競馬は馬が騎手を乗せて走る競技。
例えば体重50kgの騎手と比べて、100kgの騎手では大きなハンデになってしまいます。
また身長が高くなれば体重は増えやすくなるもの。
そのため昔から騎手は身長が低くなければならないとも言われてきました。
しかしそれは事実なのでしょうか。
今回は、騎手の身長や体重を調査。平均や理想の身長・体重をご紹介します。
【騎手】身長と体重に関するルール
競馬の騎手には身長や体重に関するルールはあるのでしょうか。
実は身長に関してのルールはありません。
一方、体重が重いほど不利というのはなんとなく理解できるはず。しかし競馬では「なんとなく不利」という曖昧なものではなく、体重に関して厳密なルールが決められているのです。
負担重量
競馬には、各レースで定められた出走馬の「負担重量(斤量)」というルールがあります。
負担重量とは、騎手の体重+馬具の合計の重さ。つまりレースで出走馬が背負う重量のことです。負担重量に含まれるものは鞍・腹帯・鞍下・鐙(あぶみ)など。手綱や当絡、ハミなどは含まれません。
この負担重量には以下の4つの種類があります。
・馬齢重量:同じ年齢の馬だけで2歳〜3歳時に出走するレースに用いる
・別定:レースごとに負担重量を定める基準が設けられている
・定量:馬の年齢・性別を基準に定められる
・ハンデキャップ:全ての馬に勝つチャンスが与えられるよう成績に応じて調整
この負担重量は一般的に53kgから58kgが多く、50kgを切るレースもあります。
鞍などの重量は約2kg。つまり負担重量が53kgのレースに出るためには体重を51kg以下にする必要があるのです。
負担重量をオーバーしてもルール違反ではありませんが、馬主としては体重超過して不利になる騎手に騎乗を頼みたくはないもの。体重がオーバーしている騎手は多くの場合、そのレースに出られないことになります。
そのため騎手はできるだけ体重を50kg前後にキープしようとするのです。
競馬学校の規定
JRA(日本中央競馬会)競馬学校の騎手養成課程の入学条件には、厳しい体重制限が設定されています。
その体重制限は年齢によって異なるのですが、例えば令和6年4月入学生の募集要項の場合、平成20年4月1日以降に生まれた者は体重が46.0kg以下という決まり。最も高い平成18年3月31日以前出生の者の場合でも、体重は49.0kg以下と定められています。
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【騎手】平均や理想の身長・体重
18歳の日本人男性の平均身長と体重は、170.0cm、61.1kg。
年齢が上がっても平均身長はそれほど変わりませんが、平均体重は26〜29歳で66.0kg、30歳〜39歳で71.0kgに増加していきます。
では騎手の平均身長と体重、そして理想の身長と体重はどれくらいなのでしょうか。
平均身長
現在JRAで活躍している騎手の平均身長は162.0cmだと言われています。
つまり18歳の日本人の平均より8cmほど低いということ。
ただしその身長は意外とバラバラで、以下のようになっています。
151cm〜155cm:約8%
156cm〜160cm:約30%
161cm〜165cm:約40%
166cm〜170cm:約20%
171cm〜:約2%
ほとんどの騎手が日本人男性の平均以下に収まっていますが、最も高い騎手と低い騎手では20cm以上の差があります。
平均体重
騎手は出場するレースによっても体重を調整する必要があり、平均のデータはありませんが、実際には45kg〜52kgに調整するのが一般的とされています。
それは前述のように53kgを超えると出られるレースが減ってしまうから。
18歳の日本人男性の平均より10kg以上、30歳〜39歳の平均と比較すれば20kg以上も低くキープしていることになります。
理想の体重
騎手の理想の体重は、レースによって違ってきます。
体重が軽ければ出られるレースは増えるのですが、実は不利な面もあるのです。
それは負担重量が騎手の体重や馬具だけでは足りない場合、追加の重りを背負うことになるから。
具体的には板状の鉛を鞍や勝負服の中に装着します。
馬を操るためには相当な筋力が必要となりますから、できれば負担重量ぎりぎりまで騎手の筋肉が欲しいもの。余分な重りを背負うくらいなら体重を増やした方がむしろ有利なのです。
理想の身長
では理想の身長はあるのでしょうか。
データを見ると、身長と勝率の間に関係はなく、どの身長の選手もほぼ満遍なく勝っています。
一方で高身長・低身長ともにメリットとデメリットがあるという考え方が一般的。
身長が低い人
メリット:体重を低くキープしやすく、多くのレースに出場できる
デメリット:パワーが不足し、操縦に苦労しやすい
身長が高い人
メリット:パワーがあり、長い手足で馬の操縦や制御がしやすい
デメリット:体重調整が厳しく、超過すれば参加できないレースも
これらのメリットとデメリットがありますが、身長が低い騎手は筋力トレーニングを頑張ってパワーをつけることは可能。
一方で身長が高い騎手はレースに出るために限界以上に体重を落とすこともあり、メリットのパワーも失ってしまうことがありえます。
やはり一般的には身長は低い方が有利だと言えるのです。
まとめ
厳密な体重制限があり、53kgを超えると出場できないレースが増えてしまう競馬の騎手。
身長は低い方が有利というのは間違いではありません。
しかし日本のレジェンドである武豊騎手は身長170cm。日本人の平均とほぼ同じで、騎手の平均より8cmも高い身長です。
それでも彼の体重は50kg。毎日体重計に乗り、食事を厳しく制限することでキープし続けています。
その努力は並大抵ではありませんが、筋力を維持しながら体重を低く保てる人なら、ある程度の身長の高さは有利ということもあるかもしれません。
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