「ビルドアップ」という言葉を聞いたことがありますか?
ビルドアップは本来、「築き上げる」という意味。他に「高める」「確立する」などの意味もあって、スポーツの世界ではボディビルで筋肉を鍛えて太くするときに使われます。
そしてもうひとつ有名なのが、サッカー用語の「ビルドアップ」。
サッカーで築き上げるとは、いったいどういう意味なのでしょうか?
今回は、サッカーのビルドアップについて解説します。
【ビルドアップ】サッカーにおける意味
サッカーにおけるビルドアップも、元の意味は「築き上げる」から来ています。
では何を築き上げるのかというと、攻撃の組み立てです。
サッカーのフィールドは自陣ゴール前から順に「ディフェンシブサード」、「ミドルサード」、「アタッキングサード」に分けられています。
ビルドアップはこのうちディフェンシブサードからミドルサードまでをパスワークで攻め上がっていくプレーのことを表すのです。
ビルドアップと相性の良いスタイル
細かいパスを繋いで攻撃を組み立てるのがビルドアップ。そのためボール支配率を高めて試合を優位に進めようとするポゼッションサッカーと相性の良いプレーになります。
逆にロングパスで一気にカウンター攻撃を仕掛けるリアクションサッカーはビルドアップとは正反対のスタイルです。
ビルドアップが注目される理由
ビルドアップが注目される理由は、近年のサッカースタイルに合っているからです。
リアクションサッカーなら正確なロングパスが使えればビルドアップの必要はほとんどありません。しかし現在は日本代表を含む多くのチームがポゼッションサッカーを目指しています。
さらに現代サッカーではボールを奪われたら素早く自陣に戻り、相手の攻撃に対抗するディフェンスラインを作る戦術が一般的に。
そのため、ボールを持ったらスペースを見つけてパスを回し、相手ディフェンスラインを切り崩すビルドアップの技術が必須になっているのです。
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【ビルドアップ】のポイント
攻撃の組み立てであるビルドアップ。しかし「じゃあビルドアップで攻めよう」と言ってすぐにできるほど簡単なものではありません。
ビルドアップを行う際には求められるポイントがいくつもあるのです。
正確なパスとトラップの技術
ビルドアップは主に細かなパスをつないで前線にボールを運びます。
そのため、パスミスやトラップミスは厳禁。
特にゴールキーパーやディフェンダーのパスは自陣のゴール近くで行うため、パスやトラップのミスが失点に直結してしまいます。
正確なパスとトラップの技術はビルドアップには欠かせません。
ドリブルの技術
ビルドアップ中にパスを受けた選手は、その場でパスを出すだけでなく、相手を切り崩し、より良い形にするためにドリブルも使います。
このときに相手にボールを奪われると一気にピンチに。
そのため高いドリブルの技術も必要です。
ポジショニング
ビルドアップの目的は、相手を動かして前方に有利なスペースを作ること。
そのために重要なのがボールを持っていない選手のポジショニングです。
例えばビルドアップのスタートとなるディフェンスラインでは、近い距離でパスを回すと相手は大きく移動せずにプレッシャーをかけられることになります。
そこでセンターバックは距離を広めにとってパスを回すのが基本。相手がプレッシャーをかけるために大きく移動せざるを得ない状況にします。
その上でサイドバックの選手は少し高い位置にポジショニング。相手が動いてできたスペースを有効に使ってボールを前に運べるようにするのです。
ただしポジショニングは相手の陣形によっても全く変わります。
ピッチのどの位置を使えば前進できるのか、どこにパスを出せば数的優位を保てるのかを各選手が瞬時に判断することが重要。状況を見極め、相手を動かしながらスペースを作って前に運ぶ戦術眼が求められるのです。
【ビルドアップ】各選手の役割
ビルドアップをしていくためには各ポジションの選手が高いレベルで役割をこなす必要があります。
具体的にはどのような技術が求められるのでしょうか。
ゴールキーパー
ビルドアップの起点になることが多いゴールキーパーには、正確なパスの能力が求められます。
また相手選手が近くにいる状況で味方からのバックパスが来ることも多いため、確実に止めて蹴る能力も必要。
フィールドプレーヤー並の足の技術を持つことが理想となります。
センターバック
ディフェンダーの中でもセンターバックはビルドアップの中心となる存在。特に精緻なパスの技術が求められます。
特にパスの強弱まで含めたショートパスの精度が重要です。
サイドバック
サイドバックはセンターバックよりも高い位置でスペースを有効に使う役割。味方のスペースを作ることまで含めたポジショニング能力が求められます。
ボランチ
ボランチは主にビルドアップ中のセンターバックやサイドバックのサポートを行う役割。
相手の動きに合わせて幅広く動く必要があるため、広い視野と判断能力が求められます。
またボランチがボールを奪われるとショートカウンターの危険があるため、正確なトラップとパスの能力も必要です。
サイドハーフ
ピッチの幅を有効に使いながら主に前線を担当するサイドハーフは、パスでつなぐ他にドリブルでさらに前進することも。
正確なパスに加えてドリブルでの突破力も重要となります。
フォワード
ゴールを狙うのが主な役割のフォワードですが、ビルドアップ中にはミドルサードまで下がってパスを受け、ボールを高い位置でキープすることが求められます。
速いパスを受け止めるトラップ技術は必須。
さらに攻め上がってからは数的優位を考慮してシュートを狙うのかパスを回すのかを瞬時に見極める判断能力も求められます。
まとめ
ビルドアップはボールの支配率を高めながら攻撃を行うためにぜひ向上させたい技術。
そのためには全ての選手がパスとトラップのスキルを高め、チームとしての動きや戦術を理解する必要があります。
簡単なことではありませんが、チームのレベルアップのためにもビルドアップを意識してみると良いかもしれません。
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