映画やドラマになった「チア☆ダン」。
これは福井商業高等学校チアリーダー部JETSが本場アメリカのチアダンス大会で優勝を果たした実話が元になっています。
このこともあって注目が集まったチアダンス。チアリーディングと何が違うのか疑問に思っている方、混同している方も多いのではないでしょうか。
実はチアダンスとチアリーディングは、内容も歴史も大きく違うものなのです。
今回は、チアダンスについて調査。
チアリーディングとの違いや歴史についても解説します。
チアダンスとは
チアダンスは和製英語。正しい英語では「Pom Dance（ポンダンス）」または単に「Dance」と呼ばれているスポーツで、本場アメリカでは人気競技として定着しています。
チアダンスといえばポンポンを持って踊るイメージがありますが、それはチアダンスの要素の1つ。
実際にはチアダンスは「ポンダンス」「ヒップホップダンス」「ジャズダンス」の3つの要素で構成されています。
ポンダンス
ポンダンスはポンポンを持って行うダンス。
ポンダンスの基本はアームモーションですが、動きは自由ではなく、１つ１つに正しいポジションがあります。
またポンポンでポン文字という字を作ったり絵文字を作ったりすることも。
こうやって応援のメッセージを伝えるのです。
ヒップホップダンス
ヒップホップはダンス、ラップ、DJ、グラフィックという4つの要素を合わせ、自己表現をする文化。またHIPHOPと呼ばれる音楽ジャンルがあり、それに合わせて踊るダンスをヒップホップダンスと呼びます。
ヒップホップには決まった形がなく、時代によって様々なスタイルが存在。それも大きな特徴となっています。
ジャズダンス
ジャズダンスも音楽に乗せて自己表現をしたダンス。
当時はその音楽がジャズの曲だったためジャズダンスと呼ばれていますが、ヒップホップと同じように定義や決まりがないのも特徴です。
そのため今ではストリート系の曲に乗せて踊るのもジャズダンスと呼ぶのが一般的。ヒップホップとジャズダンスを融合させた「ヒップホップジャズ」や「ジャズヒップホップ」も存在します。
とはいえジャズダンスとヒップホップダンスはやはり別の踊り。
ジャズダンスはバレエの動きをベースにしていて、身体を引き上げ、軸を意識しながら身体を緊張させて踊るのが特徴です。
それに対してヒップホップダンスは身体を脱力させるのがポイント。リラックスして曲のビートに合わせて踊ります。
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チアダンスとは｜チアリーディングとの違い
チアダンスとチアリーディングの違いは実は明確。
チアダンスはダンス競技ですが、チアリーディングはアクロバティックなスポーツ競技です。
チアリーディングでは、2人〜5人のグループで作る組体操のようなスタンツ、3〜4人が1人を高くとばして空中で技を繰り広げるバスケットトス、体操の床種目のような技を繰り出すタンブリング、地面から跳躍して頂点で技を繰り出すジャンプなど高度な技を披露。その採点で勝敗が決まります。
2021年には将来のオリンピック種目となることが決定。早ければ2028年のロサンゼルスオリンピックから正式競技化されるのも、その競技性の高さが理由です。
チアダンスとは｜歴史
大きな違いがあるチアダンスとチアリーディング。
その2つはどのようにして誕生し、発展してきたのでしょうか。
黎明期
「チア（cheer）」は応援し元気づけるという意味。
最初に生まれたのはチアリーディングで、当初は1880年代に大学のフットボールチームを応援する男性応援団のパフォーマンスとして始まりました。
やがて全米の多くの大学がアメリカンフットボールの応援にチアリーディングを採用。徐々にアクロバッテイングなパフォーマンスを行うようになっていきます。
女性のチアリーダーが登場
1920年代までチアリーディングは男性だけのスポーツでした。
女性のチアリーダーが許可されたのは1923年。
それから女性のチアリーダーが増え、競技大会も開かれるようになりました。
そして1960年代にはアメリカのほとんどの小中学校でチアリーディングが行われるまでになったのです。
チアダンスの誕生
チアダンスは1930年代、アメリカのケイ・ティア・クロフォードという高校教師が素行の悪い女子高生を更生させるために考案しました。
当時、スポーツのフィールドはほぼ男性の領域。女性はスタンドで観戦するだけだったため、暇を持て余していたのです。
そこでクロフォード先生が考案したのがドリルチームと呼ばれるダンス。
軍隊の行進のように全員が同じ動きをすることが特徴で、ミリタリープレシジョン（軍隊的正確さ）とも呼ばれました。
その後ダンスの種類が増えると、規則正しく美しいフォーメーションが女生徒の間で大人気に。最初は不良向けであったのに、品行方正・容姿端麗・成績優秀でないとドリルチームには入れないと言われるようになっていきました。
やがてドリルチームは男女を問わず学校教育に取り入れられ、全米に普及。学校のスポーツチームの応援にも使われるようになります。
その結果、ドリルチームは「アクロバッテイングなパフォーマンスをしないチアリーディング」として区別されるように。
ダンス競技としてスポーツ化し、日本ではチアダンスと呼ばれるようになったのです。
まとめ
男子大学生のアクロバティックな応援パフォーマンスとして生まれたチアリーディングと、女子高生の更生プログラムとして生まれたチアダンス。
現在はチアリーディングのダンス部門だけを行うのがチアダンスだとも言われますが、本来は全く別のルーツを持つ競技なのです。
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