野球のクリーンナップは、バッターの打順を表す言葉。
野球の中継では「クリーンナップに回ります」や「クリーンナップを見事抑えました」などと言われます。
しかしクリーンナップというと掃除の言葉のよう。なぜ野球に使われるのでしょうか。そしてどういう意味を持つのでしょうか。
今回は、野球のクリーンナップを調査。
その意味や役割、理想的なクリーンナップについて解説します。
【野球】クリーンナップとは
そもそもクリーンナップとはどういう意味で、なぜ野球で使われるのでしょうか。
クリーンナップの意味
クリーンナップは英語で書くと「clean up」。
「クリンナップ」や「クリーンアップ」と書くこともありますが、同じ意味です。
「clean up」の意味はまさにイメージ通りの「掃除する」。
野球では、長打を打って塁上のランナーを掃除する、つまり塁にいるランナーを一掃してホームに帰す打順という意味でクリーンナップと呼ぶようになりました。
とはいえ野球の本場アメリカでのクリーンナップというと、そのまま掃除という意味になってしまいます。
正式な呼び方はクリーンナップヒッター。日本ではそれを省略しているのです。
野球のクリーンナップとは
クリーンナップは野球の9人の打順の中で、特定の打順を表す言葉です。
一般的にはそれは3番・4番・5番の打者のこと。
上記のように塁上のランナーを一掃する役割を期待されているのがこの打順ということになるのです。
クリーンナップは「中軸」や「打線の中軸」と呼ぶこともあります。
アメリカのクリーンナップ
ところがアメリカではクリーンナップヒッターは呼び方だけでなく意味も大きく異なるため注意が必要です。
複数の打順ではなく、アメリカでは4番打者だけがクリーンナップヒッター。
つまり「クリーンナップを打て」と指示されたら、日本では一般的に3番・4番・5番のいずれかですが、アメリカで同じことを言われたら4番を打てと指示されたことになります。
ちなみにアメリカでは3番・4番・5番をまとめて表現するとき、「center of the order（オーダーの中心）」などと表現するのが一般的です。
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【野球】クリーンナップの役割
クリーンナップの最大の仕事は出塁しているランナーをホームに返すこと。
1番打者が出塁し、2番打者が広げたチャンスを活かして得点を上げることが主な役割となります。
では具体的にはどのような役割があり、どのような能力が必要となるのでしょうか。
長打力
ランナーを一掃する、つまり走者全員をまとめてホームに返すためには、シングルヒットよりも長打、できればホームランを打つことが理想です。
そのため一般的には、器用だけど力がないバッターよりは、ホームランや二塁打、三塁打を打てる強打者の方がクリーンナップ向きとされます。
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勝負強さ
クリーンナップはその言葉の通り、ランナーを一掃するのが仕事。
つまりチャンスの場面でしっかり打つ必要があります。
チャンスの場面で緊張してしまうようでは失格。強いメンタルを持ち、勝負強いことがクリーンナップの打者には求められます。
そのため、ホームラン数などと合わせて得点圏打率も評価されることになるのです。
選球眼
クリーンナップには当然高い打率も求められます。
クリーンナップにヒットが出ないと残塁の山となってしまい、打線がつながらない状態に。
一方で相手ピッチャーはクリーンナップを警戒し、フォアボールでも仕方がないと、きわどいコースに投げてきます。
ボール球や打ちにくい球に簡単に手を出してアウトになるようではクリーンナップ不適格。きっちりとボールを見極め、フォアボールを選ぶ選球眼もクリーンナップには求められます。
守備との関係
勝利のために確実に打つことが求められ、打席で大きなプレッシャーがかかるクリーンナップ。
それだけに守備の負担を軽くしてもらえることが多くなります。
例えばキャッチャーは守備の負担がとても大きいため、よほどの強打者でなければクリーンナップにはしないのが一般的。
またDH制がある場合、守備の負担がないDHはクリーンナップになることが多くなります。
【野球】クリーンナップ内の役割の違い
日本では一般的に3番・4番・5番をまとめてクリーンナップと呼び、ランナーの一掃が求められますが、実際にはそれぞれの打順で役割は異なります。
3番打者
1番と2番の打者が作ったチャンスを活かし、得点を上げるのが3番打者の役目。長打で得点できることが理想になります。
しかし次に4番が控えているため、最低でもランナーを進めて4番に繋げるバッティングができれば合格。
そのため打率が高く、ミート力があることが求められます。
一方で1番と2番が凡退してランナーがいない場面では長打を打ちチャンスを作ることも役割。
そのためヒットもホームランも打てる打撃センスが必要となります。
4番打者
アメリカでは4番のみをクリーンナップと呼ぶことからも分かる通り、最もチャンスの場面が回ってきやすいのが4番打者。
そのため、とにかく長打力があり、ホームランを打てることが求められます。
その長打力もチャンスに強くなくては無意味。
そういったことから打撃面でのチームの精神的支柱となれる選手が理想です。
5番打者
6番以降は下位打線になっていき、得点の可能性は下がりがち。
そのため5番打者は、4番打者がチャンスに打てなかったとき、アウトカウントが増えた場面で確実にランナーを還すのが役割となります。
そのため3番打者のようにチャンスを作り広げるのではなく、チャンスの場面で打てる勝負強さがメイン。単打で繋げる器用さよりも、確実にクリーンナップ（掃除）する長打力が求められます。
【野球】理想のクリーンナップ
では過去に、理想的なクリーンナップ、恐怖のクリーンナップとして恐れられたのはどのような選手たちでしょうか。
西武ライオンズ（1990年代前半）
日本プロ野球の歴史の中でも最強のクリーンナップとして知られているのが、黄金時代の西武ライオンズ。
特に90年からの3年間は、3番の秋山幸二選手、4番の清原和博選手、5番のデストラーデ選手が驚異的な活躍をしました。
その3年間のホームランと打点は以下の通り。
90年：秋山35本塁打91打点・清原37本塁打94打点・デストラーデ42本塁打106打点
91年：秋山35本塁打88打点・清原23本塁打79打点・デストラーデ39本塁打92打点
92年：秋山31本塁打89打点・清原36本塁打96打点・デストラーデ41本塁打87打点
3人揃ってタイトル級の活躍をしています。
特にデストラーデ選手の破壊力は驚異的でした。
阪神タイガース（1985年）
わずか1年だけでしたが、セ・リーグを制覇した1985年の阪神タイガースは驚異的なクリーンナップでした。
3番がランディ・バース選手、4番が掛布雅之選手、5番が岡田彰布選手というクリーンアップ・トリオ。
この3人でバックスクリーン3連発を打ったこともファンの心に残っていますが、年間を通じての成績もすさまじいものでした。
バース：打率3割5分・54本塁打・134打点（三冠王）
掛布：打率3割・40本塁打・108打点
岡田：打率3割4分2厘・35本塁打・101打点
3人揃って3割30本塁打100打点超え！わずか1年のことでしたが、優勝も当然という強さでした。
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ポイントは5番バッター
クリーンナップで難しいのは、長距離バッターを2人までは揃えられても、それに並ぶ3人目がなかなかいないこと。
例えばV9時代の巨人は王貞治＆長嶋茂雄というON砲が不動の3・４番でしたが、5番打者で苦しみ、ついに理想のクリーンナップとはなりませんでした。
クリーンナップの強さを見るとき、実は3人の中でも地味な5番バッターが重要。
多くのチームで、理想的な5番バッターを確保することが課題となっています。
まとめ
クリーンナップは塁に溜まったランナーを確実にホームに返すのが役割。
チームの選手事情によっては、3番まででチャンスを広げ、4番・5番・6番にクリーンナップの役割を持たせることもあります。
そのためどのような場合でも3番・4番・5番がクリーンナップと決めつけないことも重要。
「恐怖の6番バッター」と呼ばれてホームランを連発する打者などは確実にクリーンナップの一角ですから、選手の能力を総合的に見て判断するようにしてください。
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