陸上競技は基本的には道具を使わない競技がほとんどです。走る・跳ぶ・投げるなどがあります。
陸上競技の歴史はかなり古く、紀元前776年の第1回オリンピックからすでに走る競技は行われていました。
有名なのはウサイン・ボルトのもつ100m、200mの世界記録かと思います。
国際大会では54種目もある競技はなかなか珍しいですよね。
それぞれの種目の記録には歴史があります。
今回は陸上のトラック競技を中心に、世界記録の偏移や歴史について解説していきます。
【100m】世界記録の推移
男子100mは、1912年のストックホルムオリンピック予選でドナルド・リッピンコットが記録した10.6秒が初の公認の世界記録とされています。
今現在は、2009年世界陸上でウサイン・ボルトが出した9.58秒が世界記録となっています。約100年の間で19回も世界記録が塗り替えられています。
1990年代のカールルイスやリロイバレルの台頭で9.9秒台から9.8秒前半までの記録の更新が見られます。
また、2005年以降アサファパウエルやウサイン・ボルトの台頭で一気に9秒58まで記録が更新され今に至ります。
記録の推移を見てみると、記録更新が始まり出すと一気に更新が進む印象です。
女子100mは、1988年にアメリカのフローレンス・ジョイナーが出した10.49秒から記録は更新されていません。
2021年にジャマイカのエレーン・トンプソンが10秒54を出すまでは、10秒6台も切れていない状態でした。
こう見ると、フローレンス・ジョイナーが異次元の速さを誇っていたことがわかりますね。
30年余りコンマ14秒圏内にも届かなかったことからドーピング疑惑も絶えませんでした。
【200m】世界記録の推移
男子の200m世界記録は、2009年世界陸上でウサイン・ボルトが打ち立てた19.19秒です。
1990年代には、アメリカのマイケル・ジョンソン選手が19.66秒、19.32秒と記録を更新し続けていました。アトランタオリンピックで出した19.32秒は当時の世界記録を大幅に更新するものでした。
そのため、この記録は今後破られることはないであろうと語られていましたが、2008年ウサイン・ボルトが19.30秒を記録して塗り替えられることとなりました。
女子の200m世界記録も100mと同様、1988年のソウルオリンピックでフローレンス・ジョイナーの21.34秒が33年間破られていない記録です。
2000年代の世界陸上やオリンピックを見ても優勝記録は21秒後半~22.0秒台です。そこから考えてもかなり異次元な数字ということがわかります。
2021年には、ジャマイカのエレーン・トンプソンが歴代2位となる21.53秒を記録しています。
それでも世界記録から0.2秒遠ざかっているので、この記録が破られることはまだまだ先となりそうです。
【400m】世界記録の推移
男子の400m世界記録は、南アフリカのウェイド・バンニーキルクの43.03秒です。
それまでは、1999年マイケル・ジョンソンの43.18秒が世界記録でした。長らくは43.18秒の記録を更新できずにいましたが、2016年のオリンピックで17年ぶりに更新する形となりました。
また、歴代10傑を見るとほとんどがアメリカの選手です。1600mリレーでアメリカが驚異的な強さなのも、400mの記録を見ると納得です。
バンニーキルクは、現在29歳と肉体的にもまだまだ全盛期なので次なる記録更新が期待されます。
女子の400m世界記録は、1985年に東ドイツのマリタ・コッホが打ち立てた47.60秒です。36年間破られていません。
最近では2019年に、バーレーンのサルワ・イード・ナセルが歴代3位の48.14秒を記録していますが、それ以前でも47秒台に到達した選手は誰一人いません。
今後しばらくは破られることがない記録でしょう。
【110mハードル・100mハードル】世界記録の推移
男子の世界記録は、アメリカのアリエス・メリットの12.80秒です。
2006年から記録が活発に更新されていましたが、2012年で記録更新は止まっています。
10傑を見るとアメリカの選手が多いですが、アジアの選手では中国の劉翔が歴代4位の12.88秒の記録を持っています。
女子は2016年アメリカのケンドラ・ハリソンの12.20秒が世界記録です。1988年に12.21秒が記録されてからは、しばらく更新が途絶えていました。
【400mハードル】世界記録の推移
男子は2016年に、ノルウェーのカールステン・ワ―ホルムがこの記録を打ち立てました。
1992年にケビン・ヤングが46.78秒を記録して以降、しばらく46秒台すらマークされることがない状態でした。
しかし、2018年アブデラマン・サンバの46.98秒を皮切りに、2021年には3選手も46秒台をマークする形となりました。
東京2020オリンピックの決勝で45.94秒をマークしましたが、その際のレースでは2位が46.17秒、3位が46.72秒というハイスピードなレースとなりました。
女子は2021年、シドニー・マクラフリンがこの記録を打ち立てました。
こちらも東京2020オリンピックでは、3選手が歴代1,2,3位の記録となる51.46秒、51.58秒、52.03秒を記録するハイレベルな大会となりました。
まとめ
今回短距離トラック種目の世界記録の推移をまとめてきました。
停滞する時期もあれば、短い期間で記録が更新される時期もあります。
引き続き、競技技術の進歩に伴い、記録の壁に挑んでいく選手の姿を見届けていきたいと思います。
今回の記事で記録の偏移や歴史を知ったことで、これから陸上競技の見方が変わって魅力に感じていただければ幸いです。
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