陸上競技と言った時、皆さんはどんなスポーツを思い浮かべるでしょうか。
やはり短距離走や長距離走といった、走ることに特化した種目を想像する人が多いのではないでしょうか。
ただ走るのみならず、障害物を乗り越えていく種目もあります。
しかし、陸上競技はただ走るものばかりではなく、より遠く高く跳ぶこと、に特化した種目もあります。
走り幅跳びは、まさにそんな競技です。
走り幅跳びもまた、パラリンピックに登録されている競技であることを皆さんはご存知でしょうか。
走り幅跳びの歴史とは?
走り幅跳びは非常に古い歴史を持つ競技としても知られています。
なんと、その歴史は遡ること紀元前9世紀から始まるのです。
原初のオリンピックと言われる“古代オリンピック”。
この古代オリンピックについては分かっていないことも多いのですが、少なくともこの頃から走り幅跳びが花形競技として非常に高い人気を誇っていたらしいということはわかっています。
そして、ただ跳ぶのみならず、“ハルテーレス”と呼ばれる重りを両手に持って跳んでいたようです。
意外なことに、この重りを使っての幅跳びは、大きく飛んで19世紀頃まで行われていたらしいということがわかっています。
では、そんな走り幅跳びはどのような流れを経て競技化されていったのでしょうか。
イギリスでは1850年代に入ると、野外のクロスカントリーレースであったものが、校内でトラックを周回するといった形式の競技会へと移っていきました。
直線やトラック半周などを走るような短距離走タイプの競技の人気も、これに伴い高まっていったと言われています。
走り幅跳びもこういった流れの中で組み込まれた種目でした。
それまでは、軍隊などの訓練の一環として行われていたものであり、スポーツであるという認識は薄かったようです。
記録によれば1851年の10月発行の新聞に、W・ブルックス博士が中心となって開催した“オリンピック・ゲーム”で走り幅跳びが種目として採用されたとあります。
走り幅跳びってどんな競技?
立ち幅跳びとの違いは、助走のスピードを活かしていかに遠くに跳べるかを競うということ。
選手は助走路を走り抜け、踏切板で踏み切った後、ジャンプして砂場に着地します。
着地点が砂場であるのは、選手の安全のためであり、“跡”によってどこにお尻や足をついたかを確認しやすくするためでもあります。
砂場にできた選手の身体の跡のうち、踏み切り地点より最も近い地点を着地点として、踏み切り地点からの距離を記録とします。
ゆえに、うっかり尻もちをついてしまったりすると、大きく記録を縮めてしまうことになります。
ちなみに踏み切りは、踏み切りライン(20㎝の踏み切り板の砂場側のライン)の手前で行うことになります。
もしも踏み切り足が僅かでも踏み切りラインを越えるとファウルとなり、無効試技となってしまうので注意が必要です。
また、基本的に1人につき3回の跳躍を行うことができますが、予選と本選を連続して行う場合など、大会によって跳躍の回数が異なる場合があることにも気を付けなければいけません。
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オリンピックとパラリンピック、2つの走り幅跳びの違いとは?
基本的なルールは同じですが、パラリンピックの場合は特別なクラス分けが存在しています。
それぞれの種目ごとに障害の種類と程度でクラス分けがされ、そのクラスごとに競技を行って順位を競うことになるのです。
基本的にはクラスは3つのアルファベットと数字によって示されます。
例えばT42と書いてあった場合は、T=トラック競技や跳躍、4=低身長症や四肢切断、または機能障害(義足の使用はなし)、2=障害の程度となります。
ちなみに、最後の数字が大きいほど障害の程度が軽いということになります。
ちなみに、最初のアルファベットがFであった場合は投擲競技の選手であることを表します。
国際大会における走り幅跳びの場合は、T11~13、T20、T36~38、T42~44、T45~47のクラスが該当することになるようです。
パラリンピック・走り幅跳びの特別なルールについて。
パラリンピックの走り幅跳びの場合は、障害に合せた特別なルールが存在しています。
例えば、視覚障害のクラスの選手にはクラスによって1名か2名の特別なアシスタントをつけることができるのです。
主にエスコートとクーラーという2つの役割があります。
エスコートというのは選手を助走路に誘導して、方向付けなどを行う人のこと。
コーラーというのは踏切位置付近に立ち、声や音を出すことによって選手を踏切エリアに導く人の琴です。
また、全盲選手のクラスであるT11クラスにはさらに特別なルールがあります。
それは、選手はアイマスクを着用しなければいけないこと。
また、踏切板の代わりに、オリンピックで使われるものよりも長さを持たせた1mの踏切エリアを使用します。
また、踏切エリアの手前で踏み切った場合は、踏切エリアの開始地点からの計測となります。
パラ走り幅跳びにおける、注目の日本人選手!
パラリンピック競技としての走り幅跳びにおいて、世界で活躍する日本人選手がいます。
例えば、芦田創選手は、2018年10月のアジアパラ競技大会では男子走り幅跳びで銅メダルを獲得し、今後さらなる飛躍が期待されている選手です。
また、リオデジャネイロパラリンピックでは男子走り幅跳びで12位、男子4×100mリレー(T42−47)では銅メダルを獲得しています。
また、スノーボードでも活躍する山本篤選手は大腿義足の鉄人とも呼ばれ、リオパラリンピックでは、走り幅跳び(T42)で銀メダルを獲得しています。
さらに39歳で出場した東京2020パラリンピックの走り幅跳び(T63)ではなんと自己ベストを更新し、4位に入賞という成績を収めました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ダイナミックなジャンプで私達を魅了してやまない競技、走り幅跳び。
パラリンピックの走り幅跳びは、オリンピックの走り幅跳びとはまた違った魅力があります。
興味を持った方は是非、さらに詳しくチェックしてみてください!
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