メジャーリーグ(MLB)ではワールドシリーズ終了後にさまざまな個人賞が発表されます。
全選手が対象の最優秀選手(MVP)のほか、投手が対象のサイ・ヤング賞、監督が対象の最優秀監督賞、打者が対象のハンク・アーロン賞、守備が対象のロベルト・クレメンテ賞、打者が対象のシルバースラッガー賞など・・・。
と見てくると、なぜか打者が対象の賞が2つあります。
ハンク・アーロン賞とシルバースラッガー賞、この2つは何が違うのでしょうか。
今回は、シルバースラッガー賞を解説。
ハンク・アーロン賞との違いやその表彰対象、由来、過去に受賞した主な選手もご紹介します。
【シルバースラッガー賞】とは
シルバースラッガー賞は、シーズンで最も打撃に優れていた選手を、投票によって選出する賞。
ホームランや打率などひとつの記録ではなく、出塁率や長打率などさまざまな打撃成績を総合的に判断し、最も打撃に優れていた選手を選びます。
その意味では、やはり総合的に打撃に優れた選手を投票で選ぶハンク・アーロン賞と同じ。
ではいったいどこが違うのでしょうか。
シルバースラッガー賞の概要
シルバースラッガー賞は、ナショナルリーグ、アメリカンリーグのそれぞれからその年のシーズンで最も打撃に優れていた選手を、各ポジション1人ずつ選ぶ賞。
各チームの監督と3人のコーチの投票によって選出され、自分のチームの選手には投票できないというルールになっています。
これに対してハンク・アーロン賞は、ナショナルリーグ、アメリカンリーグのそれぞれからその年のシーズンで最も打撃に優れていた選手を投票で選ぶのは同じ。ただしポジションは関係なく、選ばれるのは各リーグから1名のみとなります。また最終的な選出がネットでのファン投票と、殿堂入りしている選手の投票によって行われるのも大きな違いです。
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由来
シルバースラッガー賞は1980年に創設された賞。
MLBの各ポジションに贈られる賞としては、それまでにも1957年創設のゴールドグラブ賞がありました。こちらの正式名称はローリングス・ゴールドグラブ賞。
1957年にグラブメーカーのローリングス社が始めたもので、各ポジションで最も守備に優れた選手に贈られるものでした。
それに対して、各ポジションで最も打撃に優れた選手に贈られる賞は存在しなかったため、バットメーカーのヒラリッチ&ブラズビー社が創設。自社商品の「ルイビル・スラッガー」にちなみ、ゴールドグラブ賞に対抗してシルバースラッガー賞と名付けました。
ユーティリティー選手部門の新設
これまでのシルバースラッガー賞は各ポジションから1名ずつ、各リーグから計9名選出という決まり。また指名打者制のあるアメリカンリーグでは指名打者、指名打者制のないナショナルリーグでは投手も対象になっていました。
しかし2020年と2022年以降はナショナルリーグにも指名打者制が導入されたことで投手が対象から外れ、指名打者を表彰することに。
そして2022年からは各リーグにユーティリティー選手部門が新設されました。
これは複数のポジションをこなせる強打者を評価するために作られた部門。
これまでの制度では複数のポジションを器用にこなす選手は各ポジションに票が分散して受賞を逃すことが多かったのです。
しかしこれについては、ユーティリティー選手の分類や認識の統一が難しいのではないかという指摘もあります。
実際に2022年の大谷翔平選手は指名打者部門とユーティリティー選手部門の両方にノミネートされ、いずれも落選。特にユーティリティー選手部門の落選は「信じられない番狂わせだ」と言われました。
【シルバースラッガー賞】主な受賞選手
ではシルバースラッガー賞を受賞しているのは、どのような選手なのでしょうか。各ポジションの最多受賞選手をご紹介しましょう。
最多受賞選手
各ポジションで最も多くの回数受賞した選手は以下のようになっています。
ポジション | 選手 | 回数 |
捕手 | マイク・ピアッツァ | 10 |
一塁手 | トッド・ヘルトン アルバート・プホルス ポール・ゴールドシュミット | 4 |
二塁手 | ライン・サンドバーグ | 7 |
三塁手 | ウェイド・ボッグス | 8 |
遊撃手 | バリー・ラーキン | 9 |
外野手 | バリー・ボンズ | 12 |
投手 | マイク・ハンプトン | 5 |
指名打者 | デビッド・オルティーズ | 7 |
全体のトップは、バリー・ボンズ選手の12回。
またこの表には入りませんが、アレックス・ロドリゲス選手は遊撃手として7回、三塁手として3回の計10回受賞して、合計ではマイク・ピアッツァ捕手と並ぶ2位になっています。
日本人選手
日本人選手でシルバースラッガー賞を受賞しているのは2人。
イチロー選手と大谷翔平選手のみです。
イチロー選手はMLB移籍1年目の2001年に首位打者と盗塁王、シーズンMVPを獲得。打率.350、シーズン242安打で文句なしのシルバースラッガー賞受賞となりました。
さらに2007年にはリーグ2位の打率.351とリーグ1位の238安打で2度目の受賞。2009年にはMLB史上初となる4年連続最多安打を記録して3度目の受賞を果たしています。
一方の大谷翔平選手は本塁打王争いに加わる46本塁打、100打点、26盗塁を記録。45本塁打25盗塁は史上6人目の快挙ということで、指名打者でのシルバースラッガー賞を受賞しました。
まとめ
各ポジションから1人ずつということで、ハンク・アーロン賞よりは受賞できる可能性が高いシルバースラッガー賞。
それでも各リーグ15チームのライバルに勝つのは難しく、選手にとっては大きな栄誉となります。
日本人3人目の受賞者となるのはいったい誰なのか、それも楽しみです。
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