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ミシャ式とは?ペトロヴィッチ氏が新たに生み出した戦術を調査!

近年のJリーグを革新的に変えたと言われるサッカー戦術が「ミシャ式」です。
Jリーグファンなら聞いたことがあるはずのこのミシャ式とは、いったいどのような戦術なのでしょうか。
そして世界的流行を先取りしたと言われるこの戦術の、どこが革新的なのでしょうか。
今回は、Jリーグを席巻しているミシャ式について詳しく解説。
戦術の具体的な内容や特徴と、戦術の狙い、意外な誕生の経緯、さらにミシャ式の弱点までご紹介します。

ミシャ式とは

ミシャ式は、サッカーのミハイロ・ペトロヴィッチ監督が好んで用いる戦術のこと。
ミハイロ・ペトロヴィッチ監督が「ミシャ」という愛称で呼ばれることからミシャ式という名前になりました。
個人名が元になっていますが、今ではJリーグの他チームでも同じ戦術を採用しているため、ペトロヴィッチ監督が指揮するチーム以外が行った場合でも「ミシャ式」と呼ばれます。

ミシャ式のフォーメーション

ミシャ式は主にフォーメーションに特徴がある戦術
表記上は3-4-2-1となりますが、このフォーメーションでいる時間はほとんどなく、ここから大きく変化します。
それも状況によって流動的に変えるのではなく、攻撃時と守備時でフォーメーションが劇的に変わるのです。
基本は3枚のセンターバック、2人の守備的ミッドフィルダーと両サイドのウィングバックによる4枚の中盤、前線に1トップ2シャドーとなる3-4-2-1。
しかしボールを保持していない守備の際にはウイングバックが最終ラインまで落ちて5-4-1となります。
つまり守備時には5人でディフェンスラインを作る形。
一方、ボールを保持している攻撃の際にはウイングバックが前線に上がり、さらに3枚のセンターバックのうち左右の2人が両サイドに開いてサイドバックになります。そして守備的ミッドフィルダーのうち1人は最終ラインへ。
この結果、4-1-5というフォーメーションになり、中盤は1人の守備的ミッドフィルダーだけになります。
攻撃時には前線に5人が並ぶことになるのです。

ミシャ式の守備時の狙い

ミシャ式の狙いであり、メリットとなっているのは、それぞれの場面で数的優位を得られることです。
守備時には5バックとなるため、中に人数が多く、守りが非常に固くなります
もともとペトロヴィッチ監督は守備練習よりもボール保持時のパスなどの練習を重視する監督。「守備は人数を使って奪うのが基本」としているため、この戦術がはまっているのです。

ミシャ式の攻撃時の狙い

ミシャ式では変則フォーメーションによって攻撃時にも数的優位を確保します。
一般的なチームは4バックとしているため、5トップにすることで相手の最終ラインに対して常に1人が空いている状態に。
その上でワンタッチパスを多用してマークをずらし、決定的チャンスを作るのです。

ボランチ1人の狙い

攻撃時の4-1-5は、明らかに中盤が薄すぎるフォーメーション。
相手がボランチ2人なら、ボランチ1人のミシャ式は数的不利に見えます。
しかしミシャ式の5トップのうち2人はシャドー。ミッドフィルダーとして働けば中盤が3枚ともいえるため、数的優位を保てるのです。
さらにこの2シャドーが背後から動き出すために捕捉されにくいというメリットもあります。
【関連記事はこちら】⇩
【サッカー】フォーメーション一覧!最強戦術はあるの?【保存版】
【サッカー】シャドーとは?意味やお手本となる各選手もご紹介!

ミシャ式誕生の経緯

ミシャ式はミハイロ・ペトロヴィッチ監督が好んで用いますが、その戦術の誕生は、実は偶然の要素が大きなものでした。

2ミシャ式が誕生した試合

ミシャ式の戦術が誕生したのは2008年5月11日のJ2第13節。
この年J2落ちしたサンフレッチェ広島でしたが、チームは選手の尊敬を集めていたペトロヴィッチ監督を解任せず、1年でのJ1復帰を目指していました。
広島はスタート直後から勝利を重ねましたが、徐々に戦術を研究され、苦しい状況に。このままではすぐに勝てなくなると多くの選手が懸念していました。
そのような中、サッカーIQが非常に高く、ペトロヴィッチ監督の理想を体現して周囲に指示できる森崎和幸選手が怪我から復帰します。
そして迎えた第13節のアビスパ福岡戦。福岡のリトバルスキー監督は、広島の起点となっていたリベロのストヤノフ選手に徹底的なマンマークにつけました。
これに困ったストヤノフ選手は守備的ミッドフィルダーの森崎選手に「少し下がってサポートしてくれ」と声をかけます。
森﨑選手が最終ラインに入ると、これがうまく機能。
そこで森崎選手はさらに動きやすくするために策を講じます。ストッパーの槙野智章選手と森脇良太選手に「タッチライン際まで広がり、攻撃的サイドバックのように前へ仕掛けてくれ」と指示。するとその勢いに押されて両ウイングバックがフォワードの位置まで上がったのです。
こうして半ば偶然に攻撃時の4-1-5のフォーメーションが完成
森﨑選手は「この形はいける」と現場で直感したそうです。
そしてペトロヴィッチ監督がミシャ式を完成させると、サンフレッチェ広島は快進撃。相手を寄せ付けない試合を続け、見事に1年でのJ1復帰を実現しました。

ミシャ式の革新性

ミシャ式は「可変システム」によって数的優位を常に保つところが革新的でした。
実はこの可変システム自体は2018年ごろから世界の多くのチームが採用している戦術。
ペトロビッチ監督は世界的に流行する10年も前に可変システムを完成させていたことになるのです。
またミシャ式の攻撃時の4-1-5には、対応しようとした相手チームの前後を分断させる狙いもありますが、この中盤の意図的な空洞化は近年のヨーロッパでも流行中。ミシャ式はその意味でも革新的だったのです。

ミシャ式の弱点

さまざまなメリットがあるミシャ式。
多くのチームが採用し、特にJ2では主流の戦術の一つになっています。
ではそのミシャ式に弱点はないのでしょうか。

カウンターに弱い

中盤の空洞化はカウンターアタックのリスクと背中合わせ。
中盤で止めることがほとんどできないため、相手のカウンターが非常に速くなってしまい、フォーメーションの変化が追いつかないこともあります。

選手の技術が必要

ミシャ式サッカーはフォーメーションを変化させつつパスを繋ぐため、攻撃速度が遅くなります。ゴール前では相手の守備が整っていることがほとんど。
もともとそれを想定した戦術ではあるのですが、狭いところを通すためにワンタッチパスが必要となり、選手の技術が高くなければ成立しないのです。

まとめ

日本サッカーに革新をもたらしたミシャ式。
森保一監督はミシャ式をアレンジした戦術でサンフレッチェ広島を率い、J1で3回優勝。日本代表でもミシャ式をベースにした戦術の完成を目指しています。
世界では全く同じものが見られないため「日本だけのガラパゴス戦術」とも言われるミシャ式。
この戦術が世界のサッカーを震撼させる日は来るのでしょうか。
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おおぱ!

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寝ても覚めてもスポーツ漬け

スポーツ一家に育ち、休日はテニスとランニング。空き時間はほぼスポーツ観戦。夢の中ではなぜかやたらといろいろなスポーツのプロ選手になっている夢中派執筆家です。皆さまにスポーツ愛を届けます!

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