全世界が注目し、熱狂を呼ぶワールドカップ(W杯)。他の多くの試合と同様、毎試合MOMを選定しますが、MOMとは何でしょうか?
この記事では、MOMの意味とMVPとの違い、W杯における歴代受賞者や、印象に残るMOMなどについて詳しく解説します。
MOMとMVPそれぞれの意味と違い
MOMについて語る際、よく混同されがちなのが一般的に知られているMVP。その違いは何でしょうか。
まず最初に、MOMとMVPそれぞれの意味、そして両者の違いについて解説します。
MOMとは
「MOM」とは、Man Of the Match(マンオブザマッチ)の略で、その試合の中で最も印象に残るプレーをした選手に贈られる称号であり、各試合ごとに選出されます。
例えば、試合でハットトリック(3点以上得点する)を決めたフォワードや、試合を決定づけるラストパスを送ったたミッドフィールダー、また、相手選手の決定的なシュートを何本も止めたゴールキーパーなど、様々なプレーによって強い印象を与えた選手に贈られます。
なお、このマンオブザマッチは、ポジションにかかわらず受賞することが可能で、チームの勝敗とは直接関係ありません。
よくマスコミなどで取り上げられたり、ファンの間で選手を評価する際に使われる表現として、「この試合でハットトリックを決めたあの選手が今日のMOMで間違いない」「残念ながらチームは負けたけれど、劣勢の中でもファインセーブを連発したゴールキーパーにMOMが贈られたのは当然だ」などというフレーズがあります。
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MVPとは
これに対して、「MVP」とはMost Valuable Player(モスト バリュアブル プレーヤー) の略で、最も重要な選手、つまり「最優秀選手」に贈られる称号のことです。
このMVPという称号は、サッカー以外にも様々なスポーツで使われ、野球やバスケットボール、バレーボールなどのチームスポーツから、ボクシングや卓球といった個人競技まで、このMVPを選出して表彰するスポーツは数多くあります。
さらに、スポーツの世界以外でも、成績が優秀な個人をMVPと称して表彰することもあります。
ただし、スポーツ以外の場合に選手個人がこれに該当しない場合、 “Most Valuable Person” の略としてMVPとし、称号とする場合もあります。
MOMとMVPの違い
MOMとMVPの最も大きな違いとしては、MOMが「一試合ごとに選出される」のに対し、MVPは「一シーズンごと、または一大会ごとに一人しか選出されない」点が挙げられます。
このため、MOMの選出に当たっては、基本的にその試合において、勝敗に関わらず最も印象に残ったプレーを披露した選手を対象として選定されるのが通例です。
これに対して、MVPは単一の試合ごとに選出されることがなく、長いシーズンや大会の全体を通じて最も活躍した選手に与えられるため、瞬発的にある試合だけで活躍した選手が選ばれるのではなく、全体的にチームの勝利や優勝に対する貢献度が最も高いと評価された選手が受賞します。
MOMの選定方法
MOMを選定するのは、マッチコミッショナーです。
通常の場合、当該の試合を行うクラブやチームが所属する機関、またはその上位にある機関から、ある一定以上のカテゴリの試合について派遣されます。
具体的には、国内のリーグ戦やカップ戦では、所属リーグまたは各国のサッカー協会から、大陸連盟レベルの試合の場合は各大陸連盟から、それ以上のレベルについては国際サッカー連盟(FIFA)から派遣されます。
MOM選定にあたり、どのカテゴリや大会にこのマッチコミッショナーを派遣するかについては、各機関の規定に委ねられています。
W杯における歴代MOM受賞者
サッカー界最高峰のW杯にもMOMがありますが、実は、W杯でMOMが制定された歴史は意外にも非常に新しいことに驚きます。
W杯における主なタイトルといえば、MVPに該当するゴールデンボール(大会最優秀選手:1978年制定)をはじめ、ゴールデンブーツ(得点王:制度化は1966年~)も有名であり、この他にもゴールデングローブ(最優秀GK:1994年~)、最優秀若手選手賞(2006年~)、フェアプレー賞(1970年~)などがありますが、MOMが制定されたのは2002年の日韓大会以降と、数々の称号の中で最も新しいのです。
なお、W杯におけるMOMの選定方法は、マッチコミッショナーによるものではなく、2002年からの技術グループによる選定を経て、2010年からはFIFAのウェブサイトでオンライン投票によって選定されています。
W杯における選手別の歴代MOM受賞回数
歴史の浅いW杯でのMOMですが、それでも数々の名選手が過去にMOMを受賞しています。
下記に、上位受賞者の一覧を挙げてみます。
順位 | 受賞者 | 国籍 | 回数 | 受賞大会 |
1 | アリエン・ロッベン | オランダ | 6 | 2006, 2010, 2014 |
クリスティアーノ・ロナウド | ポルトガル | 2010, 2014, 2018 | ||
リオネル・メッシ | アルゼンチン | 2010, 2014, 2018 | ||
4 | ルイス・アルベルト・スアレス | ウルグアイ | 5 | 2010, 2014, 2018 |
5 | エデン・アザール | ベルギー | 4 | 2014, 2018 |
本田圭佑 | 日本 | 2010, 2014 | ||
ハメス・ロドリゲス | コロンビア | 2014, 2018 | ||
ミロスラフ・クローゼ | ドイツ | 2002, 2006 | ||
朴智星 | 韓国 | 2002, 2006, 2010 | ||
トーマス・ミュラー | ドイツ | 2010, 2014 | ||
ヴェスレイ・スナイデル | オランダ | 2010 |
嬉しいのは、日本のエースとして長く活躍した本田圭佑選手が4回MOMを獲得していることです。
世界トップの選手に並んで、その名前をW杯に刻んだ事実は、日本人として誇らしい限りです。
MOMの受賞における印象的な出来事
MOM受賞にまつわる、印象的な出来事についていくつか挙げてみます。
W杯では、2018年に開催されたロシア大会のエジプト対ウルグアイ戦で、エジプトのGK・シェナウィ選手がこの試合のMOMに選出されましたが、トロフィーの受け取りを信仰上の理由により拒否しました。
その理由は、シェナウィ選手ははイスラム教徒のため、イスラム教では飲酒が禁止されていますが、この試合ではMOMのスポンサーが世界的大手ビールメーカーだったことによります。
それ以外の大会では、2018年3月に開催されたオランダにプロサッカーリーグである「エールディヴィジ」の第28節、VVVフェンロvsPSV戦で、白血病患者に自分の血液を提供するため欠場した、VVVフェンロのFWであるティー選手にMOMが贈られ、感動を呼びました。
まとめ
サッカーにおけるMOMとMVPそれぞれの意味と違い、W杯での歴代MOM受賞者や、MOMにまつわる印象的な出来事などについて解説しました。
MOMという概念は他のスポーツではあまり見かけない、サッカー独自の称号でもあり、またどんな立場の選手でも、更には単なるゲームの勝敗に拘らず、幅広い視野から選定される点で非常にユニークなタイトルだといえます。
今年開催されるW杯の試合で誰がMOMに輝くのか、楽しみに観戦したいものです。
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