2021年にメジャーリーグ(MLB)のMVPを受賞した大谷翔平選手が、もうひとつ獲得を期待されながら逃したのが、ハンク・アーロン賞です。
大谷選手は2022年にも候補に入りながら惜しくも受賞ならず。イチロー選手も2度候補に上がりましたが、やはり惜しくも受賞を逃しています。
そのハンク・アーロン賞、そもそもどのような賞なのでしょうか。
今回は、ハンク・アーロン賞を解説。
選考基準や過去の受賞者一覧をご紹介します。
【ハンク・アーロン賞】とは
ハンク・アーロン賞はその年の各リーグで最も優れた打者に贈られる賞。
2021年1月に他界したハンク・アーロン氏は通算755本のホームランを記録した偉大な打者。2007年にバリー・ボンズ選手に抜かれて通算本塁打数は歴代2位となっていますが、バリー・ボンズ氏には薬物疑惑があることから、今でもハンク・アーロン氏こそ歴代1位のホームラン王だという野球ファンが大勢います。
ハンク・アーロン賞は彼がベーブ・ルースの通算本塁打記録714本を塗り替え、世界一になってからの25周年を記念し、1999年に創設されました。
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【ハンク・アーロン賞】選考基準と選考方法
創設の経緯やハンク・アーロン氏のイメージもあって、ハンク・アーロン賞はホームランバッターに贈られる賞だと思われがちですが、それは間違い。
この賞は打率や打点なども合わせた打者の総合的な攻撃力を評価しています。
選考方法の変化
ハンク・アーロン賞は、創設された年には本塁打と安打、打点にそれぞれポイントを割り振り、合計点で受賞者が決まるというシステムでした。
しかしこの方式は1年で廃止となり、翌年からは投票制に。2002年までは各チームのラジオとテレビの実況キャスター、解説者のみで投票が行われましたが、2003年からファン投票も加わりました。
そしてその後も選考基準と投票の方法は徐々に変化しています。
現在の選考方法
現在のハンク・アーロン賞は、総合的な攻撃力を基準にMLBの全30球団が候補選手を一人ずつノミネート。
その選手たちの中から大リーグ公式サイト「MLB.com」の記者たちが両リーグ8人、計16名の最終候補者を選出します。
大谷選手やイチロー選手が残ったのは、この最終候補。
そしてファン投票と、ケン・グリフィー・Jr.氏、チッパー・ジョーンズ氏、ペドロ・マルティネス氏など8人の殿堂入り選手の投票の合算で、各リーグから1人ずつの受賞者が選ばれるのです。
【ハンク・アーロン賞】過去の受賞選手
ハンク・アーロン賞の過去の受賞者は以下の通りです。
年 | ナショナルリーグ | アメリカンリーグ |
1999 | サミー・ソーサ | マニー・ラミレス |
2000 | トッド・ヘルトン | カルロス・デルガド |
2001 | バリー・ボンズ | アレックス・ロドリゲス |
2002 | バリー・ボンズ | アレックス・ロドリゲス |
2003 | アルバート・プホルス | アレックス・ロドリゲス |
2004 | バリー・ボンズ | マニー・ラミレス |
2005 | アンドリュー・ジョーンズ | デビッド・オルティーズ |
2006 | ライアン・ハワード | デレク・ジーター |
2007 | プリンス・フィルダー | アレックス・ロドリゲス |
2008 | アラミス・ラミレス | ケビン・ユーキリス |
2009 | アルバート・プホルス | デレク・ジーター |
2010 | ジョーイ・ボット | ホセ・バティスタ |
2011 | マット・ケンプ | ホセ・バティスタ |
2012 | バスター・ポージー | ミゲル・カブレラ |
2013 | ポール・ゴールドシュミット | ミゲル・カブレラ |
2014 | ジャンカルロ・スタントン | マイク・トラウト |
2015 | ブライス・ハーパー | ジョシュ・ドナルドソン |
2016 | クリス・ブライアント | デビッド・オルティーズ |
2017 | ジャンカルロ・スタントン | ホセ・アルトゥーベ |
2018 | クリスチャン・イエリッチ | J.D.マルティネス |
2019 | クリスチャン・イエリッチ | マイク・トラウト |
2020 | フレディ・フリーマン | ホセ・アブレイユ |
2021 | ブライス・ハーパー | ブラディミール・ゲレーロ・Jr. |
2022 | ポール・ゴールドシュミット | アーロン・ジャッジ |
最多受賞者
最多受賞者は、アレックス・ロドリゲス選手で4回受賞。
テキサス・レンジャーズとニューヨーク・ヤンキースで活躍し、5回の本塁打王にも輝いています。
2位はバリー・ボンズ選手で3回受賞。
ただしアレックス・ロドリゲス選手、バリー・ボンズ選手ともに薬物疑惑があるのが非常に残念です。
受賞者の傾向
総合的な攻撃力を評価するとはいえ、受賞回数の多い2人はどちらかというとホームランバッター。
一方で驚異的な安打数と打率を記録したイチロー選手は04年と07年に最終候補に残りながら受賞できていません。
やはりホームランバッターが受賞しやすいのでしょうか。
そこで受賞者の傾向を調べるために、2022年までの延べ48人の受賞者のうち、成績がリーグ1位だった項目をカウントしてみました。
項目 | リーグ1位だった人数 |
ホームラン | 20 |
打点 | 17 |
打率 | 10 |
打率がトップだった選手の受賞回数は少なめですが、ホームラン王が受賞に直結するとは言えない結果に。ホームラン数では2006年のデレク・ジーター選手がわずか14本で受賞しているなど、比較的少なかった選手の受賞もあります。
また二冠王や三冠王など、項目が重なっている選手ももちろんいますが、逆に上記の3項目の中にリーグトップが一つもなかった選手が12人も存在。近年では2020年から2022年までナショナルリーグの受賞者はいずれも上記の項目のタイトルなしで受賞しています。
つまり実際に総合的な活躍で評価されることが多いと言えるのです。
二刀流は評価されない
ハンク・アーロン賞の投票の際に話題となったのが、この賞は純粋に打撃だけを評価するということ。
大谷選手が候補になった際には、ハンク・アーロン賞では投手としての活躍は一切考慮されないことが強調されました。
つまりどれほど異例で驚異的なことではあっても、二刀流はハンク・アーロン賞で有利にはならないのです。
まとめ
ハンク・アーロン賞と同じように名選手の名前を冠した賞には、最も優秀な指名打者に贈られるエドガー・マルティネス賞があり、大谷選手は2021年と2022年に2年連続で受賞しています。
しかし総合的に最も活躍した打者がリーグでただ1人だけ表彰されるハンク・アーロン賞は、日本人にとって最もハードルが高い賞の1つ。
大谷選手や他の日本人選手による受賞をぜひ期待したいものです。
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