今回は、育成年代においての「試合の在り方」について書いてみたいと思います。
サッカーに限らずどんな種目でも、スポーツを行うのならば必ず「試合」はつきものですし、きっとその日常は試合を中心にして回っていくものでもあるでしょう。
これまで「サッカーの本質」やら「指導者の在り方」などについて書いてきましたが、それならば、その育成の現場からは決して切っては切り離せないメインイベント「試合」についても、しっかりと考えていかなけばいけないはずです。
今回は試合の「在り方」そして次回は「やり方」について、考察していきたいと思います。
試合は誰のものか
育成年代において、試合は誰のものか。そこを起点にして考えれば、わざわざこんな文章を書くまでもなく、答えは簡単に出るはずですよね。
言うまでもなく、試合は選手達(子ども達)のものです。
プロの世界でももちろん選手が主役ですが、プロともなればスポンサー、サポーター、地域、さまざまな要素も含めての複合体なので、そこに関連する全てが主役、と自分は考えます。
しかし育成年代であれば、その主役は選手だけです。
周りの大人は、それをサポートする役割を持つ。ここでは指導者と親目線だけに絞って話を進めますが、指導者や親が選手のためにどのように試合を考えるか、どういう在り方で試合と付き合い、どのように準備して臨むか(臨ませるか)そしてどんな言葉を発するかは、育成年代の試合を語る上では決して外せない、大きなポイントになってきます。
そんな観点で、ここから話を進めていきましょう。
試合の色、大小
小学生から高校生まで、練習試合もあれば、いわゆる公式戦、もありますね。
それぞれのカテゴリーにおいて、一番大きな公式戦といえば
【小学生】全日本U-12サッカー選手権
【中学生】全国中学校サッカー大会
【U-15クラブ】クラブユース選手権、冬の高円宮杯
【クラブユース】クラブユース選手権、JFAプレミアリーグ
【高校サッカー】全国高校サッカー選手権
このような感じでしょうか。もちろんこの他にも、年間を通して行われる様々な公式戦があります。
それこそ数チームしか参加しない「区大会」でも公式戦と呼びますし、市大会、県大会、新人戦、インターハイ、リーグ戦など、このように大小さまざまな公式戦があるわけです。そしてその合間に、もちろん練習試合もある。
このように、試合にはさまざまな色があり、大小があるわけです。
色、大小と書きましたが、それを決めているのは誰でしょうか。
そう、周りの大人達なんですよね。「今日は練習試合だから」「今日は公式戦だから」と区別をつけて色を分け、大小すらつけて選手達に伝えてしまう。
自分ではそう伝えているつもりがなくても、指導者や親が見せるその言動や振る舞いによって、選手達、特に小学生などの子ども達は、それを敏感に感じ取ってしまう。
「公式戦だから補欠がいっぱいいても仕方ないのか」
「練習試合だから、別に負けてもいいよね」
このように、いつのまにか試合を色や大小によって分けて考えることが、当たり前になってはいないでしょうか。
どんな試合でも
もちろん、そのように試合の大小によって分けて考えることもあって然るべきです。
それはその指導者や親それぞれの価値観ですし、そこを決して否定はしません。
しかし、そのこと自体が子ども達にどういう心理的影響を与えるかは、大人であれば必ず考えなければいけないことでしょう。
大人はそれを自身でしっかりとわきまえた上で試合について考え、言葉を発し、振る舞いにも気をつけていかなければいけません。(公式戦だけ急に熱くなる、とか、、、)
尊敬しているある方に、以前こう言われました。
「日本中で行われている全ての公式戦は、日本サッカー協会が主催する練習試合や」と。
そして、自分が昔指導していたある小学生のお父さんにも、奇しくも同じことを言われた覚えがあります。
「どんな公式戦であれ、大きな試合であれ、子どもにとっては全てが練習試合。それでいいんです」と。
自分は、このお二方に言われたこれらの言葉を、今でも忘れずに大事にしています。
最後に
結局は、大人の姿勢が大事。そこに尽きるのだと思います。
練習試合であろうと試合は試合。選手達にとってはとても大事な機会です。
その練習試合の中の1プレーをきっかけに、その子のサッカー人生が変わることだって大いにあります。もちろんそれは、公式戦だって同じことです。
選手達を主役に考え、そこに寄り添う大人ならば、どんな試合であれ大切に考え、それが選手達のためになるようにと導いていかなければいけないですよね。もちろん、自戒もたっぷりと込めて。
では実際に、育成年代においてどんな試合のやり方がベストなのかについて、次回は考察していきたいと思います。
「育成年代においての、試合のやり方」です。お楽しみに。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。