サッカーの試合を見ていて疑問に思う人が多いのが、監督の服装。
なぜサッカーの監督はスーツを着ているのでしょうか。
あれはルールで決まっている?
そしてスーツを着る理由は?
今回は、サッカーの監督がスーツを着ている理由について調査。
歴史的な理由、実利的な理由、日本と世界の現状などを解説します。
監督がスーツを着ているのはおかしい?
サッカーの監督がスーツを着ているのは奇妙だとよく話題になります。
しかしそもそも他のスポーツはどうなのでしょうか。
ラグビー
サッカーと同じルーツを持つスポーツがラグビー。
実はラグビーの監督もよくスーツを着ていますが、それが話題になることはほとんどありません。
なぜならラグビーの監督はフィールドの近くにいないから。
それどころかラグビーの監督は試合を客席で観戦しなければならないのです。
これはラグビーでは「試合は選手のもの」という意識が徹底しているから。
試合中はキャプテンが監督の役割を務め、本来の監督はスタッフを通じてたまに指示を出すくらいしかできないのです。
しかしスタジアムで観戦している監督を見ると、スーツを着ていることがよくあります。
バスケットボール
バスケットボールの監督もスーツやジャケット、または襟付きのポロシャツにスラックスやチノパンというイメージ。
バスケットボールの大会ルールでは監督の服装として襟付きのシャツとスラックスなどの長ズボンを指定していることがよくあります。
野球
野球は選手と監督が同じユニフォームを着ています。
実はこれは多くのスポーツの中でも特別なこと。
そういうルールがあるわけではなく、以前は選手兼任監督が多かったため、監督が同じユニフォームを着る習慣がついたと言われています。
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サッカーの監督がスーツを着ている理由
ではサッカーの監督はなぜスーツを着ているのでしょうか。
そこにはいろいろな理由があると言われています。
紳士の国の発祥だから
最も大きな理由と言われているのが、サッカーが紳士の国である英国発祥のスポーツだからというもの。
イギリス発祥のスポーツには他にテニスや馬術などがありますが、馬術は今でも、またテニスも昔は正装で行う競技でした。
イギリスは服装に非常にこだわる国。着ている服で階級を意識されてしまうところもあります。
テニスや馬術が上流階級のスポーツであるように、サッカーも下の階級ではないとアピールするために監督はスーツを着たと言われているのです。
パブリックスクールで生まれたから
サッカーやラグビーのルールが確立したのはイギリスのパブリックスクール。
これは13歳から18歳の裕福な家庭の子どもを教育する私立学校です。
そこで発展したサッカーの監督がパブリックスクールの教師だったため、身だしなみとしてスーツを着用していたと言われています。
偉い人に会うから
現在の監督がスーツを着ている理由は、伝統を尊重しているからだけではありません。
サッカーは巨大なビジネス。
監督はオーナーやスポンサーに挨拶をすることがよくあります。
そのようなときにジャージ姿では品位に欠けるため、身だしなみとして常にジャージを着ているのです。
選手と区別するため
他の競技と比較しても、サッカーはピッチに近い位置に監督が立つスポーツ。
例えば野球では監督は基本的にベンチの中にいるため、選手と混同することはありません。一方でプレーが止まっている時にはグラウンド内に入ることも可能。選手と同じユニフォームでも特に問題はないのです。
しかしサッカーの場合、監督はピッチに入ってはいけないというルールがある上、ピッチのすぐ外で指示を飛ばすこともよくあります。
そのようなとき選手とはっきり区別するために紛らわしい服装を避けてスーツを着るという意味もあるのです。
Jリーグの取り決め
日本では、Jリーグが発足した1994年に「監督はジャケットとネクタイを着用すること」という取り決めがありました。
これは欧米のサッカーへのリスペクトを示し、海外チームを招いたときに失礼だと感じさせないためだったと言われています。
サッカーの監督は必ずスーツを着ている?
様々な理由がある監督のスーツ。
では現在も全ての監督がスーツを着ているのでしょうか。
Jリーグの場合
Jリーグ発足当時にはあったジャケットとネクタイの取り決めですが、現在ではそのような申し合わせは存在しません。
そのため、スーツの監督がいる一方で、もっとカジュアルな服装の監督も増えてきました。
南米の場合
元々階級意識が薄い南米はスーツを着ない監督が多い傾向。
しかしそのような監督も国際試合では相手国に敬意を表してスーツを着ることがよくあります。
欧米の場合
スーツが当たり前だった欧米の監督も近年はスーツではない服装が増加中。
国際戦以外ではカジュアルな服や、中にはジャージを着ている監督もいます。
例えばスーツの本場である英国プレミアリーグ、リバプールのユルゲン・クロップ監督はジャージを愛用。
その理由について聞かれると、「試合前に自分の格好について考えたくない。最初はスーツが義務だと言われたから着たけど、相手チームの監督も着てないときがあったからやめた。私はサイドラインで自分を格好良く見せたいとは思わない。チームをよく見せることが私の仕事だ」と語っています。
まとめ
歴史的な理由とビジネス的な理由などでスーツを着ることが多いサッカーの監督。
しかし特にスーツ着用のルールがあるわけではなく、近年はそれぞれの美学でスーツをやめる監督も増えています。
サッカー場でスーツという格好を奇妙だと思うか、上品だと思うか、あなたはどちらですか?
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