新春恒例の全国的な風物詩:箱根駅伝の開催が近づいてきました。
今回(2023年1月2日・3日実施)は、全日本大学駅伝対校選手権大会と出雲全日本大学選抜駅伝競走を圧倒的な力で制覇した駒澤大学の「大会3冠」と、これに挑む青山学院大学の「箱根連覇」を軸に、白熱したレース展開が予想されます。
箱根駅伝では、本戦出場20校の他に「関東学生連合チーム」(学連選抜)も参加します。
この記事では、学連選抜について詳しく解説します。
学連選抜とは?
箱根駅伝の本大会には、前年の大会でシード権を獲得した上位の大学10校と、毎年10月に行われる予選会を通過した大学10校を合わせた20校のほかに、関東学生連合チーム(学連選抜)が出場します。
学連選抜は、予選会で出場権を得ることが出来なかった大学の中から、同予選会で個人成績が優秀な選手を選抜し、各大学からそれぞれ1名が選出される仕組みです。
なお、予選会に出場しなかった選手や、予選会に出場した外国人留学生は選出されません。
学連選抜誕生の背景と経緯
学連選抜の誕生は、当時の関係者が箱根駅伝の出場チーム数を増やすべく様々な対策を検討した結果、2003年から本戦出場校をそれまでの15校から20校に増やすと同時に、それとはまた別に「選抜チーム」を編成して大会に参加させるようにしたのが背景となっています。
2003年の第79回大会では「関東学連選抜チーム」として、順位の対象外(個人成績は残る)でのオープン参加で出場し、監督は当時関東学連駅伝対策委員長であった青葉昌幸氏が務めました。
翌年の第80回大会(2004年)では日本学連選抜が編成されたために関東学連選抜は編成されず、その翌年の第81回大会(2005年)で再び関東学連選抜が編成されました。この大会では1校2名まで出走できるようになりました。
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学連選抜の位置づけは変転
その後、学連選抜の順位などの扱いは変転を重ねます。
第83回大会(2007年)から第89回大会(2013年)までは正式参加となり、正式にチーム順位が認められるようになりました。
この状況下では、学連選抜が10位以内に入れば、通常10校のシード校が1つ減って9校となり、翌年の予選会からの出場枠が1校分増えることとなりました。
さらに、第90回(2014年)は学連選抜が不採用とされ、翌年の第91回(2015年)以降は現在の「関東学生連合チーム」に名称変更となり、再びオープン参加扱いとなっています。
学連選抜の活躍
過去の学連選抜の活躍をみると、圧倒的に素晴らしい成績を残して存在感をアピールしたのは第84回大会(2008年)です。
この年、学連選抜は強豪の駒澤大学、早稲田大学、中央学院大学に次いで4位に入る快挙を成し遂げました。記録は総合で11時間12分25秒、内訳は往路が5時間36分25秒、復路が5時間36分00秒でした。
この年の学連選抜は「JKH SMART」という名称も使っていました、その由来は、ジャパンのJ、関東学連のK、箱根のHに、そして学連選抜に参加した選手たちの大学名の頭文字を集めると、全てこのアルファベット8文字に収まったことから決定されたものです。
このチームの監督は、その後青山学院大学の黄金期を築き、現在も率いている原晋氏で、この名称は原監督のアイデアを元に学生が考案したものでした。
この大会では、出場した10人のメンバーのうち、4人もが区間3位以内の記録を残しました。
具体的には4区の久野雅浩選手(拓大・区間2位)、5区の福山真魚選手(上武大・区間3位)、6区の佐藤雄治選手(平成国際大・区間2位)、そして8区の井村光孝選手(関東学院大・区間2位)となっています。
それ以外の好成績をみると、翌年の第85回大会(2009年)にも総合9位(同:11時間18分20秒・5時間40分33秒・5時間37分47秒)の座を射止めています。
なお、現在はオープン参加のため、正式には順位に関わることはありません。
今年の学連選抜メンバーと注目選手
関東学生陸上競技連盟は10月22日、今回(第99回)の箱根駅伝にオープン参加する関東学生連合チームの選手16名とスタッフ5名を発表しました。
選手の選定基準は、上述のとおり、10月15日に行われた予選会で敗退した大学のうち、外国籍選手(留学生)を除く個人成績上位で、かつ箱根駅伝に出場経験のない選手の中から選考・編成されたものです。
なお、スタッフは連合チーム入りした大学の予選会上位から選考されています。
今回選出された選手16名は以下のとおりです。
箱根駅伝2023年 関東学生連合(学連選抜)
氏名 | 学年 | 所属大学 | 出身高校 |
新田颯 | 4年 | 育英大学 | 千原台高校 |
長谷川瑠 | 2年 | 流通経済大学 | 波崎高校 |
橋本章央 | 3年 | 芝浦工業大学 | 國學院久我山高校 |
工藤大和 | 2年 | 麗澤大学 | 八千代松陰高校 |
山田拓人 | 4年 | 拓殖大学 | 倉敷高校 |
皆川和範 | 3年 | 筑波大学 | 春日部高校 |
川田啓仁 | 4年 | 中央学院大学 | 武蔵越生高校 |
内野李彗 | 3年 | 関東学院大学 | 松浦高校 |
波多江隆人 | 2年 | 日本薬科大学 | 福岡第一高校 |
佐藤碧 | 2年 | 平成国際大学 | 盛岡大附高校 |
貝川裕亮 | 4年 | 慶應義塾大学 | 美濃加茂高校 |
榎本晃大 | 2年 | 明治学院大学 | 日大三島高校 |
古川大晃 | 2年 | 東京大学大学院 | 八代高校 |
稲葉勇介 | 2年 | 桜美林大学 | 報徳学園高校 |
西村翔太 | 3年 | 日本大学 | 千種高校 |
吉岡竜希 | 4年 | 亜細亜大学 | 純真高校 |
上記メンバーのうち、予選会での最上位は新田颯選手(育英大4年)で、全体の33位でした。新田選手は前々回の箱根駅伝でも関東学生連合チームに選出されましたが、残念ながら本戦出場はできませんでした。今季は5月の関東インカレ2部10000mで10位となるなど、トラック競技でも実力を示し、5000mと10000mで自己ベストを更新しています。
工藤大和選手(麗澤大2年)は予選会37位ですが、八千代松陰高時代に全国高校駅伝に出場した経験を持っています。
東大大学院の古川大晃選手は、予選会100位でしたが2年連続の連合チーム入りで、熊本大、九州大大学院を経て、現在は博士課程で学ぶ27歳です。
九州大院時代には日本学連選抜チームとして全日本大学駅伝に出場しており、今大会で本戦出場となれば、東大の大学院生として初の箱根出場となります。
まとめ
箱根駅伝に出場する学連選抜の意味と選出方法、また誕生に背景やその後の経緯、過去の最高順位・好成績や、今年のラインアップについて詳しく解説しました。
毎年正月恒例のビッグイベントとして、多くのファンが楽しみに観戦する箱根駅伝で、今年も学連選抜の奮闘を期待したいものです。
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