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【甲子園】プラカードを持つ高校は?始めた時期や背景についても紹介

高校野球の甲子園大会、春と夏にはさまざまな違いがあります。
根本的なところでは、春は選抜大会で、夏は選手権大会。
優勝旗も、春は「大紫紺旗」と呼ばれる紫の旗で、夏は「大深紅旗」と呼ばれる赤い旗です。
また細かなところでは開会式の入場曲も違い、春は1年間のヒット曲、夏は「大会行進曲」に固定となっています。
そして開会式の大きな違いの一つが、入場行進のプラカード。
春の大会では野球部のマネージャーや生徒会長など、出場校の生徒がプラカードを掲げて先頭を歩きます。
ところが夏の甲子園では、プラカードを持っているのは出場校の生徒ではなく、全く関係のない高校の生徒なのです。
今回は、夏の高校野球全国大会でプラカードを持っている女子生徒を調査。
その歴史や背景、どのようにして選ばれるのかもご紹介します。

【甲子園】プラカードを持つ高校

夏の甲子園大会の入場行進では、高校球児がそれぞれのユニフォームを着ているのとは対照的に、プラカードを持った女子生徒は皆同じ制服を着ています。
これはなぜかというと、プラカードを持つのは一つの高校の生徒だから。
その高校は、甲子園の地元、兵庫県西宮市にある市立西宮高校です。
ちなみにプラカード係の正式名称は「式典誘導係」。通称として「プラカード嬢」と呼ばれています。

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歴史

甲子園の夏の大会でプラカードを持つようになったのは1949年(昭和24年)の31回大会から。
その背景には戦後の学制改革がありました。
戦前の高校野球は一部の強豪校のみが出場することが一般的でしたが、戦後は多数の新制高校が出場してくるように。もちろんそのほとんどが無名高でした。
そこで、新制高校の名前を広く知ってもらうためにプラカードを持つことになりました。
また当時は男女共学の思想が始まったばかり。男子しか参加できない高校野球の場に女子が参加できるようにという考えで、プラカードを女子生徒が持つことになりました。
そしてその提案を行なった関係者の一人が西宮高校(当時の校名は建石高)の生徒の保護者だったこと、甲子園球場に近かったこと、そして市内の高校のうち唯一、前身が女子校だったという理由から、この高校が式典誘導係を担当することになったのです。
当時はまだ制服を作ることも困難だった時代。
しかし全国大会にふさわしい服装をと、建石高の女子生徒たちは純白の帽子、白いブラウス、紺のスカートをそろえ、胸にはピンクのバラをつけてプラカードを掲げました。
以来、同校の式典誘導係は70年以上続く伝統。祖母から3代続けて務めたという人もいるほどで、今では珍しくなった濃紺のジャンパースカートの制服もずっと受け継がれています。

【甲子園】プラカード係の選抜法

では西宮高校の女子生徒のうち、式典誘導係はどのようにして選ばれるのでしょうか。

選考会

式典誘導係になるのは2年生。実は担当するのはプラカードの係だけではありません。
各都道府県の代表49校と前年度優勝校を合わせてプラカード係は50人。国旗・大会旗を持つ係が11人。そして組み合わせ抽選会のアシスト係が4人。計65人が選ばれます。
ちなみに抽選会の担当となった生徒は甲子園で行進はできませんが、抽選会のテレビ中継で名前を紹介してもらえることになるそうです。
選考会に参加できる条件は、身長155cm以上で身体強健であること。以前は「運動選手で容姿端麗」という条件もあったそうですが、今では削除されています。
7月に行われる選考会には2年生の女子生徒約135人のうち100人以上が参加。なかなかの狭き門となります。しかもプラカードを持つことに憧れて猛勉強し、西宮高校を受験する生徒も。そういった女子生徒にとっては一世一代の勝負とも言える選考会になるのです。
審査を担当するのは西宮高校の体育の先生たち。
生徒たちは大きな番号札を腰につけて並び、プラカードに見立てた竹の棒を持って歩きます。名前ではなく番号札で審査するのは、個人的な感情を挟まないためです。
審査の基準は、「リズム感と姿勢」。ベテラン教師は生徒を見て一瞬で歩く姿勢とリズム感を見抜き、番号札をチェックしていきます。
また「普通に歩く」ということも重要だそうです。それは主役があくまでも選手たちだから。プラカードを持った誘導係が歩き方で目立ってしまってはいけないのです。

応援

西宮高校のプラカードは、以前は3年生が持っていました。
しかし現在2年生になっている背景には、もっともな理由があります。
実は西宮高校でプラカードを持った生徒は、そのチームを最後まで応援するのが習わしなのです。
しかし市内一の進学校である西宮高校では受験も疎かにはできません。自分のプラカードの高校が勝ち進むと受験勉強に身が入らなくて困るという理由で、今では2年生が担当するようになったのです。
ちなみに誘導係の女子生徒は選手たちの印象にも強く残るようで、プラカードをきっかけにその高校の球児と結婚した方もいます。

まとめ

プラカードを持った女子生徒たちは普通に歩いているだけにも見えますが、それも実は練習の賜物。
選考会で選ばれた彼女たちは2日間の厳しい特訓で、目立たず普通に歩く方法を身につけているのです。
夏の甲子園大会を観戦する際には、主役の選手たちだけでなく、プラカードを持った西宮高校の女子生徒たちにもぜひ注目してください。

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でかむ

スポーツで人生楽しむ自然派ライター

筋トレとアウトドアをこよなく愛するライター。某FM局の作家時代、筋トレマスターに師事し、トレーニングブログを3年間で100本以上執筆しました。

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