近年、放映権または放映権料という言葉を耳にすることが多くなってきています。
サッカーワールドカップをはじめとした国際的なスポーツ大会のみならず、Jリーグなど日本国内の大会でも、TVなどでの中継は巨額なお金が動くスポーツビジネスです。
そこで発生するのが放映権料ですが、今回はその仕組みと問題点について解説します。
そもそも放映権料とは何か?
改めて放映権とは何か説明したいと思います。
意味はその言葉通りで、放映権とはスポーツの試合を放送する権利のこと。
放映権料とは、スポーツ大会の主催団体から放映権を得るために必要なお金のことです。
スポーツ中継の世界では、長く一般的な仕組みとして取り入れられており、それは現在でも変わりません。
ではなぜ、この放映権という言葉を聞く機会が多くなってきたのでしょうか。それは2022年11月にカタールで開催されるサッカーワールドカップに関係しています。
有料配信サービスの台頭
日本は無事にカタールワールドカップの出場権を得ましたが、アジア最終予選ではアウェイ戦が地上波で放送されませんでした。
観戦できるのは有料配信サービスの契約者のみ。
ワールドカップのような大きな大会ともなれば、誰もがTVで観戦できるのは当たり前と思われてきました。
それが一転、多くの人が観られない状況に陥ったことは、衝撃的な出来事となったのです。
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【ワールドカップ】放映権料の仕組み
ワールドカップの放映権を獲得するまでの流れは、一体どのようになっているのでしょうか。
ワールドカップの放映権は主催団体である国際サッカー連盟(FIFA)から購入することになります。
日本の場合、大手広告代理店の電通を通して、ジャパンコンソーシアム(JC)というNHKと民放各局で構成される放送機構が、FIFAから購入するのが通常でした。
詳しくは後述しますが、ワールドカップの放映権料は高騰を続けており、JC側はカタールワールドカップの放映権購入に難色を示したのです。
交渉を続けるも折り合いはつかず、カタールワールドカップ本大会もアジア予選と同様、地上波で放送されない可能性があるとも報じられました。
なんとか一部の試合を、NHKとテレビ朝日、フジテレビが放送することになりましたが、全試合は確保されませんでした。
そこに思いもよらぬ救世主が現れます。ある配信サービスが放映権を獲得することになりました。
それは、スポーツやアニメ、ニュースなど様々なコンテンツのインターネット配信サービスであるAbemaTVです。
インターネットTV局が今後の主流
AbemaTVはインターネットサービスを展開するサイバーエージェント社が運営しています。
そのAbemaTVが放映権を購入し、全64試合を無料配信することになったのです。
コロナ禍の影響やTV離れなどにより広告収入が減少するなど、コスト見直しを図る地上波TV局に代わり、インターネットTV局が放映権を獲得したわけですが、これは新たな時代のスポーツ中継のスタイルと言えるでしょう。
カタールワールドカップの日本戦は地上波で観ることができない?
AbemaTVがカタールワールドカップの放映権を獲得しましたが、地上波でワールドカップが観られないということではありません。
日本戦はNHK、テレビ朝日、フジテレビがそれぞれ1試合ずつ放送します。
日本戦以外の一部の試合も各局に割り当てられています。
決勝トーナメントは日本がグループリーグを突破するかどうか、突破したとしても何位で勝ち上がるかどうかで組み合わせが変わるため、日本戦がどの局が放送されるかは未定です。
そこにもワールドカップの放映権に手を出しづらい理由があると言えます。
当然国内では日本戦の視聴率が高くなりますが、ワールドカップにおける日本戦は少ないことが予想されるからです。
日本の勝ち上がりを期待しますが、現実的にはグループリーグ突破の可能性は決して高くないと言わざるを得ません。
もしグループリーグ敗退に終われば日本戦はたった3試合しかないことになり、番組スポンサーになるリスクは高いと判断する企業は多いでしょう。
いずれにしても、AbemaTVの放映権獲得により全試合が無料配信されることで、視聴者は地上波放送の予定を必ずしも気にする必要はなくなりました。
2022年カタールワールドカップは、場所や端末を問わず様々な楽しみ方ができそうです。
放映権料が高騰するワールドカップの今後とは
ワールドカップの放映権料が高騰していることは先述しましたが、一体どのくらいなのでしょうか。
正確な金額が公表されているわけではないですが、推定で約350億円と言われています。
金額を聞いてもピンとこないかもしれませんが、1998年のフランスワールドカップでは約6億円だったと聞けば、その跳ね上がり方に驚くのではないでしょうか。
放映権料は2002年日韓ワールドカップ以降高騰を続け、2022年のカタールワールドカップも例外ではなく莫大な放映権料が提示されました。
このことから、NHKも民放各局もワールドカップの放映権獲得が困難な状況であることには頷けます。
そんな中、AbemaTVが推定200億円を負担し、地上波各局が残りを支払ったようです。
海外を中心にスポーツ中継は、DAZNなどの有料のインターネット配信サービスが主流になりつつあると言われていますが、ワールドカップのような世界中が盛り上がる祭典は、誰もが観戦できる環境を維持してもらいたいものですね。
まとめ
ワールドカップの放映権高騰の問題は、サッカーの人気が継続するかどうかに関わる大きな問題です。
このままだと、当たり前のようにサッカー中継を観られない時代が来るのかもしれません。
有料配信サービスは、欧州サッカーやJリーグを観戦するコアなサッカーファンにとっては、質の高い中継を観られるコンテンツでしょう。
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