが効くタイプはバランスを崩して倒れやすいのも注意点です。
そのためこちらもまずは慣れた人と2人乗りするか、体験会などでしっかり練習をする方が良いかもしれません。
まとめ
種類によって様々な楽しみ方があるカヌーとカヤック。
特に近年はシーカヤックやリバーカヤック、ファンカヤックなど、カヤックの種類が豊富になっています。
湖でのカヌーツアーのほか、海上カヤックツアーや川下り、カヤックフィッシングなど、体験ツアーもたくさん用意されていますから、まずはそこで教えてもらいながら試してみると良いかもしれません。
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