乗馬×球技、こう聞くと真っ先に思い浮かぶのはポロではないでしょうか。
イギリス発祥でアパレルブランドの名前にもなっているこのスポーツとは全く一線を画す人馬一体球技、別名「ケンタウロスのラグビー」や「⾺上のクイディッチ」とも称される次世代エクストリームスポーツであるホースボールを今日はご紹介します。
ホースボールの起源・歴史
その前身は1953年にアルゼンチンの国技にも指定されたパト、カウチョと呼ばれるカウボーイたちが楽しんだスポーツ。
そのパトに出会ったフランス人がこれ面白いと自国に戻り広げたのがホースボールです。
1970年代から普及が始まり、現在ではフランス、アルゼンチンのみならずブラジルやアメリカ、カナダ、オーストラリアなど欧米各地でプレイされています。
ちなみにこのホースボールという名前、いずれオリンピックの種目になってほしいとの願いが込められての英語表記だそうです。
1チーム四騎の対抗戦、ポロのようにスティックは使用せず手を使ってボールを掴み、味方にパスを繋げながらゴールに向かってシュートを投げ入れる人馬一体型球技です。
その様相は荒々しく実に激しい競技。
ラグビーのように直接人間同士がボディコンタクトをするのではなく、馬同士が体を当て競います。
人間はその馬を操りつつ手綱から手を放し、馬から落ちんばかりに一心にボールを掴み上げて、味方にパスを繋ぎ、ゴールを目指すのです。
騎上で身体を動かす絶対的な身体能力、そしてフィールド上で敵をかわしながらパスを回す戦略性を必要とする類稀なスポーツです。
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ホースボールの用具やルール
用具
- 馬:一般的には150㎝以下のサラブレット
- ボール:サッカーボールの4号球に、拾い上げやすくするために革製の紐を巻く
- フィールド:縦幅65m×横幅25mに直径1m高さ3.5mのゴール(フープ)
基本ルール
- 試合時間は前後半10分の計20分
- 1チーム4騎(予備騎2頭)の対抗戦
- シュートまでは3パス以上必要、ただし3名以上のパス回しが必須
- ボールの保持は10秒まで
- リザーブの馬は自由に入れ替え可能
- 馬が静止した状態でボールを拾うとペナルティ
ホースボールの日本での大会や世界大会について
ホースボールを調べていくうちにたどり着いたのが今流行りの資金調達手段であるクラウドファンディングのページでした。
2022年8月にフランスで開催されたホースボールのワールドカップに日本代表が初めて参加しました。
サッカーなどメジャースポーツがワールドカップに出場するのとは異なり、未だに日本でのホースボールは認知度も低いために広告の魅力も乏しくスポンサー獲得なども極めて難しい状況です。
スポーツ振興基金の各種助成金も対象ではなく、ワールドカップ出場においては資金面で大きな課題がありましたが、クラウドファンディングでなんとか資金を集めることができました。
参加登録費や渡航滞在費のみならず、馬のレンタル費用や馬具装備品など資金が必要です。
またそんな機会があればぜひご支援のほどよろしくお願いいたします。
さてそのワールドカップには日本代表として選手8名、随行スタッフ3名の計11名が参加します。
その中心的な役割を担っているのは日本ホースボール協会の代表を務める西島氏、彼自身は2018年にポルトガルで開催されたエキシビションマッチに出場して見事マンオブザマッチに輝きました。
それ以来ホースボールの日本での普及に努めてこのワールドカップ初出場を射止めるにまで至りました。
彼の手腕が今後の日本でのホースボールの発展を占うと言っても過言ではないと考えます。
さて世界に目を向けるとこのワールドカップ以外にもヨーロッパ選手権、世界選手権、FIHBチャンピオンズリーグなどメジャーな国際大会が開催されています。
聖地フランスでは国内リーグ戦が開催されていて、プロエリート(10チーム)プロ(8チーム)アマチュアエリート(8チーム)プロエリートフェミニン(8チーム)という全26チームが各階級で毎年11月から7か月にわたり熱戦を繰り広げているそうです。
まとめ
このホースボールをまとめるにあたり触れておきたいのが、ホースボールを本当の意味で支えている馬たちの存在です。
この馬たちの多くはかつて競走馬として走るためだけに生まれてきたサラブレットたち。
種牡馬や繁殖牝馬になるのはほんの一握りで、引退後の彼らのその後は知る由もありません。
日本ホースボール協会は「馬業界の持続可能性」に目を向け、ホースボールの発展とともに「引退競走馬の廃用」という問題の改善も目標に掲げています。
競走馬の約9割は天寿を全うせずに廃用されてしまうとされている悲しい現実。
まだ生きることが出来る彼らの命を救うべく引退競走馬を積極的に受け入れて、もう一度「現役のアスリート」として、命の火を燃やし、輝きつづけることができるような新しいサスティナビリティのカタチを築き上げようとしています。
この素晴らしい社会貢献活動にもエールを送らずにはいられません。
ホースボールがこの日本でも大いに注目されることで選手たちのみならず、この馬たちの存在にも目を向けて頂ける機会になることでしょう。
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