卓球の世界では相手を11対0で完封するのはご法度。わざとミスをして相手に1点献上するのが暗黙のルールとなっています。
以前、真剣勝負の中でこれを破ってしまって非難を浴びた例もあるため、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
実はこのような暗黙のルールは他のスポーツにも数多く存在するのです。ここではスポーツ界の「暗黙のルール」をご紹介します。
暗黙のルール|野球編
ルールが複雑な野球には暗黙のルールもたくさん存在します。
また国によって暗黙のルールに差があることも多いので、注意が必要です。
点差が開いた試合でバントをしてはいけない
6回以降で6点差以上の点差がついている場合、リードしている側はバントをしてはいけないというのが暗黙のルールです。またこの場合、盗塁もルール違反となります。
これは野球が紳士のスポーツであり、大量リードの場面でまるで一点を争うようなプレイをすることは相手への敬意に欠けるため。また勝敗がほぼ決した場面で盗塁は無駄な怪我につながるからという理由もあります。
ホームランで大げさに喜んではいけない
ホームランを打った場合などに大げさにガッツポーズをしてはいけないという不文律があります。また明らかにホームランのときに立ち止まって打球を追うのも禁止。サヨナラ以外の場面でゆっくり塁を回るのもダメとされています。
これも相手への敬意からできた不文律。とはいえ日本ではこの暗黙のルールはかなり曖昧です。それは一度負ければ終わりである高校野球出身のプロ選手が多いため。高校野球の癖でつい大げさに喜んでしまうのです。そのため国際試合で顰蹙(ひんしゅく)を買うことも多々あります。
打席に入った投手に内角攻めをしない
打席に入った投手への執拗な内角攻めは禁止とされ、違反すると報復される可能性があります。理由はもちろん、大切な投手の怪我を防ぐため。とはいえ現実を見ると、二刀流の場合はこの限りではないとも言えそうです。
またピッチャーをリスペクトするという意味では、野手はマウンドを横切ってはならないという暗黙のルールもあります。これに違反すると多くの場合、乱闘になるか報復のデッドボールを受けることになります。
暗黙のルール|サッカー編
サッカーにも暗黙のルールは存在しますが、野球ほど多くはありません。
それはサッカーが野球以上に国際的なスポーツで、ローカルルールが定着しにくいため。とはいえいくつかの不文律は存在します。
相手が怪我で倒れたら自主的にボールを外に出す
選手が怪我で起き上がれない場合、相手チームは自主的にボールを外に出し、これに対して怪我人が出た方のチームはその後のスローインで相手にボールを返します。これは長い間、美しい暗黙のルールでした。
ところが近年は「主審が判断するまでプレイを止めなくてよい」とルール化されたため、このマナーを見る機会は以前より減っています。
リフティングドリブルをしてはいけない
相手をリードしている場面で、必要もないのにリフティングをするのはマナー違反。相手を馬鹿にしているとみなされて、乱闘になることもあります。
微妙なのは、ヒールリフトなどのトリッキーな技。ブラジルではお客さんが喜ぶ技は常に喜ばれますが、スペインなどでは勝っているチームの選手が終盤に行うと侮辱と取られてしまいます。
暗黙のルール|バスケットボール編
ある時点で勝敗がほぼ確定する場合が多いバスケットボール。その残り時間は「ガベージタイム」と呼ばれ、ここに暗黙のルールが存在します。
ガベージタイムに派手なプレイをしてはいけない
ガベージタイムに明確な決まりはありませんが、負けているチームが控え選手を出してきたら白旗の合図で、以後はガベージタイムと認識されます。そのあとは相手への敬意を払うため、派手なプレイをすることは禁止です。
派手なプレイとはダンクショートなどを指すのですが、NBAのある試合ではさらに派手なアリウープ(パスを空中で受けてそのままダンクシュート)を決めたチームがかなりの非難を浴びたことがあります。
ガベージタイムにどちらかがプレイを止めたら相手も止める
試合の最後の方でボールを持った選手がただドリブルをして止まっているのがこの状態。基本的には残り時間30秒ほどで勝敗が動かない場合に行うもので、相手もプレイを止めてタイムアップを待ちます。
このときにアグレッシブに攻めてボールを奪う行為はかなり恥ずかしいため、注意が必要です。
暗黙のルール|バレーボール編
バレーボールの暗黙のルールは野球とは逆。サーブやスパイクが決まった場合には大げさに喜ばなければならないという決まりがあります。これはチームの士気を高めるために行うもの。
チーム内のリスペクトを表現するものなので、行わなくても相手から報復はされませんが、監督に叱られます。
暗黙のルール|ボクシング編
ボクシングでは試合前に軽くグローブを合わせます。これは「正々堂々と闘いましょう」という意思表示。正式なルールではなく、暗黙のルールなので、無視していきなり殴っても反則とはなりません。
そのためグローブを合わせにいったところをいきなり攻撃されてKO負けという場合も、文句は言えないようです。
まとめ
その意味や背景を知らないと暗黙のルールは少し面倒に思えるかもしれません。
しかしその多くは他の選手へのリスペクトからできたもの。
全ての競技仲間に敬意を持ってスポーツを楽しむためにも、しっかり覚えておきたいものです。
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