最近、動画の視聴で話題の言葉が、PPV(ペイパービュー)。
日本では主に映画やドラマなどで使われる言葉でしたが、実は今、スポーツの世界を変える可能性があると注目を集めています。
それはなぜでしょうか?
今回は、日本でも話題となっているスポーツのPPVについて解説します。
PPV(ペイパービュー)とは?
まずは上体起こしのルールをチェック。
そもそもPPV(ペイパービュー)とはどのような意味でしょうか?
ペイは「支払う」、パーは「〜ごとに」、ビューは「視聴」で、「視聴ごとに支払う」という意味。
動画や番組の視聴については、テレビの地上波に代表されるような広告収入による完全無料、NHKのような受信料の徴収、ケーブルテレビやCS放送のようなチャンネルごとの契約、アマゾンプライムビデオのような定額制などがあります。
そういった課金方法の1つが、作品ごとに料金を支払うPPV(ペイパービュー)です。
PPV自体は日本では定額制より古くから普及していたもの。
2010年ごろからインターネット回線の大容量化が進み、ネット回線を利用したVOD(ビデオオンデマンド)というサービスが普及したとき、レンタルDVDに代わるサービスとして広まりました。
PPV(ペイパービュー)がスポーツ界を変えた
このPPV(ペイパービュー)、近年は映画が劇場公開されると同時に有料配信されることも増え、その経済効果が注目されています。
しかし実は欧米では以前からスポーツ界にも大きな影響を与えているのです。
スポーツとPPVの歴史
スポーツの中継で本格的にPPVが導入されたのは、なんと1975年。
「スリラー・イン・マニラ」とも呼ばれているモハメド・アリ対ジョー・フレージャーのWBA・WBCヘビー級タイトルマッチで、初めてボクシングがPPV中継されました。
1980年にはロベルト・デュラン対シュガー・レイ・レナードのWBCウェルター級タイトルマッチのPPVが10ドルで発売され、15万5000件の販売を記録。
1980年代後半以降はボクシング、プロレス、アメリカンフットボールなどの大きな試合を中心に、広くPPV中継が行われるようになりました。
ボクシング界を変えたPPV
現在ではボクサーが高額所得者に名を連ねるようになりましたが、その原動力となったのがPPV。
高額な視聴料金でも見たいと思わせる対戦を組むことで巨額の収入を生み出し、それに合わせてファイトマネーも高騰しているのです。
過去にPPVで最も多額の収入を上げたのは、2015年のフロイド・メイウェザー・ジュニア対マニー・パッキャオ戦。
ウェルター級の3団体統一戦は、99.95ドル(約1万1000円)という高額な料金設定でしたが、460万件の契約を獲得。
1イベントで500億円以上の売り上げを記録しています。
このような特別な対戦を除いたとしても、アメリカのボクシングのPPV料金は約50ドルから80ドルという設定で契約数は20万から30万件。
1イベントで13億円から32億円ほどの売り上げとなっています。
以前のように広く放送されていた頃と比べて視聴者が限られるという問題はありますが、高額なお金を払うファンを対象としたPPVはボクシングのビジネスモデルを大きく変えたのです。
PPV(ペイパービュー)が日本のスポーツ界も変える?
日本ではPPVといえば映画やドラマが中心。
少し前まで日本ではスポーツのPPVは定着しないと言われていました。
その理由は、地上波の無料放送が一般的な日本ではテレビ番組にお金を支払う文化が育っていないから。
また特定のスポーツを有料で試聴するニッチな層が日本では少なすぎるとも言われてきました。
しかし近年、地上波でのスポーツ放送は激減。
スポーツファンはケーブルテレビのスポーツ専門チャンネルなどに加入し、お金を払ってスポーツを観るようになってきました。
その中でついにスポーツのPPV中継が本格的にスタートしたのです。
日本初のボクシングPPV
日本で初めてメジャーのプラットフォームを使ってボクシングのPPV配信が行われたのは、2021年12月14日と、つい最近のことです。
井上尚弥対アラン・ディパエンのWBA・IBF統一バンタム級タイトルマッチが、「ひかりTV」と「ABEMA」のPPVで同時に生配信されました。
WBO世界ミニマム級タイトルマッチを含めて全7試合が配信され、料金は3960円から。
このPPV放送は見事な成功を収めたと報道されました。
テレビにはない付加価値も
2022年6月19日にはキックボクシングの那須川天心対武尊戦をメインイベントに組んだ「THE MATCH 2022」がPPV生配信。
この対戦では5500円の「一般チケット」に加えて、7700円で大会前の選手の生中継や直前スパーリング、大会前日の計量の生配信などを視聴できる「那須川天心応援チケット」「武尊応援チケット」が発売されて話題となりました。
さらに300万円のVVIP席最前列と同じ位置で観戦できるマルチアングルカメラや、セコンドの目線で観戦できるセコンドカメラも登場。
PPV配信では、今までのテレビにはない付加価値にも注目が集まっています。
まとめ
井上尚弥選手のPPV生配信の成功もあり、スポーツ界はPPVに熱い視線を注いでいます。
今後は日本でも、スポーツの大きな試合はPPVで観るのが常識になるかもしれません。
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